【インド旅】待ちに待ったインド感〜ニューデリー〜
これは2025年2月26日〜2025年3月12日に、インドへ1人旅に行った時の話。
空港からニューデリーへ向かうメトロの車内は、特別に汚いわけでも、綺麗というわけでもなかった。その「普通さ」が、私にはかえって面白くなく、残念に感じられた。今のところのインドは、どうも私の頭の中にこびりついていた「インド感」とはかけ離れていたのだ。
ちなみに、私が思い描いていた「インド感」とは、とにかく「ばっちい!」と感じるような場所や、人がギュウギュウにひしめき合い、「無秩序ってこういうことね!」と呆れるような雰囲気のことだ。別にそれを悪く言っているわけではない。テレビやYouTube、本などで得られるインドの情報が、どうしてもそうした印象ばかり与えていたのだから、これはもう仕方がない。 だからこそ、私はこの時点で「ああ、もうすでにこの旅に来てよかった」と、しみじみと思ったのだ。
今は、何でも手元の小さな画面で簡単に情報を得られるが、そうした情報のすべてが本当に確かなものなのかと、疑わしいことばかりだと感じる。例えば、ニューヨークの自由の女神を見に行った時がまさにそうだった。それまでテレビや写真でしか見たことがなかった。実際、多くの人にニューヨークのシンボルだと言われているところもあるから「さぞかしオーラを放っているんやろうな~」と勝手に期待していた。 だが、この目で見てみたら、非常に小さく見えて、少し悲しい気持ちになった。遠くから見たというのもあるだろうが、私の想像したほどの「偉大さ」はなかった。でも「行ってみな分からんもんやなぁ」と、改めて思い知らされた瞬間でもあった。
結局のところ、どんなに悪意なく情報を発信していても、そこには発信した人の「私情」が混ざってしまうものだ。そして、その「私情」は人それぞれ違うから厄介だ。だから、「自由の女神、全然しょぼいやん!偉大とか言ってたやつ、訂正しろ!」なんて、発信者にケチをつけるのは筋違いだろう。でも、発信者はそういう苦情を言われる覚悟で発信しないといけないとも思う。最近はそんな覚悟がないくせして発信し、そして何かしらが原因で炎上し、嘆いてる発信者をネットの世界でよく見かける。それで、そのような発信者を擁護する人が多く現れて、結局、誹謗中傷した人が誹謗中傷の被害に遭うという状況になる。それを見て毎度私は、吐き気を催している。こうやって、人々が手軽に各々の「私情」を発信できる時代になり、結構年月が経っているように感じるが、いつまでそういうキショいことをし続けるのかと思ってしまう。もう「私情」に対して、正しいとか間違いはないと理解してほしいものだ。
そして、ここからずっと私の覚悟のある私情話が続く。ぜひ、心して読んでほしい。
目的地のニューデリー駅に到着した。さすが日本でいうところの東京駅のような場所だ。私と同じく、空港から乗った大半の人たちが、ゾロゾロと降りる。そして、降りる人を待たずして、同時にゾロゾロと乗り込んでくる人たちもいて、関ヶ原の合戦状態だった。怒号が飛び交うわけではないが、無言のまま互いの進路を阻み合う、ある種の戦場だった。「おいおい、普通さぁ…」と一瞬思ったけど、ここはインドであって、私の普通は日本だけのものだと実感した。そんな状況が日本であれば、怒鳴る人が現れるだろう。
でも、なぜそうやって怒鳴る人がいるのかが、私には分からない。私からすれば、別にそれは犯罪でもないわけだから「お前も、そうすればいいやん?」と思う。それなのに怒鳴って、自分の正義を押し付けてくるのは何なのか。それは、ただただ自分が弱いだけなのではないのか。ならば、そうやって強者ぶるのではなく弱者の振る舞いをした方が良いのになと思う。
どうもそんな日本人が多いなと感じ、非常にうんざりすることが多い。
そんなことはさておき、
とりあえず、私はこの日の宿に向かうことにした。ニューデリー駅に直結しているという情報があったため、「これで迷うこともないだろう」と一瞬は考えたものの、私はそんな情報を最初から全く信じていなかった。いや、むしろこの時すでに、その宿の存在自体を疑っていたのだ。なぜなら、宿の予約サイトに載っている住所をGoogleマップで調べても、その宿が全く出てこないからである。
だが、そういった状況は意外にも少なくないらしい。最近オープンしたような場所であれば、まだ情報が反映されていないだけということも考えられる。ただ、とりあえず現地に行ってみたら「何もない!」といった事象も、結構あるようだ。だから、予約サイトで宿を予約する際は、別のサイトやGoogleマップでしっかり調べる必要がある、というのが旅の常識らしい。 しかし、私は、そんなネットに書かれていた「教え」をこれっぽっちも気にすることなく、この宿を予約したのである。別にYouTubeの「撮れ高」を意識したわけではない。ただ、その宿の立地の良さと、尋常ではない安さに目を奪われたのだ。しかも、かなり新しくて綺麗そうであった。きっとそんな理由もあって、Googleマップにもまだ反映されていないだけだろうと思い、一か八か予約してみたのだ。
「まったく、調子に乗りやがって。そういうリスキーな行動をとるやつは痛い目にあえばいい」と、私は自分自身に悪態をついた。だが、それでも予約した以上は、「マップ上にはない宿を絶対に見つけ出すぞ!」と意気込んだ。ただ、それは決してツチノコを見つける時の意気込みとは違う。見つけないと、こんな異国の地でこの状況はかなり困るから、というまさに「何がなんでも見つけるぞ!」という背水の陣の気持ちだった。
今日の宿を探し求め、まず地上に出た。そこはもう「祭りでもやっているのか?」と思うような、すさまじい熱気に包まれていた。だが、別に祭りをやっている様子はない。ただ、駅前とはいえ、あまりにも人が多すぎる。とにかく人、人、人。しかし、この人たちがここにいる目的がまるで分からない。どこかへ向かう途中なのか?誰かを待っているのか?それともタクシーの客引きなのか?ホームレスなのか?……そんなことを考えて、その異様な雰囲気に圧倒されていると、
「トゥクトゥク?」「タクシー?」…
ドライバーたちが、威圧的な雰囲気でグイグイと客引きにやってきた。ここでようやく、自分がインドに来たことを強烈に実感したのである。
とりあえず私は、そんな客引きたちを振り切りながら、マップにマークしてある「未確認の宿」へと向かった。しかし、その道中も本当にしつこい。客引きドライバーが次から次へと集まってくるのだ。しかも、人がごちゃごちゃしているところに、野犬が平気で寝ていたり、ホームレスが地面に座って物乞いをしていたりして、まともに歩く場所がない。そうなると、皆当然のように車道を歩き出すのだが、そこにクラクションを鳴らしながら、車やバス、バイクが人混みに突っ込むように突進してくる。
どうやらここには「道」なんてものは存在しないらしい。もちろん、交通ルールなんて気の利いたものもなさそうだ。
「こりゃとんでもない所に来てしまったなあ」と、内心ゾッとしたものの、私は妙に興奮していた。この時すでに、この地には、これまでの25年の人生で味わったことのないような驚きとカオスが、これでもかとばかりに溢れていると確信した。
マップを見ていると、宿は駅の道路を挟んだ反対側にある雑居ビルの中らしい。だが、実際にそのビルの前に着いて思ったのは、雑居ビルというよりは、「廃墟ビル」と言った方が正しいような見た目だということだった。そして、そのビルの一階フロアには何もない。ただ、寝ている野犬が5、6匹ほどいたから、そこは野犬の住処になっているのかもしれない。この時、私は、野犬の縄張りにうっかり足を踏み入れてしまったと思い、急いでその場を離れた。犬は集団で狩りをする生き物だ。そうなったら、私は狂犬病ではなく、シンプルに野犬のエサとして死んでしまうことも十分考えられただろう。しかし、急いで離れた先に待っていたのは、またしても客引きだった。「おぉ?ジャパニーズ?タクシー乗ってけよ!」と、またもやその調子で私に声をかけてきた。まだインドに着いて2時間くらいしか経っていないのに、その間にインド名物の客引きに、もううんざりするほど遭遇している。この調子であと2週間もこの地にいるのかと思うと、私はこの瞬間から、少しずつ憂鬱になっていくのを感じた。
とりあえず、その客引きに、はっきりと「ノー!」と言い放った。もしかすると、彼に宿を探していることを言えば、何かヒントをもらえたのかもしれない。だが結局、
「んー、分からないなぁ!けど、とりあえずタクシー乗れよ!俺がいい宿紹介するよ!」
みたいな、面倒くさい展開になるのは目に見えていた。そんな展開でインド人が日本人を騙し、高額なお金を取るというのが、実際に日本人がよく遭う被害らしい。だから、絶対に声をかけてくるインド人は、問答無用で疑う必要があるのだ。でも、そんな威圧的で、顔の表情も怖い彼らを信用しようと思う日本人も、どうかしていると思う。もしかすると、そのような態度で来られて、ビビってしまうのかもしれないが、私は、彼らの声かけに怖いとは思わなかった。それは、身長170センチ、体重52キロの騎手・武豊とほぼ同じ体型をした私よりも、彼らは細い体型をしているからだと思う。欧米人によくいる、屈強な見た目ではない彼らを見ると「最悪やっちまえるやろ。」と自信があった。無論、そんなことが人として正しい行いではないということは、わかっている。でも、嫌がらせ同等にしつこい客引きに対して、こんな交通ルールもなさそうな国でなら、多少泡を吹かせるようなことをしてやっても問題ないと、割と本気で思っていた。だから、インドにきてトラブルに巻き込まれる日本人は、本当に弱くて情けない人間だと思ってしまう。そこで、被害者ツラをして周りから同情してもらうというやり方は、国内でしか通用しない。もっと自国が先進国だと胸張って「インドよりは上だ!」と思い訪れるべきだと思う。その上で、日本人の売りである優しさを見せていくべきなのだと思う。
という、少し倫理観が薄まってきている私は、とにかく宿を探し続けていた。マップ上では、やはりあの廃墟ビルの中と表示されており、すでに私は到着したことになっているのに、実際にその宿は現れない。
「これは完全に詐欺に遭ったな……」と諦めかけた。でも、とにかく私は、このインド旅はあらゆることを想定していた。それは、人生25年間で養われてきた倫理観をも放棄するくらいまでだ。だから、こうして宿が見つからないということなんて、本当に犬のフンを踏んだ程度の話であった。
でも、逆にその程度だからこそ、腹が立った。客引きと掴み合いになるぐらいならば、最高の話のネタになって、エクスタシーを味わえたかもしれない。
この瞬間、私は泊まるはずだった宿は存在しないと結論づけた。だが、再度あの廃墟ビルに戻り、宿の有無を確かめることにした。ビルをぐるっと一周して、また野犬の住処に戻ってきた。
やはり無いと思われたが、その何もない1階の扉の横に直径10センチくらいの丸いシールが貼られていることに気づいた。よく見ると、私が今探している宿の「入口はこっち→」という標識だった。この瞬間、無いと思われていた宿が有るものへと変わったが、正直、この廃墟ビルに泊まる勇気はなかった。でも、私はその標識が示す通りに、歩みを進めようと思った。
その標識は、この扉を開けて中に入っていくようだが、何度押しても開かない。それに、その中には野犬たちが寝ているのが見え、足を踏み入れる勇気が湧かなかった。
この時私は、せっかく存在を確認できたが、ここに泊まるのはやめようかと思った。
でも、少し離れた所にもその標識が貼られてあることに気づいた。しかもその標識が、狭い間隔で、壁にしつこいくらいに貼ってあり、それを辿っていけば、宿に辿り着けるように思えた。だから、とりあえず私は、これを辿って行ってみることにした。
それにしても「こっち→」というアピールはしつこすぎると感じた。
でも、これは、今の私みたいに「本当にこんなとこに宿があんのか?」と存在を疑う人が多いからしているところもあるように思えた。
その標識を辿っている道中、さっきの客引きが「オイ、またお前かよ!道に迷ってんだろ?ならタクシーに乗れよ!」と、またもや調子に乗って声をかけてきた。それを私は、シッシッと手の動きもつけて、犬を扱うように追い払った。この頃から、私は野犬よりも人間の客引きの方が、よっぽど厄介だと感じ始めていた。「最悪やってしまえる」と思うような相手ではあるが、数が多ければ恐怖を感じてしまうものだと思った。
しばらく標識を辿っていったが、一向に建物の中に入るような気配はなく、ビルの立体駐車場に続く坂道が出てきた。そこを登っていくようだが「なんでビルの中から行けないんだ?」とか「なんで1階に宿を構えようとしないんだ?」とか、そんなことを考えながら進んでいくと、奥の方に明るい空間が見えてきた。そして、もう少し進んでいくと、正面に看板と宿の入り口を見つけた。そう、ここが私が探し求めていた宿だったのである。
中の様子は、事前に調べた時の情報の通り、新築な雰囲気だった。というよりかは、『「まだ工事中なんじゃないか?」と思うくらい新しい宿』と言う方が正しいかもしれない。なぜなら、エントランスには、工事機材や材木が普通に置かれていたからだ。とはいえ、そんな悪い感じがなかったから、結局はここに泊まることにした。
色々疑ったり、散々うんざりしたりしたけれど、結局着いてみれば、ごく普通の宿でよかったと思う。海外ではよくあるドミトリー形式の宿で、スタッフの対応も良く、滞在者も様々な人種の人たちがいて、皆マナーの良い、ごく普通の滞在者ばかりだった。
だが、私が「工事中なくらい新しい宿でよかった」と安堵するのは、果たして正しい感想なのだろうか。しかし、それはインドではごく普通の感想なのかもしれない。
<ニューデリー駅前の様子が分かる動画>
私の旅は、写真よりも動画を撮っていることが大半で、こうしてファイルで動画を添付する形をとっています。そういう意味では、写真しかアップできないnoteは非常に不便です。
<私が探した宿>
私が泊まった時は、一泊900円でした。
写真で見ると、ビルの廃墟感があまり感じられません。
そして宿自体は、あの時よりも、ちゃんとしたものになっていそうです。
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また「自称・仁の目指せ!オールナイトニッポン」というラジオでは、インド旅行に行ったときの話もしています。お聴きください!
