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モトツーリズムと外部性

モトツーリズムは、バイクを使って地域を巡り、その地域の観光資源を活用する新たな観光形態として注目されている。この観光形態は、特に地方の観光業において経済的な波及効果をもたらすとともに、地域の文化や自然の魅力を再発見する機会を提供する。しかし、モトツーリズムの発展に伴い、外部性—市場における取引に直接関与しない者に影響を及ぼす事象—(※1)が重要な視点として浮上している。モトツーリズムが地域に与える正負の外部性を理解することは、その持続的な発展に向けた政策設計において不可欠である。

モトツーリズムの正の外部性
モトツーリズムは、まず経済的な観点から正の外部性を生み出すことが多い。モトツーリズムを推進する地域では、観光地を訪れるライダーが宿泊、飲食、交通機関の利用を通じて地元経済に貢献する。例えば、バイクツアーを提供する企業や、ツーリングをテーマにしたイベントを開催する自治体は、観光客の増加により地元の商業活動が活発化する。このような経済効果は、観光業に従事していない地域住民にも利益をもたらし、広範囲にわたる経済的波及効果を生み出す。

さらに、モトツーリズムは地域の文化的魅力を高める正の外部性も生じる。バイクに乗るという体験自体が、地方の魅力を再評価し、観光客が地域の自然や文化に対する新たな価値を見いだすきっかけとなる。また、モトツーリズムは、地域資源の持続的な利用を促進し、その結果、地域ブランドの形成にも貢献する。このように、観光業が発展することにより、地域社会の認知度や文化的価値が向上する。

モトツーリズムの負の外部性
一方で、モトツーリズムは負の外部性を引き起こす可能性もある。特に、環境への影響が懸念される。バイクの利用は、CO₂排出量や騒音などの環境負荷を伴う。これが観光地やその周辺の住民にとって迷惑や不快感を引き起こすことがあり、住民と観光客との間で対立が生じる場合もある。特に、バイクの音が静かな田舎町や自然公園での観光に与える影響は無視できない。

また、モトツーリズムが進展する地域では、交通渋滞や道路の混雑、事故のリスクが増大することがある。これにより、地域住民の生活環境が悪化する場合や、観光地の安全性が損なわれる可能性もある。このような負の外部性が発生することで、地域の魅力が損なわれることもあるため、バイクツーリングの実施場所やルート選定において慎重な配慮が必要である。

外部性への対応と政策の方向性
モトツーリズムにおける正と負の外部性を適切に管理するためには、地域における政策設計が極めて重要である。まず、正の外部性を最大化するためには、観光業者と地域住民との連携が不可欠である。観光業者は地元の文化や自然資源を尊重し、地域社会と協力して観光地の持続可能な発展を目指すべきである。また、地域住民も観光客との交流を深め、観光業の恩恵を享受できる仕組み作りが求められる。

一方で、負の外部性に対処するためには、環境への配慮が欠かせない。例えば、バイクの排出ガス規制や騒音対策を強化することで、環境負荷を軽減することができる。また、ツーリングルートの選定においても、地域住民の生活圏を避けるような配慮が必要である。さらに、安全対策として、交通渋滞の緩和や事故リスクを減少させるためのインフラ整備や事故予防の教育が重要である。


モトツーリズムは、地域の経済と文化に正の外部性をもたらす一方で、環境への負の外部性を引き起こす可能性がある。このため、モトツーリズムを成功させるためには、地域社会と観光業者、そして観光客の協力によるバランスの取れた管理が求められる。地域における外部性を十分に理解し、それに対応するための政策やインフラ整備を進めることが、モトツーリズムの持続可能な発展に不可欠である。

引用参考文献
(※1)井堀 利宏(2015)基礎コース公共経済学 第2版,新世社

文責:林恒宏(岡山理科大学経営学部教授)

(一社)モトツーリズム推進機構のサイトはこちら

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