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No.19 応募資格を満たしていないケース100選|応募できるか・見送るべきかの判断

募集要項に書かれた応募条件を満たしていない場合、応募して良いのか、それとも見送った方が良いのか、判断に困る場面が転職活動でも就職活動でも出てきます。以前、No.4の記事で、経験年数や資格、学歴、年齢が不足している場合の考え方を8つのケースに分けてまとめました。

一方、実際にご相談いただく内容は、その8つよりも幅があります。年数が足りないといっても、通算では満たしているものの複数社に分かれている場合と、経験そのものが浅い場合とでは、応募の可否も、書類で伝えるべき内容も変わってきます。資格や学歴、勤務条件についても同じです。

そのため本記事では、応募条件を満たしていないケースを100件挙げ、それぞれについて応募の可否と、応募する場合に何を伝えるべきかを書きました。内容は、経験年数、職種・業務内容、マネジメント、資格、学歴、年齢・社会人経験、語学・スキル、免許・身体要件、勤務条件、経歴・在籍状況の10のカテゴリーに分けています。目次からご自身に当てはまる項目を選び、その箇所だけをお読みいただければ十分です。

なお、「該当しているか何とも言えない」という状況でいきなり応募すると、無駄な労力・時間がかかることも多いです。そのため、迷うのであれば、先に応募先に問い合わせることをおすすめします。その方が結果的に早く終わります。


A|経験年数

募集要項に書かれる年数は、その業務を任せられる水準に届くまでの目安として置かれています。企業がこの年数を決める際は、入社後に教育へ割ける時間と、任せたい業務の範囲から逆算しています。そのため、同じ「3年以上」でも、退職者の補充で募集している場合と、増員で募集している場合とでは、運用の厳しさが変わります。以下の12件では、この点も踏まえて解説します。

【1】経験3年以上の募集に対し、2年10ヶ月
◎ 応募をおすすめします

2ヶ月の差で、担当できる業務の範囲が変わることはまずありません。企業側も年数を1ヶ月単位で確認しているわけではなく、職務経歴書を読んで、任せたい業務を担当できるかを見ています。年数の指定は、その確認の手間を減らすために置かれた目安です。応募する際は、担当してきた業務の範囲と件数を職務経歴書へ記載してください。3年に届いていない点よりも、2年10ヶ月で何を担当してきたかが見られます。年数だけを書いて業務の記載が薄いと、指定に届いていない点だけが残ってしまいます。

【2】経験3年以上の募集に対し、2年6ヶ月
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

半年の差になると、企業によって扱いが分かれます。分かれ目は募集の背景です。退職者の補充で、入社後すぐに1人で担当してほしい場合、年数の指定は実際の条件として運用されます。増員の募集で、先に在籍している担当者がいる場合は、指定に届かなくても選考へ進むことがあります。

なお、募集の背景は求人票からは読み取れないことも多いため、応募前に問い合わせるのが確実です。「経験が2年6ヶ月ですが、応募は可能でしょうか」と聞けば可否の回答が得られますし、年数をどの程度厳密に見ているかも伝わってきます。可能との回答を得た場合は、その旨を応募書類の備考欄へ記載しておくと、書類選考で年数だけを理由に落とされる可能性を下げられます。

【3】経験3年以上の募集に対し、1年
△ 慎重に判断

指定の3分の1程度になると、比較検討の中で不利になります。書類選考では複数の応募者を比較検討するため、同じ求人に年数を満たした方が応募していれば、そちらが当然優先されます。一方で、その年数(1年程度)では通常任されない範囲を担当していた、担当した案件の規模が大きい、同じ領域の資格を保有しているといった事実があれば、応募する意味もあるかもしれません。該当するものがない場合、書類選考の通過は見込みにくいため、他の求人へ時間を回した方が良いです。いずれにせよ、まずは問い合わせて、可否と、どのような経験があれば検討の対象になるかを確認してください。

【4】経験3年以上の募集に対し、経験なし
× 見送りをおすすめします

経験年数を条件に掲げている求人は、入社後に基礎から教育することを想定していない場合があります。育成を想定している募集であれば、未経験可、第2新卒歓迎、業界未経験歓迎といった記載が別に置かれます。年数の指定がある求人へ経験なしで応募した場合、書類選考の段階で対象外として扱われますし、もし将来的に改めて応募する際にも、悪い印象が残ってしまう可能性もあります。

ここで時間を使うよりも、未経験可の求人を探すか、資格の取得や関連する業務の経験を積んでから応募する方が、採用までの期間は短くなります。なお、同じ企業でも職種や部署によって募集の条件は変わりますので、応募したい企業が決まっている場合は、未経験から応募できる職種で入社し、社内で異動を目指すアプローチもあります。

【5】経験5年以上の募集に対し、4年11ヶ月
◎ 応募をおすすめします

5年という年数は、担当者として業務を1人で進められることに加えて、後輩の指導や案件の取りまとめまで期待している場合に置かれます。そのため、1ヶ月程度の差が問題になることはなく、指導や取りまとめの経験があるかどうかで評価が分かれると考えられます。応募の際は、年数をだけを訴求するのではなく、指導した後輩の人数、取りまとめた案件の件数や規模を記載してください。反対に、5年の経験があっても同じ業務を繰り返してきた内容であれば、年数を満たしていても選考で不利になることがあります。

【6】通算では満たしているが、複数社に分かれている
◎ 応募をおすすめします

求人票の年数が、1社での連続した経験に限定される例は稀です。3社で1年ずつ担当していれば、通算3年として扱われると考えて良いかと思います。ただし、読み手が職務経歴書を見て年数を数え直す必要が出るため、そこで手間を掛けさせないことがポイントになります。職務要約の冒頭へ「〇〇業務を通算3年10ヶ月担当」と記載し、各社の経歴欄では担当していた業務を書いてください。あわせて、転職回数が多い点と併せて見られることにも留意が必要です。在籍期間の短い会社が続いている場合は、年数よりもその点を確認されますので、退職の理由を面接で説明できるようにしておいてください。

【7】通算では満たしているが、ブランクを挟んでいる
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

通算年数を満たしていても、離れていた期間が長い場合は、直近の経験として見てもらえるかが問われます。分かれ目は、その業務の内容が変わる領域かどうかです。経理、労務、建設、医療のように、法改正や制度変更が定期的にある領域では、離れていた期間の知識が古くなっている点を懸念される場合もあります。応募の際は、離れていた理由と、その間に何をしていたかを簡潔で良いので書いてください。学習を続けていた場合は、受講した講座名や取得した資格を記載すると、現行の制度に沿った知識を保有していることが伝わります。反対に、制度の変更が少ない領域や、身体で覚える種類の業務であれば、ブランクの影響は限られます。

【8】年数は満たしているが、直近は別職種
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

年数を満たしていても、直近の担当が別職種の場合、採用側は直近の経験を重視します。異動で離れた、会社の体制が変わって担当が替わったなど、本人の意思とは別の事情で離れている例も多く、その事情は応募する側から書かなければ伝わりません。職務経歴書では、その業務からいつ離れたのか、離れていた期間に何を担当していたのかを書いた上で、なぜ戻りたいのかを志望動機などへ書いてください。本人の希望による職種転換で離れた場合は、戻る理由の説明がより求められます。同じ企業内で担当が替わったのであれば、その旨を書くだけで疑問は解消します。

【9】正社員としては不足、アルバイト・パート等を含めれば満たす
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

正社員としての経験年数を指定している求人は多くありません。雇用形態を書いていない場合、アルバイトやパート、契約社員での経験も年数として扱われます。ただし、同じ職種名でも雇用形態によって担当範囲が変わる場合があります。経理であれば、正社員が決算まで担当し、パートは日々の入力と伝票の処理までという分担が多く見られます。そのため、年数だけでなく、どこまで担当していたかを書く必要があります。決算や申告まで担当していたのであれば、雇用形態は問題になりません。担当範囲が限られていた場合は、その範囲を書いた上で可否を問い合わせるのが確実です。

【10】派遣・業務委託での経験のみ
◎ 応募をおすすめします

派遣や業務委託での経験も、業務の内容が同じであれば年数として扱われる可能性は高いです。正社員での経験に限定する場合は「正社員として3年以上」と明記されますので、その記載がなければ気にする必要はありません。書き方の注意点として、派遣であれば派遣先の業種と規模を、業務委託であれば契約していた企業数と担当した業務を記載してください。派遣で複数の企業を経験している場合、経歴欄が長くなりますが、派遣元を1社として記載し、その下に派遣先ごとの期間と業務を書く形にまとめると読みやすくなります。業務委託の場合は、個人事業主としての活動期間を1件として書き、取引先ごとの内容を続けてください。

【11】兼務で担当しており、専任期間としては不足
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

兼務で担当していた場合、年数としては満たしていても、実際にその業務へ充てていた時間が問われます。総務と経理を兼務していた3年間と、経理の専任だった3年間では、担当した件数に差が出るためです。応募の際は、兼務の割合を書いてください。例えば、週のうち何日をその業務へ充てていたか、年間で何件を担当したかという数字があると、専任でなくても水準は伝わります。反対に、兼務であることだけを書いて件数の記載がないと、経験が浅いと受け取られる可能性があります。

【12】副業での経験のみ
△ 慎重に判断

副業での経験は、年数として扱われる場合と、扱われない場合があります。分かれ目は、担当していた業務の量と責任の範囲です。企業が年数を指定する理由は、その期間にまとまった件数を担当し、例外的な場面にも対応した経験を想定しているためです。週末のみ、月に数件という規模では、その水準に届いていないと評価される可能性もあります。応募する場合は、期間ではなく、担当した件数と内容を書いてください。件数を書ける規模であれば、経験として評価されます。あわせて、現職の就業規則で副業が認められているかを確認してください。当然ですが、社内規則へ反する形で行っていた副業であれば、経験として評価される以前の問題になります。


B|職種・業務内容

職種名が一致していれば通るというものではなく、反対に職種名が異なっていても通る場合があります。採用側が確認しているのは、募集している業務のうち何をすでに担当できるかという点です。同じ職種名でも企業によって担当範囲が変わるため、書類選考では職種名ではなく業務内容の記載を読んで判断します。以下の10件は、この読まれ方を踏まえて解説します。

【13】同職種の経験があるが、業界が異なる
◎ 応募をおすすめします

職種の経験があれば、業界が異なっても応募できます。経理、人事、法務、総務といった管理部門は、業界が変わっても業務の内容が大きくは変わりません。営業や販売も、進め方は共通する部分が多くあります。業界の知識は入社後に習得するものとして扱われ、選考では前提とされません。応募の際は、業界の違いを打ち消そうとするよりも、職種として担当してきた範囲を書いてください。志望動機では、なぜその業界を選んだのかを書く必要が出てきます。業界を変える理由の説明が無いと、他に受かった企業がなかったのだろうと受け取られます。

【14】同業界の経験があるが、職種が異なる
△ 慎重に判断

業界の知識があることは、職種の経験の代わりにはなりません。同業界の営業から経理へ応募する場合、商品や取引先の知識はあっても、決算や税務の経験はないためです。募集要項に経験年数が書かれている求人では、業界の知識で年数を補うことはできません。応募する意味があるのは、職種未経験可の記載がある場合、その業界特有の知識が業務へ直結する場合、社内異動と同じ形での採用を想定している場合です。業界の知識は、志望動機や入社後のキャッチアップの早さを説明する材料としては有効ですので、応募する場合はそちらへ活かしてください。

【15】職種名は異なるが、業務内容が重複している
◎ 応募をおすすめします

職種名は企業ごとに付けられているため、同じ業務でも呼び方が変わります。営業事務、業務推進、カスタマーサクセス、リテール営業といった名称は、担当範囲が企業によって大きく異なります。そのため、書類選考では職種名ではなく、業務内容の記載を読んで判断されます。応募の際は、募集要項に書かれた業務内容と、自身が担当してきた業務を並べて、重複する部分を職務経歴書へ書いてください。職種名が異なる点についての説明は不要です。

【16】募集業務のうち、一部のみ経験している
◎ 応募をおすすめします

募集要項へ複数の業務が書かれている場合、その全てを担当できる方を求めているとは限りません。中心となる業務が1つあり、残りは入社後に担当範囲を広げていく想定で書かれている例が多くあります。分かれ目は、中心の業務を担当できるかどうかです。求人票では業務の記載順が担当割合の順になっている場合が多く、最初に書かれている業務の経験があれば応募できます。判断が付かない場合は、担当できる業務と経験のない業務を挙げた上で、応募の可否を問い合わせても良いと思います。全ての業務の経験を求める求人であれば、その旨の回答があります。

【17】補助・アシスタントとしての経験のみ
△ 慎重に判断

担当者として業務を進めた経験と、担当者を補助した経験は、選考では分けて見られます。補助の経験では、判断を伴う場面や、例外的な事象への対応を経験していないと考えられるためです。ただし、補助という役割の中身は企業によって幅があります。データの入力と書類の準備までを担当していた場合と、担当者の不在時には自身で進めていた場合とでは、水準が変わります。応募の際は、補助という言葉を使わず、自身が担当した業務の範囲を書いてください。判断を伴う場面を経験しているのであれば、その内容を記載すると評価が変わります。

【18】社内向けの経験のみで、社外・顧客向けは未経験
△ 慎重に判断

社内を対象とした業務と、社外を対象とした業務では、求められる対応が変わります。社外が相手になると、契約の内容が前提になり、こちらの都合で調整できない場面が増えます。社内のシステム部門から、顧客向けのサポート職へ応募する場合などが該当します。応募の際は、社内が対象であっても、期日や品質の条件が決められた中で対応した経験があれば、その内容を書いてください。他部署からの依頼に対して調整した経験も同様です。反対に、社外対応の経験がないことを補う説明が難しい場合は、社内向けの求人を併せて探すことをおすすめします。

【19】個人向けの経験のみで、法人向けは未経験
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

個人向けと法人向けでは、検討する期間の長さと、決裁の進み方が変わります。個人向けはその場で決まる場合が多く、法人向けは複数の担当者が関わり、決裁までに時間が掛かります。そのため、法人営業の求人では法人向けの経験を条件とする例が多くあります。一方、個人向けであっても、住宅や保険のように金額が大きく、検討の期間が長い商材を扱っていた場合は、進め方が近くなります。この場合は経験として評価されますので、扱っていた商材の単価と、受注までに要していた期間を書いてください。それ以外の商材であれば、可否を問い合わせた上で判断してください。

【20】既存顧客の対応のみで、新規開拓は未経験
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

新規開拓の求人では、対象を選び、接点を作り、関係のない状態から取引へ繋げる経験が求められます。既存顧客の対応では、この最初の段階を経験していないため、条件として記載されている場合は不足と見られます。ただし、既存顧客の中で新しい部署や新しい商材へ広げた経験があれば、近い経験として扱われます。応募の際は、担当していた顧客数と、そのうち自身が広げた取引の件数を書いてください。反対に、既存顧客の維持を中心とする求人であれば、この経験がそのまま評価されます。求人票へ新規と既存の割合が書かれている場合は、その割合を確認してから応募先を選んでください。

【21】経験はあるが、10年以上前の経験
△ 慎重に判断

経験があること自体は変わりませんが、その間に業務の進め方が変わっている領域では、現在の水準に届いていないと見られます。会計や労務のように制度が変わる領域、システムやツールが入れ替わっている領域が該当します。10年前に手作業で行っていた業務が、現在はシステムで処理されている例も多くあります。応募の際は、当時担当していた業務の内容に加えて、現在の制度やツールへの理解を書いてください。資格を保有しているのであれば、その取得時期と、更新や講習の受講状況も記載してください。これらを書けない場合は、経験なしに近い扱いになります。

【22】独学のみで、業務での使用経験がない
△ 慎重に判断

学習した内容と、業務で担当した経験は、選考では区別されます。業務では、期日の中で、他の担当者と連携しながら、想定外の事象へも対応する必要があるためです。独学の内容がその水準に届いているかは、書類だけでは伝わりません。応募の際は、学習した期間や教材名ではなく、作成したものを書いてください。制作物、公開しているもの、参加した案件があれば、その内容と規模を記載します。プログラミングやデザインのように成果物で示せる領域であれば、独学であっても評価されます。成果物を示せない領域では、経験なしとして扱われることが多くあります。


C|マネジメント

管理職の募集で書かれることがある「管理職経験3年以上」「部下5名以上」といった条件は、役職の名称ではなく、担ってきた責任の範囲を確認するために置かれています。同じ課長職でも、企業によって決裁できる金額や、人事評価への関与の度合いが変わるためです。そのため、役職名が届いていない場合でも、担当していた範囲を書けば選考へ進む例があります。反対に、役職があっても中身の記載がなければ評価されません。以下の8件では、この点を踏まえて解説します。

【23】管理職経験3年以上の募集に対し、リーダー経験のみ
△ 慎重に判断

管理職とリーダーの違いを挙げるのであれば、人事に関する権限を持っていたかどうかがあります。人事評価、勤怠の承認、採用の可否への関与、予算の管理といった業務は、通常は管理職が担当します。リーダーは、案件の進め方や日々の指示を担当する役割として置かれる例が多く、この場合は管理職の経験としては扱われないことがあります。応募の際は、リーダーという名称を強調するのではなく、担当していた業務を書いてください。評価や予算に関与していたのであれば、実質的な管理職として扱われる可能性があります。関与していなかった場合、管理職の求人では不足と見られますので、リーダー職募集や、管理職候補としての募集を探す方が結果に繋がります。

【24】部下5名以上の募集に対し、2名の指導経験
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

人数の指定は、組織の規模を伝えるために置かれている場合と、その人数を管理した経験を条件としている場合があります。前者であれば、2名の経験でも選考へ進めます。分かれ目は、管理する対象が増えたときに変わる業務を経験しているかどうかです。人数が増えると、業務の割り振りや、直接見ていない部分の把握が必要になります。2名であっても、勤務地が分かれていた、担当業務が異なっていた、シフト制で全員が揃わなかったといった条件があれば、その経験は評価されます。応募の際は人数だけでなく、部下の担当業務と、自身が担っていた管理の内容を書いてください。

【25】直属の部下はいないが、取りまとめの経験がある
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

指揮命令の関係がない相手を取りまとめる業務は、部下の管理とは別の難しさがあります。他部署の担当者や、協力会社の担当者に対しては、指示ではなく依頼と調整で進める必要があるためです。プロジェクトの推進、店舗の運営、工事の管理などが該当します。この経験は、管理職の求人でも評価されます。応募の際は、関わった人数、所属していた部署や会社の数、自身が担っていた調整の内容を書いてください。あわせて、部下の管理経験がない点は書類で触れておく方が良いと思います。触れずに応募すると、面接で確認された際に、経験を大きく見せようとしたと受け取られる可能性があります。

【26】役職はないが、実質的に管理業務を担当していた
◎ 応募をおすすめします

役職の付与は企業の制度によるものであり、担当していた業務とは別です。小規模な企業や、役職の階層が少ない企業では、役職がないまま管理業務を担当している例が多くあります。この場合は、管理職の経験として応募できます。応募の際は、役職がなかった点を先に書くのではなく、担当していた業務を書いてください。人事評価への関与、シフトや勤怠の管理、採用面接の担当、予算の管理といった内容を記載すれば、役職の有無に関わらず評価されます。役職については、経歴欄へ在籍していた役職名を書けば足ります。面接で確認された際に、当時の会社の制度として説明できるようにしておいてください。

【27】管理職の経験はあるが、別職種での経験
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

管理職の求人では、管理の経験と、その職種の経験の両方が求められます。営業の管理職から製造の管理職へ応募する場合、管理の部分は共通しますが、職種の知識は前提になりません。分かれ目は、募集している役割がどちらを重視しているかです。組織の再編や、複数部署を横断する役割での募集であれば、職種を問わず管理の経験が評価されます。担当者としての業務も兼ねる募集であれば、職種の経験が求められます。求人票からは判断が付きにくいため、応募前に問い合わせてください。応募する場合は、管理してきた組織の規模と、着任時から何が変わったのかを書いてください。

【28】プレイングマネージャーで、管理の比率が低い
◎ 応募をおすすめします

管理の業務に専念している管理職は多くありません。担当者としての業務を持ちながら管理も担当している形は一般的であり、この点が不利になることはありません。むしろ、担当者としての業務を続けている方が、現場の状況を把握した上で管理できると評価される場合があります。応募の際は、管理と担当の比率を書いた上で、管理の部分で何を担当していたかを記載してください。比率が低くても、評価や採用に関与していれば経験として扱われます。反対に、管理の内容を書かず、比率だけを書くと、名称だけの管理職と受け取られます。

【29】課長職以上の要件に対し、係長・主任
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

役職の名称は企業ごとに定められているため、同じ課長職でも権限の範囲が変わります。従業員数が多い企業の課長と、少ない企業の課長では、管理する人数も決裁できる金額も異なります。採用側もこの点は把握しているため、名称だけで判断することはありません。応募の際は、役職名に加えて、管理していた人数、決裁できた金額、担当していた組織の位置づけを書いてください。前職の従業員数を記載しておくと、組織の中でどの位置にあった役職かが伝わります。あわせて、募集要項が課長職以上と書いている理由が、入社後の等級や給与の設定にある場合もありますので、可否は問い合わせてください。

【30】育成・評価の経験がなく、進捗管理のみ
△ 慎重に判断

管理職の求人で確認されるのは、人に関する業務を担当できるかどうかです。案件の進捗管理は、担当者でも行う業務であり、これだけでは管理の経験としては不足と見られます。育成と評価が挙げられるのは、この2つが最も難しい業務だからです。育成では相手によって進め方を変える必要があり、評価では処遇に影響する判断を伝える必要があります。応募の際は、後輩の指導、新入社員の受け入れ、業務の引き継ぎといった経験があれば、その内容を書いてください。該当するものがない場合は、管理職候補としての募集や、リーダー職の募集を選ぶ方が良いと思います。


D|資格

資格の条件は、他の条件と比べて運用が厳格です。理由は、資格がなければ法令上その業務を担当できない場合があるためです。宅地建物取引士、社会保険労務士、看護師、電気工事士などが該当します。この種類の資格では、経験や意欲で代替できません。一方、業務の水準を確認するために資格を挙げている求人もあり、この場合は運用に幅があります。応募の際は、募集要項の資格が法令上の要件なのか、水準の確認なのかを見分けることが判断の起点になります。以下の14件では、この違いを踏まえて解説します。

【31】必須資格を保有していない
× 見送りをおすすめします

必須と書かれている場合、その資格がなければ業務を担当できないか、資格の保有を採用の基準に定めているかのどちらかです。前者であれば、採用の可否以前に、入社しても業務を任せられません。後者であっても、必須と明記している以上、書類選考の段階で対象外として扱われます。経験や熱意で代替できる項目ではありませんので、取得してから応募する方が結果に繋がります。なお、企業によっては同じ職種で資格不問の求人を別途出している場合があります。応募したい企業が決まっているのであれば、その企業の他の求人を確認してください。

【32】取得予定(学習中)
× 見送りをおすすめします

取得予定は、保有していない状態と同じ扱いになります。試験の結果は確定していないためです。採用側から見ると、入社日までに取得できるかどうかが分からない状態で採用の判断をすることになり、この判断はあまり行われません。学習中である旨を書いても、選考の判断は原則変わりません。試験日と合格発表の時期を確認した上で、応募の時期を組み立ててください。合格発表が数ヶ月先であれば、その間は資格を求めない求人へ応募し、取得後にあらためて応募する形が現実的です。

【33】受験を申し込み済みで、結果を待っている
△ 慎重に判断

そこまで合格難易度が高くなく、受験の申し込みが済んでいる場合は、取得予定とは若干扱いが変わる場合もあります。試験日が確定しており、合格発表の時期も決まっているためです。企業側は、入社日を合格発表の後に設定できるか、資格が不要な業務から担当してもらえるかを検討できます。ただし、これは企業側の都合によりますので、応募前に確認してください。問い合わせる際は、受験する試験の名称、試験日、合格発表の日を伝えてください。この3点があれば、企業側は入社時期を含めて検討できます。応募書類の資格欄にも、同じ内容を記載してください。

【34】合格しているが、登録・免許の交付が済んでいない
◎ 応募をおすすめします

合格が確定していれば、選考上は保有しているものとして扱われます。登録や交付は手続きの問題であり、要する期間も分かっているためです。資格欄には「〇〇試験合格(〇年〇月)、登録手続中」と記載してください。登録に実務経験や講習の修了が必要な資格では、その要件を満たしているかも書き添えると、いつ登録できるのかが伝わります。宅地建物取引士のように、登録に実務講習が必要な場合は、講習の受講予定日まで記載しておくと確実です。

【35】資格が失効している
× 見送りをおすすめします

失効している場合、保有していない状態と同じです。必須資格の求人へは応募できません。ただし、資格によって再取得の負担が大きく変わります。講習の受講や手数料の納付で復活する資格もあれば、試験からやり直す資格もあります。まずは、自身の資格がどちらに該当するかを確認してください。手続きで復活するのであれば、その手続きを進めてから応募する方が早く決まります。なお、過去に取得していた事実は、業務の経験を示す材料にはなりますので、資格が不要な求人へ応募する際には記載してください。

【36】更新の期限が切れている
△ 慎重に判断

更新制の資格では、期限が切れた状態の扱いが資格ごとに異なります。期限後も一定期間内であれば手続きで戻せる資格、講習を受け直せば戻せる資格、失効として扱われる資格があります。まずは、所管する団体へ確認してください。応募の可否は、いつ更新できるかによって判断が変わります。数週間で戻せるのであれば、その旨を伝えた上で応募できますが、1年以上先になる場合は、その資格を必須とする求人への応募は見送る方が良いと思います。応募書類には、更新の手続きを進めている旨と、完了の見込み時期を記載してください。

【37】上位の資格を保有しているが、指定の資格は未保有
△ 資格ごとに慎重に判断

上位の資格を保有していれば認められる場合が多くありますが、これも資格の種類によります。簿記のように級で分かれている資格であれば、上位の級を保有していれば問題ありません。一方、業務の範囲が資格ごとに定められている場合は、上位の資格でも代替できません。電気工事士のように、第一種と第二種で担当できる工事が分かれている資格が該当します。この場合、第一種を保有していれば第二種の範囲も担当できますので代替できますが、資格の体系によっては上下の関係になっていない例もあります。判断が付かない場合は、保有している資格名を伝えて確認してください。

【38】同等とされる別の資格を保有している
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

同じ領域に複数の資格がある場合、企業がそのうち1つだけを書いている例があります。募集要項を作成した担当者が、社内で使われている呼び方をそのまま書いた結果、他の資格が漏れている場合です。財務や会計の領域、IT関連の資格、語学の検定などで見られます。応募の際は、保有している資格名と、指定された資格との関係を伝えて確認してください。認定する団体が異なるだけで同じ水準を証明する資格であれば、その旨を説明すると認められる場合があります。書類には、資格名に加えて、その資格が何を証明するものかを1行で記載すると伝わります。

【39】海外で取得した資格
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

海外で取得した資格は、日本国内で同じ効力を持つとは限りません。日本の資格と相互に承認されている場合、国内の試験の一部が免除される場合、まったく別の資格として扱われる場合があります。まずは、自身の資格が日本国内でどう扱われるかを確認してください。国内の資格として認められない場合でも、その領域の知識を保有している事実は評価されます。応募の際は、取得した国、認定する団体、日本の資格との対応関係を記載してください。この3点がないと、採用側は資格の水準を判断できません。

【40】資格は保有しているが、その業務の経験がない
◎ 応募をおすすめします

資格を条件としている求人へ、資格を保有した状態で応募することに問題はありません。経験年数が別途書かれていない限り、条件を満たしています。むしろ、資格を必須としながら未経験可としている求人は多くあります。有資格者の確保が難しい領域では、経験よりも資格の保有が優先されるためです。応募の際は、資格を取得した時期と、取得後に何をしていたかを書いてください。取得から時間が経っている場合は、知識を維持するために行っていることを記載すると、選考で有利になります。

【41】受験の要件を満たしておらず、当面は取得できない
× 見送りをおすすめします

受験に実務経験や学歴の要件がある資格では、要件を満たすまで取得できません。この場合、いつ応募できるようになるかが決まっているため、その期間をどう使うかを考える方が有効です。多くの資格では、受験の要件となる経験を積める職場へ入ることが先になります。応募の際は、その資格を必須とする求人ではなく、要件となる経験を積める求人を選んでください。求人票に資格取得支援や、受験要件を満たすまでの育成について記載がある企業もあります。

【42】資格取得支援ありと書かれた求人で、未取得
◎ 応募をおすすめします

資格取得支援の記載がある場合、入社後の取得を想定した募集です。未取得での応募が前提になっていますので、条件を満たしていない状態には当たりません。応募の際は、いつまでに取得する予定かを書いてください。試験の実施時期を調べた上で、入社後のどの時期に受験するかを記載すると、計画を立てた上で応募していることが伝わります。あわせて、支援の内容も確認してください。受験料の補助のみの場合と、講座の費用や学習の時間まで確保される場合とでは、取得までの負担が変わります。

【43】有資格者歓迎と書かれた求人で、未取得
◎ 応募をおすすめします

歓迎条件は、満たしていれば有利になる項目であり、応募の条件ではありません。未取得でも応募できます。ただし、有資格者の応募があった場合、比較検討の中では不利になります。応募の際は、資格以外の部分で条件を満たしていることを書いてください。経験年数、担当してきた業務の範囲、関連する別の資格などが該当します。取得の意思がある場合は、その旨を書き添えても構いませんが、意思の表明だけでは評価は変わりません。受験する時期を決めているのであれば、そこまで記載してください。

【44】業務独占資格が未取得
× 見送りをおすすめします

業務独占資格は、その資格を保有する方だけが担当できる業務を定めたものです。医師、看護師、税理士、社会保険労務士、電気工事士などが該当します。この種類の資格を必須とする求人では、未取得での応募は成立しません。企業側に採用の意思があっても、業務を担当させられないためです。一方、有資格者の補助として働く求人は別に存在します。税理士事務所の補助者、医療機関の医療事務、社会保険労務士事務所の事務担当などが該当します。その領域で働きたい場合は、こちらの求人を探してください。実際に、補助者として働きながら資格の取得を目指す方は多くいます。


E|学歴

学歴の条件は、他の条件と性質が異なります。経験や資格は後から積めますが、最終学歴は変わらないためです。企業が学歴を書く理由は主に3つあり、社内の等級制度や昇進の要件と結び付いている場合、業務の内容から一定の知識を求めている場合、応募者数を絞るために置いている場合です。このうち等級制度と結び付いている場合は運用が厳格で、経験では代替できません。反対に、応募者数を絞る目的であれば、経験や資格で判断が変わります。以下の10件では、この違いの見分け方も含めて解説します。

【45】大卒以上の募集に対し、高卒
△ 慎重に判断

大企業や、新卒採用を毎年行っている企業では、学歴が給与のテーブルや昇進の要件と結び付いている例が多く、この場合は運用が厳格です。中途採用でも新卒と同じ基準を当てはめているため、経験年数で代替されません。一方、募集ごとに条件を決めている企業では、応募者数を絞る目的で書かれている場合があり、経験や資格によって判断が変わります。見分ける材料としては、その企業が新卒採用を継続しているか、求人票へ等級や号俸の記載があるかを確認してください。応募する場合は、経験年数、担当してきた業務の範囲、保有している資格を書いた上で、可否を問い合わせてください。あわせて、学歴不問の求人も並行して探すことをおすすめします。同じ職種でも、企業の規模によって学歴の扱いは大きく変わります。

【46】大卒以上の募集に対し、専門卒
△ 慎重に判断

専門学校の卒業では専門士の称号が得られますが、学位ではないため、大卒以上の条件は満たしません。ただし、専攻が募集業務と直結している場合は扱いが変わります。医療、建築、IT、デザイン、調理、自動車整備といった領域では、専門学校で学んだ内容がそのまま業務に繋がるため、学歴の条件より専攻が重視される例があります。応募の際は、学校名だけでなく、学科名と在学中に学んだ内容、取得した資格を書いてください。専攻が業務と関係ない場合は、【45】と同じ判断になります。なお、高度専門士の称号を得られる4年制の課程を修了している場合は、大学院への入学資格が認められますので、その旨を記載すると学歴の水準が伝わります。

【47】大卒以上の募集に対し、短大卒
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

短期大学の卒業では短期大学士の学位が得られます。学位を有している点で、高卒や専門卒とは扱いが分かれます。企業が「大卒以上」と書く際、学士以上を求めている場合と、学位を有していれば足りるとしている場合があり、運用に幅があります。求人票に「大卒以上(短大・専門含む)」と書かれる例があるのは、この幅を埋めるためです。記載がない場合は、応募前に問い合わせてください。確認する際は、短期大学士の学位を有している旨を伝えると判断が早くなります。なお、短大卒を新卒で採用している企業であれば、中途でも対象に含めている可能性が高くなりますので、採用ページの新卒募集要項を見ておくと目安になります。

【48】大卒以上の募集に対し、大学中退
△ 慎重に判断

中退の場合、最終学歴は高卒になりますので、学歴の条件としては【45】と同じ扱いです。ただし、在学していた事実と取得した単位は経歴として書けます。応募の際に注意していただきたいのは、学歴欄の書き方です。入学と中退を年月で記載してください。在学していた期間を書かずに省略すると、経歴の詐称に当たります。中退した理由については、経済的な事情、家業、病気、進路の変更など様々ですが、簡潔に書いておく方が良いと思います。理由の記載がないと、空白の期間として扱われ、面接で確認されます。先に書いておけば、その分の質問が減ります。

【49】大卒以上の募集に対し、高専卒
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

高等専門学校の卒業では準学士の称号が得られ、専攻科まで修了すると学士の学位が得られます。技術系の募集では、高専卒を大卒と同等に扱う企業が多くあります。製造業や建設業では、高専卒を新卒で継続的に採用している企業も多く、この場合は中途でも対象になります。一方、事務系や文系の職種の募集では、扱いが分かれます。応募の際は、卒業した学科名と、専攻科を修了しているかどうかを伝えてください。専攻科を修了していれば学士になりますので、大卒以上の条件を満たします。本科の卒業のみの場合は、確認しておく方が確実です。

【50】通信制・夜間の大学を卒業
◎ 応募をおすすめします

学位は通学の形態によって変わりません。通信教育課程でも夜間の課程でも、卒業すれば学士の学位が得られますので、大卒以上の条件を満たします。学歴欄には、学校の正式名称を書いてください。通信教育課程や第二部は正式名称の一部ですので、省略せずに記載します。働きながら卒業した場合は、在職中に通学していた旨を書き添えてください。仕事と並行して数年間続けた事実は、書類選考でも面接でも評価されます。学歴の条件を満たすかどうかという以前に、応募者の姿勢が伝わる項目になりますので、隠す必要はありません。

【51】海外の大学を卒業
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

海外の大学の学位が日本の学士と同等に扱われるかは、国と学校によって異なります。その国の認証を受けた高等教育機関であれば、日本でも学士として扱われる例が多くありますが、判断は企業によって分かれます。応募の際は、国名、学校名、取得した学位の名称、修業年限を記載してください。この4点があれば、企業側は日本の学位との対応関係を判断できます。あわせて、日本語での業務に問題がないことを書き添えてください。海外の大学を卒業している場合、日本語の水準を確認されることがあります。日本語能力試験を受験しているのであれば、その等級も記載してください。

【52】大学院を修了しているが、学部卒を想定した募集
◎ 応募をおすすめします

大卒以上の条件は満たしていますので、応募に問題はありません。留意点は別にあり、給与のテーブルと、志望の理由をどう説明するかです。企業によっては修士や博士の初任給を別に定めており、募集している職位との間で差が出る場合があります。この点は面接で確認されますので、希望する条件を伝えられるようにしておいてください。もう1つは、研究内容と業務が関係ない場合の説明です。なぜその職種を選んだのかを志望動機へ書いていないと、他に決まらなかったのだろうと受け取られます。研究で扱ってきた領域と業務が離れている場合ほど、志望の理由をちゃんと書いておくと良いです。研究で身に付けた進め方が業務のどこに繋がるかを記載すると、経歴と応募先が結び付きます。

【53】専攻・学部の指定を満たさない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

「理系学部卒」「情報系の専攻」といった指定には、2つの種類があります。1つは、資格の受験要件に関わる指定です。建築士のように、指定された科目を修めていなければ受験できない資格がある場合、専攻の指定は代替できません。もう1つは、業務に必要な知識の水準を確認するための指定です。この場合は、独学や業務での経験によって判断が変わります。見分ける材料は、募集している職種が資格を必要とするかどうかです。応募の際は、専攻が異なる点に触れた上で、その領域で学んだ内容や担当してきた業務を書いてください。関連する資格を保有しているのであれば、専攻の指定を補う材料になります。

【54】卒業見込みの時期と入社時期が合わない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

中途採用では入社日が決まっている求人が多く、卒業前の入社ができない場合があります。企業側としては、入社日を後ろへ動かせるか、卒業までアルバイトや契約社員として勤務してもらえるかという検討になりますが、これは企業の事情によります。早めに問い合わせてください。伝える内容は、卒業の時期と、入社可能になる日です。この2点があれば、企業側は選考の時期を含めて検討できます。あわせて、新卒の採用枠で応募できるかも確認してください。既卒3年以内を新卒枠の対象としている企業は多く、そちらの方が条件に合う場合があります。


F|年齢・社会人経験

年齢の条件は、他の条件と法律上の扱いが異なります。労働施策総合推進法第9条により、企業は募集及び採用について、年齢にかかわりなく均等な機会を与えることが義務付けられており、年齢によって応募を制限することは原則として禁止されています。例外的に年齢制限が認められる事由は、同法施行規則第1条の3において限定的に定められています。

そのため、求人票に年齢が書かれている場合、その募集は例外事由のいずれかに該当していることになります。例外事由に該当する場合、求人票へ「例外事由〇号」として理由を記載することが求められており、定年年齢を上限として募集する場合は1号、労働基準法などで年齢制限が設けられている業務は2号として記載されます。この号数が書かれていれば、企業が年齢を書いた理由が分かります。以下の7件では、この点も踏まえて解説します。

【55】上限年齢を5歳程度超えている
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

年齢の上限は、社内の年齢構成や、入社後の育成の期間から置かれている場合が多く、経験や資格で判断が変わる余地があります。5歳程度であれば、経験年数や担当してきた業務の範囲によって、選考へ進む例は珍しくありません。ただし、定年年齢を上限とした募集(例外事由1号)の場合、その年齢を超えて採用することはありませんので、この場合は判断が変わります。求人票へ号数の記載があるかを確認してください。応募する際は、年齢を超えている点に触れた上で、その年数で何を担当してきたかを書いてください。あわせて問い合わせておくと、書類選考の前に可否が分かります。

【56】上限年齢を10歳以上超えている
△ 慎重に判断

10歳以上の差になると、年齢構成の観点から採用が難しくなります。募集している職位の上に在籍している社員の年齢を超えてしまう場合、入社後の指揮命令の関係を作りにくくなるためです。応募する意味があるのは、募集している職位よりも上の役割を担当できる場合、その企業に不足している経験を保有している場合です。管理職としての経験や、専門性の高い領域での経験があれば、職位を変えて採用される例もあります。該当するものがない場合、書類選考の通過は見込みにくくなりますので、まずは問い合わせて、可否と、どの職位であれば検討の対象になるかを確認してください。

【57】下限の年齢に届いていない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

下限が置かれる理由は、上限とは異なります。労働基準法などの法令により年齢制限が設けられている業務(例外事由2号)であれば、年齢に達していなければ担当できません。深夜業務、危険を伴う業務、酒類を扱う業務などが該当します。この場合は年齢に達するまで応募できません。一方、法令上の制限ではなく、経験年数の目安として年齢を書いている求人であれば、経験を満たしていれば選考へ進めます。求人票へ号数の記載があるかを確認した上で、記載がない場合は問い合わせてください。応募する際は、年齢ではなく、担当してきた業務と年数を書いてください。

【58】「35歳以下」等の記載がある求人
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

この形の記載は、長期勤続によるキャリア形成を目的とした募集(例外事由3号イ)に該当します。この事由による募集では、対象者の職業経験を不問とすることが求められており、若年者を対象として「〇歳以下、経験不問」とする形が認められています。そのため、年齢の上限が書かれていながら経験年数も条件としている求人は、この事由に沿っていない可能性があります。「〇歳未満は未経験でも可」「〇歳以上は経験者のみ」といった表現は、例外事由に該当しない年齢制限が行われていると考えられるとして、法の趣旨に照らして問題があるとされています。年齢を超えている場合でも、経験を保有しているのであれば、応募の可否を問い合わせる意味があります。企業側が年齢の記載を見直す場合もあります。

【59】定年後の再就職として応募する
△ 慎重に判断

定年後の応募では、雇用の形態から確認する必要があります。正社員の募集は、定年年齢までの勤務を想定して条件が組まれているため、定年を超えている場合は対象にならない例が多くあります。一方、契約社員、嘱託、パートといった形での募集であれば、年齢の上限を置いていない求人も多くあります。また、60歳以上の高年齢者に限定して募集・採用する場合には、年齢制限をすることが認められています(例外事由3号ニ)ので、この形で募集している求人もあります。応募の際は、正社員の求人に絞らず、雇用の形態を広げて探してください。書類には、これまで担当してきた業務に加えて、勤務できる日数と時間を書いてください。定年後の応募では、企業側はこの点を確認します。

【60】社会人経験の年数が不足している(第2新卒)
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

中途採用の求人で「社会人経験3年以上」と書かれている場合、その年数の中で基礎的な業務を担当した経験を求めています。年数が不足していても、第2新卒歓迎、社会人経験1年以上といった記載のある求人であれば対象になります。指定の年数に届いていない求人へ応募する場合は、在籍している期間で担当してきた業務を書いてください。第2新卒の選考では、業務の内容よりも、前職を短期間で退職した理由を確認されます。この点を書類へ書いておくと、面接での質問が減ります。あわせて、新卒の採用枠でも応募できる場合がありますので、そちらも確認してください。

【61】新卒枠に既卒で応募する
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

卒業後3年以内を新卒の採用枠の対象としている企業は多くあります。厚生労働省が青少年雇用機会確保指針において、卒業後3年以内の既卒者を新卒枠へ応募できるよう求めていることが背景にあります。ただし、企業によって扱いは分かれますので、採用ページの募集要項を確認した上で、記載がない場合は問い合わせてください。応募する際は、卒業してからの期間に何をしていたかを書いてください。就業していた場合はその業務を、就業していない場合は資格の取得や学習の内容を記載します。空白のまま応募すると、その期間について確認されます。


G|語学・スキル

語学やソフトの条件は、水準を伝えるために置かれています。企業が「TOEIC700点以上」「Excelの実務経験」と書くのは、点数や名称そのものを求めているのではなく、入社後に担当する業務へ対応できるかを確認するためです。そのため、この分野の条件は、他の条件と比べて代替が利きます。点数に届いていなくても、業務でその言語やソフトを使用してきた経験があれば、水準は伝わります。反対に、点数を保有していても業務での使用経験がなければ、選考で確認されます。以下の10件では、この読まれ方を踏まえて解説します。

【62】TOEICの点数が指定に届いていない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

点数が指定されている場合、その点数が入社後の業務に直結しているとは限りません。社内の制度として昇進や海外赴任の要件に点数を定めており、採用でも同じ数字を書いている例があります。一方、海外の取引先と日常的に連絡を取る業務であれば、点数は業務の水準として置かれています。分かれ目は、募集要項に書かれた業務内容です。読み書きが中心なのか、会話が必要なのかを確認してください。応募の際は、点数に加えて、業務で英語を使用した場面を書いてください。取引先との連絡、資料の作成、会議への参加といった内容を記載すれば、点数の差を補えます。数十点の差であれば、経験の記載で判断が変わる例が多くあります。

【63】受験歴はないが、業務で英語を使用してきた
◎ 応募をおすすめします

点数を保有していない状態であっても、業務での使用経験がある方が評価される場面は多くあります。企業が確認したいのは業務への対応力であり、点数はその確認を簡単にするための材料だからです。応募の際は、使用していた場面を書いてください。相手の国、連絡の手段(電子メール、電話、会議)、頻度、扱っていた内容の3点を記載すると水準が伝わります。「海外拠点の担当者と週2回の会議へ参加し、生産計画の調整を担当」という書き方であれば、点数の記載がなくても判断できます。あわせて、受験する予定があれば書き添えてください。選考の期間中に受験できる場合、結果が出た時点で伝えることもできます。

【64】ビジネスレベルの指定に対し、日常会話レベル
△ 慎重に判断

この2つの区分は明確な定義がなく、企業ごとに想定している水準が異なります。交渉や契約の場面まで含めている企業もあれば、社内での連絡ができれば足りるとしている企業もあります。そのため、自己申告の区分で判断せず、実際に対応できる業務で確認してください。応募の際は、レベルの名称を書くのではなく、経験した場面を書いてください。反対に、業務で使用した経験がなく、学習のみで日常会話ができる水準であれば、ビジネスレベルの指定がある求人では不足と見られます。この場合は、語学の使用頻度が低い求人を選ぶか、使用しながら習得できる求人を探す方が結果に繋がります。

【65】読み書きはできるが、会話に不安がある
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

業務で必要とされる語学の内容は、職種によって大きく変わります。技術文書の読解や、電子メールでの連絡が中心であれば、会話の頻度は限られます。反対に、電話や会議での対応が中心の業務では、読み書きの水準だけでは足りません。募集要項の業務内容から判断が付かない場合は、語学を使用する場面の内訳を問い合わせてください。応募する際は、読み書きで担当してきた内容を書いた上で、会話の経験がある場面も記載してください。会議で発言していたのか、聞き取りが中心だったのかまで書くと、入社後にどこから担当できるかが伝わります。

【66】英語以外の言語の経験のみ
△ 慎重に判断

指定された言語の経験がない場合、その言語を使用する業務は担当できません。ただし、企業が求人票へ英語と書いていても、実際に取引のある国が別にある場合があります。中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語などの人材を確保しにくい言語では、保有していることが有利になる例もあります。応募の際は、保有している言語と水準を書いた上で、その言語を業務で使用した経験を記載してください。あわせて、その企業の海外拠点や取引先の所在地を調べてください。保有している言語の地域に拠点があれば、志望動機として書ける材料になります。指定の言語をこれから習得する前提での応募は、選考の判断が変わりませんので避けてください。

【67】指定のソフトは未経験だが、類似のソフトの経験がある
◎ 応募をおすすめします

会計ソフト、給与計算ソフト、販売管理システム、設計ソフトなどは、製品が異なっても操作の考え方が共通しています。企業側もこの点は把握していますので、類似のソフトの経験があれば選考へ進めます。入社後の習得に要する期間も限られます。応募の際は、使用していたソフトの製品名を書いてください。加えて、そのソフトで担当していた業務を記載します。会計ソフトであれば、仕訳の入力までなのか、決算まで担当していたのかによって水準が変わります。製品名だけを並べると、操作できることは伝わっても、何を担当していたかが伝わりません。

【68】指定のソフトのバージョンが古い
◎ 応募をおすすめします

バージョンの違いが選考で問題になることはそこまでありません。画面の構成や機能の追加はありますが、業務での使い方は共通しているためです。応募の際は、バージョンを書き添える程度で足ります。ただし、設計や開発の分野では、バージョンによって扱えるデータの形式や、対応している機能が変わる場合があります。この分野では、使用していたバージョンを記載した上で、業務で担当していた内容を書いてください。あわせて、その企業が導入しているバージョンを問い合わせておくと、入社後にどの程度の習得が必要かを把握できます。

【69】プログラミング言語が指定と異なる
◎ 応募をおすすめします

言語が異なっていても、同じ系統であれば習得までの期間は限られます。開発の経験があれば、設計や試験の進め方は共通しているためです。求人票へ「〇〇の経験があれば言語は問いません」と書かれている場合は、この考え方によります。一方、その言語でなければ担当できない案件を抱えている場合や、既存のシステムの保守が中心の募集では、言語の指定が条件として運用されます。応募の際は、担当していた言語と、開発したシステムの内容、担当していた工程を書いてください。要件定義から担当していた場合は、言語よりもその経験が評価されます。判断が付かない場合は、可否を問い合わせてください。

【70】資格はないが、独学で操作できる
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

ソフトの操作については、資格よりも業務での使用経験が重視されます。資格が書かれている場合も、水準を伝えるための記載であることが多く、同じ水準を示せれば代替できます。応募の際は、操作できることを書くのではなく、何を作成したかを書いてください。作成した資料の種類、扱っていたデータの件数、使用していた機能を記載すると水準が伝わります。反対に、学習した講座名や教材名を並べても、業務で対応できるかは伝わりません。事務職の募集では、入社後にソフトの操作を確認される場面もありますので、書いた内容と実際の水準は合わせておいてください。

【71】Excelの関数・マクロの水準が指定に届かない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

Excelの条件は、求人票の書き方に幅があります。「基本操作」「関数が使える方」「VBAの経験」といった記載がありますが、企業が想定している水準は様々です。関数と書かれていても、合計や平均までを想定している場合と、複数の表を参照する処理までを想定している場合があります。応募の際は、対応できる関数の名称を書いてください。VLOOKUP、SUMIF、ピボットテーブルといった名称を記載すると、水準が伝わります。マクロの経験がない場合は、その旨を書いた上で、対応できる範囲を記載してください。書かずに応募して、入社後に対応できない状況になると、双方にとって不利益になります。


H|免許・身体要件

免許や身体の条件は、法令によって定められている場合が多く、この場合は経験や意欲で代替できません。運転できない車両を担当させることはできず、法令上の基準を満たさない方を配置することもできないためです。一方、免許の記載があっても、業務で運転する頻度が低く、通勤の手段として書かれている場合もあります。分かれ目は、その免許が業務そのものに必要なのか、勤務の条件として書かれているのかという点です。以下の6件では、この違いを踏まえて解説します。

【72】普通自動車免許がAT限定
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

社用車がAT車のみであれば、限定の有無は問われません。営業職や訪問を伴う職種では、社用車をAT車に統一している企業が多くあります。一方、限定を解除するよう求人票へ書かれている場合や、MT車を保有している企業では条件になります。トラックや作業車を扱う業種、地方で古い車両を継続して使用している企業が該当します。応募の際は、AT限定である旨を書いてください。書かずに応募して、入社後にMT車の運転を求められる状況は避けてください。限定の解除は教習所で数日の講習を受ければ済みますので、内定の後に解除する形で調整できる場合もあります。問い合わせる際は、その意向も伝えてください。

【73】普通自動車免許を取得予定
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

資格の取得予定とは扱いが分かれます。普通自動車免許は、教習所へ通えば取得できる見込みが立ち、要する期間も分かっているためです。企業側も、入社日までに取得できるかを判断できます。応募の際は、教習所へ入所しているかどうかと、取得の見込み時期を書いてください。入所前の状態で「取得予定」とだけ書くと、資格の取得予定と同じ扱いになります。入所していれば、卒業の予定日を記載してください。入社日までに間に合わない場合でも、免許を必要としない業務から担当できるかを確認できますので、早めに問い合わせてください。

【74】中型・大型免許が未取得
△ 慎重に判断

運転する車両が決まっている募集では、その免許がなければ業務を担当できません。免許の取得には、普通免許を取得してからの経過年数という要件があり、すぐに取得できるとは限りません。中型免許は20歳以上かつ普通免許等の保有期間が通算2年以上、大型免許は21歳以上かつ通算3年以上が要件になります。要件を満たしていない場合は、その時期まで応募できません。一方、免許の取得を支援している企業も多くあります。運送業では、普通免許の保有者を採用し、費用を負担して取得させる募集が出ています。求人票へ免許取得支援の記載がある企業を探してください。要件を満たしているのであれば、取得してから応募する方が選択できる求人は広がります。

【75】技能講習が未修了
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

フォークリフト、玉掛け、高所作業車、足場の組立てなどの技能講習は、数日で修了できるものが多く、費用も限られます。入社後に受講させる企業も多いため、未修了での応募が問題になる例は多くありません。応募の際は、修了している講習と、未修了の講習を分けて書いてください。あわせて、入社後の受講が可能かを問い合わせてください。企業が費用を負担する場合と、自己負担で受講する場合があります。応募前に取得しておく方が有利になるのは、その講習の修了者を必要としている募集や、複数の応募者が想定される募集です。数日で修了できる講習であれば、応募の前に受講しておく選択もあります。

【76】視力・聴力などの身体の要件を満たさない
× 見送りをおすすめします

法令によって基準が定められている業務では、基準を満たしていなければ担当できません。運転を伴う業務では免許の取得に視力の基準があり、警備業務や航空、鉄道などの分野でも基準が定められています。この場合、企業側に採用の意思があっても配置できません。ただし、矯正した状態で基準を満たしていれば問題ありませんので、まずは基準の内容を確認してください。基準を満たせない場合でも、同じ業界で身体の要件がない職種は多くあります。運送業であれば運行管理や配車、警備業であれば管制や事務といった職種が該当します。その業界で働きたい場合は、こちらの求人を探してください。

【77】運転の経験が浅い
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

免許を保有していれば条件は満たしていますが、運転の頻度が高い職種では、経験の程度を確認されます。日常的に運転する業務では、事故の可能性が経験と結び付くためです。応募の際は、免許を取得した時期と、運転している頻度を書いてください。「取得から5年、月に10回程度」という記載であれば、企業側は入社後にどの程度の慣らしが必要かを判断できます。あわせて、事故や違反の有無も確認されます。運転を伴う職種では、免許証の写しや運転記録証明書の提出を求められる場合があります。経験が浅い点を隠して入社すると、事故に繋がりますので、書いた上で応募してください。


I|勤務条件

勤務条件は、応募資格とは性質が異なります。経験や資格は選考で判断される項目ですが、勤務条件は入社後に継続する条件だからです。そのため、条件が合わない状態で応募して内定を得ても、入社後に問題になります。反対に、求人票へ書かれた条件が実際の運用とは異なる場合もあります。全国転勤と書かれていながら、実際の異動は数年に1度という企業もあります。この分野では、条件を満たすかどうかよりも、応募前に実際の運用を確認しておくことが判断の軸になります。以下の12件では、確認すべき内容も含めて解説します。

【78】転勤ありの求人だが、転勤が難しい
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

転勤の記載は、可能性として書かれている場合が多くあります。就業規則へ配置転換の条項を置いている企業では、実際の異動が少なくても求人票へ記載します。確認していただきたいのは、異動の頻度、対象となる地域、エリア限定の制度の有無です。地域限定社員や勤務地限定の制度を設けている企業であれば、その区分での採用を検討できます。制度がない場合でも、募集している部署に異動の実績がなければ、当面は転居を伴わない可能性があります。応募の際は、この点を確認した上で、転勤が難しい事情も伝えてください。伝えずに内定を得ると、入社後に条件を変えられない状況になります。

【79】引越しを伴うため、時期の調整が必要
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

勤務地が遠方で、入社に転居を伴う場合、入社日の調整が必要になります。住居を探す期間と、現職の退職までの期間が重なるためです。企業側もこの事情は把握していますので、応募の段階で伝えれば調整できる例が多くあります。確認していただきたいのは、入社日をどこまで動かせるか、赴任の費用や社宅の制度があるかという点です。転居を伴う採用では、費用を負担する企業も多くあります。応募書類には、現在の居住地と、入社可能な時期を書いてください。書かずに選考が進むと、内定の後に入社日の調整で時間を要します。

【80】シフト制で、対応できない曜日がある
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

シフト制の職場では、全員が同じ条件で勤務しているわけではありません。学生や主婦の方を含めて、勤務できる曜日が異なる方を組み合わせて編成しています。そのため、対応できない曜日があっても、他の方との組み合わせで成立する場合があります。分かれ目は、その曜日に勤務できる方が足りているかどうかです。応募の際は、勤務できる曜日と時間帯を書いてください。あわせて、その事情が続くものか、期間が限られるものかも伝えてください。育児や介護、通学のように期間が決まっている場合は、いつまでかを記載すると、企業側は先の編成まで含めて判断できます。

【81】夜勤ありの求人だが、夜勤が難しい
△ 慎重に判断

夜勤を含む職場では、夜勤に対応できる人員の確保が課題になっている例が多くあります。夜勤ありと書かれている募集は、その人員を確保するために出されている場合があり、日勤のみの希望では対象になりにくくなります。ただし、日勤専従の区分を設けている職場もあります。医療や介護の分野では、日勤常勤という形での採用が一般的に行われています。応募の際は、その区分があるかを確認してください。区分がない職場へ日勤のみの希望で応募すると、選考の途中で条件が合わないことが分かり、双方の時間を使うことになります。給与の水準も夜勤の手当を含んで提示されている場合がありますので、日勤のみの場合の金額も確認してください。

【82】土日祝の出勤ができない
△ 慎重に判断

小売、飲食、宿泊、医療、介護といった業種では、土日祝の勤務が業務の中心になります。この分野で土日祝に出勤できない場合、対象になる求人は限られます。一方、同じ業種でも本部や管理部門であれば、平日のみの勤務になります。応募の際は、職種を変える形で探す方が結果に繋がります。事務職や営業職であっても、月に数回の休日出勤が発生する求人はありますので、頻度を確認してください。対応できない事情が続くものであれば、その旨を伝えた上で応募してください。年に数回であれば調整できる場合もあり、頻度によって判断が変わります。

【83】残業時間の想定に対応できない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

求人票へ書かれた残業時間は平均であり、部署や時期によって幅があります。月20時間と書かれていても、繁忙期には増える場合があります。確認していただきたいのは、募集している部署の残業時間、繁忙期の時期と程度、時間外労働に関する協定の内容です。この3点を聞けば、実際の勤務時間が把握できます。対応できる範囲が限られている場合は、その範囲を伝えてください。育児や介護の事情がある場合は、短時間勤務や所定外労働の制限の制度を確認してください。制度の対象になるのであれば、条件を満たした上で勤務できます。

【84】通勤時間が想定より長い
◎ 応募をおすすめします

通勤時間が条件として書かれる例はほとんどありません。通勤手当に上限を設けている企業はありますが、応募の可否とは別の話です。ただし、片道2時間を超えるような場合、面接で継続して通勤できるかを確認されます。企業側としては、通勤の負担で早期に退職されることを避けたいためです。応募の際は、通勤時間と経路を書いた上で、通勤できる理由を書き添えてください。転居を検討している場合や、その経路を過去に通勤していた場合は、その旨を記載すると疑問が解消します。あわせて、通勤手当の上限も確認してください。上限を超える分は自己負担になります。

【85】車通勤が必要だが、車を保有していない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

車通勤が条件になっている職場は、公共の交通機関で通勤できない立地にある場合がほとんどです。この場合、入社までに車を用意できるかが問われます。応募の際は、購入の予定があるかを伝えてください。入社日までに用意できるのであれば、条件を満たしていることになります。あわせて、駐車場の有無と費用の負担、通勤手当の算定方法を確認してください。企業が駐車場を用意している場合と、自身で契約する場合があります。用意できる見込みが立たない場合は、送迎のある職場や、公共の交通機関で通勤できる立地の求人を探してください。

【86】出社が必要な求人だが、リモートを希望している
△ 慎重に判断

リモート勤務の可否は、企業の方針によって決まっており、応募者の希望で変わる例は多くありません。求人票へ出社と書かれている場合、その形で業務を進める体制が組まれています。応募の際に希望を伝えることはできますが、選考の判断が変わることは期待しない方が良いと思います。一方、週に数日の出社を条件としている求人や、入社後に一定の期間を経てリモートへ移行できる企業もあります。求人票へ書かれていない場合は問い合わせてください。リモート勤務を条件とするのであれば、その形で募集している求人を探す方が早く決まります。

【87】フルタイムの求人だが、時短勤務を希望している
△ 慎重に判断

フルタイムの募集は、その時間の勤務を必要としているために出されています。時短勤務を希望する場合、対象になる求人は限られます。ただし、育児や介護を理由とする短時間勤務は法律上の制度であり、要件を満たしていれば入社後に利用できます。入社直後から利用できるかは企業によって異なりますので、応募の前に確認してください。制度の対象にならない事情での希望であれば、パートや契約社員の募集を探す方が結果に繋がります。あわせて、時短勤務の場合の給与と、社会保険の加入の可否も確認してください。勤務時間によって扱いが変わります。

【88】入社の希望日と募集の時期が合わない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

欠員の補充で急ぎ採用したい募集と、時期を決めずに良い方がいれば採用する募集があります。前者では入社日が条件になりますが、後者であれば調整できます。応募の際は、入社可能な日を書いてください。現職の引き継ぎや、有給休暇の消化を含めた期間を計算した上で記載します。3ヶ月以上先になる場合は、応募の段階でその旨を伝えてください。企業側が待てる期間を確認できます。あわせて、選考に要する期間も聞いておくと、退職を申し出る時期を決められます。

【89】副業を続けたいが、可否が分からない
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

副業の可否は就業規則で定められており、企業によって扱いが分かれます。全面的に認めている企業、許可制としている企業、禁止している企業があります。求人票へ記載がない場合は問い合わせてください。確認していただきたいのは、認められているかどうかに加えて、届け出や許可の手続き、競業に当たる業務の扱いです。同業種での副業は、認めている企業でも制限される場合があります。応募の際に、続けたい副業の内容と、要している時間を伝えてください。伝えずに入社して、後から問題になる例があります。


J|経歴・在籍状況

このカテゴリーは、他の9つと性質が異なります。経験年数や資格は、募集要項へ条件として書かれますが、離職期間や転職回数を条件として書く求人は多くないためです。それでも書類選考で確認される項目であり、多くの方が応募をためらう理由にもなっています。採用側がこれらを見る理由は、入社後に長く勤務してもらえるかを判断するためです。そのため、事実そのものよりも、その事実をどう説明しているかで評価が変わります。以下の11件では、この点を踏まえて解説します。

【90】離職期間が長い
○ 応募可能(ただし事前問合せを推奨)

離職期間そのものを条件として書く求人はほとんどありません。書類選考で見られているのは、その期間に何をしていたかです。療養、家族の介護、資格の取得、学業、育児といった事情があれば、記載することで疑問は解消します。何もしていなかった期間であっても、書かずに空白のままにするよりは、退職後に転職活動を続けていた旨を書く方が良いと思います。空白のまま提出すると、面接での質問がその期間へ集中します。療養が理由の場合は、現在は業務に支障がない旨まで書いてください。企業側が確認したいのは過去の事情ではなく、入社後に勤務できるかどうかです。

【91】在職中で、入社時期をすぐに決められない
◎ 応募をおすすめします

在職中の応募は一般的であり、不利になることはありません。むしろ、在職しながら転職活動を行っている方が多数です。入社日については、退職の申し出から実際の退職までに要する期間を計算して伝えてください。就業規則で退職の申し出の時期が定められている場合は、その期間を確認します。引き継ぎと有給休暇の消化を含めると、1ヶ月から2ヶ月程度になる例が多くあります。応募書類には「内定後1ヶ月半程度で入社可能」という形で書いてください。「相談の上で決定」とだけ書くと、企業側が選考の時期を組めません。あわせて、面接の日程を調整できる曜日と時間帯も伝えておくと、選考が進みやすくなります。

【92】転職回数が多い
◎ 応募をおすすめします

転職回数を条件として書く求人は多くありませんが、書類選考では確認されます。ただし、回数そのものよりも、退職の理由と、その職歴に一貫した領域があるかが見られます。同じ職種で企業を変えてきたのであれば、経験を積み重ねてきた経歴として説明できます。反対に、職種も業界も毎回変わっている場合は、なぜ変わったのかを説明する必要があります。書類では、それぞれの退職理由を短く書いてください。会社の都合による退職、契約期間の満了、事業の縮小といった事情であれば、その旨を記載します。回数が多い場合ほど、志望動機で長く勤務したい理由を書いてください。

【93】直近の在籍期間が短い
◎ 応募をおすすめします

直近の在籍が数ヶ月の場合、書類選考で確認されます。同じ理由で早期に退職されることを避けたいためです。応募の際は、退職の理由を書いてください。入社前に聞いていた条件と実際の業務が異なっていた、事業の方針が変わって担当する業務が無くなった、体調を崩したといった事情があれば、記載することで判断が変わります。理由を書かずに応募すると、書類選考の段階で対象外になる場合があります。あわせて、志望動機では、応募先で長く勤務できると考える理由を書いてください。前職を退職した理由と、応募先を選んだ理由が繋がっている形が望ましいと思います。

【94】現在は休職中
△ 慎重に判断

休職中の応募は、確認すべき点が複数あります。まず、現在の会社を退職するのか、復職するのかを決めてください。復職せずに転職する場合でも、在籍している間は在職中の扱いになりますので、応募書類には在籍している旨を書きます。次に、休職の理由が体調に関わるものであれば、業務に支障がない状態まで回復しているかを確認してください。回復していない段階で入社すると、同じ状況を繰り返すことになります。応募の際は、休職している事実を書くかどうかで判断が分かれますが、入社日の調整や、入社後に前職の書類を提出する場面で分かる可能性があります。書いた上で応募する方が、後から問題になりません。

【95】学業・資格の取得のために離職していた
◎ 応募をおすすめします

目的を持って離職していた期間は、評価される場合があります。大学院への進学、専門学校への通学、資格の取得のための学習といった内容が該当します。書類には、通学していた学校名と期間、取得した資格を書いてください。取得できなかった場合でも、学習していた内容と、受験した回数を記載すれば説明になります。あわせて、なぜその期間を取ったのかを志望動機へ書いてください。転職のために取得した資格であれば、応募先の業務と繋がりますので、そこまで書くと経歴として成立します。学習した内容と応募先が関係ない場合は、なぜその職種を選んだのかを書いてください。

【96】育児・介護によるブランクがある
◎ 応募をおすすめします

育児や介護による離職は、経歴として説明が付く事情です。書類には、離職の理由と期間を書いてください。あわせて、現在は勤務できる状況になっている旨を記載します。企業側が確認したいのは、入社後に継続して勤務できるかどうかです。保育所が決まっている、家族の協力を得られる、介護が終了しているといった状況があれば、その旨を書いてください。勤務できる曜日や時間に制限がある場合は、それも書いた上で応募してください。ブランクの期間中に学習していた内容や、短時間の勤務をしていた経験があれば、それも記載してください。離職の前の経験は、期間が空いても評価されます。

【97】短期の離職を繰り返した時期がある
◎ 応募をおすすめします

過去に短期の離職が続いた時期があっても、その後に継続して勤務している期間があれば、評価は変わります。書類選考で見られているのは、現在も同じ状況が続いているかどうかだからです。直近で3年以上勤務しているのであれば、過去の経歴について確認されても説明できます。応募の際は、その時期に何が起きていたかを短く書いてください。若い時期に職種を決められずにいた、体調を崩していた、家庭の事情があったといった内容が該当します。その上で、現在は継続して勤務している事実を書いてください。過去の経歴を隠す形で書くと、雇用保険の履歴や年金の記録から分かる場合があります。

【98】経歴に説明のつかない期間がある
◎ 応募をおすすめします

書類選考で最も確認されるのは、説明のない空白です。何をしていたかが書かれていないと、企業側は判断できません。数ヶ月であれば転職活動の期間として説明が付きますが、1年を超える場合は理由を書いてください。書ける理由が見当たらない場合でも、その期間に何らかの活動はしているはずです。短期の勤務、家業の手伝い、学習、療養、家族の事情など、事実として書ける内容を探してください。書ける内容が無い場合は、その旨を面接で説明できるようにしておいてください。応募の可否とは別に、この点は必ず確認されますので、準備しておくことが選考の結果に繋がります。

【99】前職と競業の関係にある企業への応募
△ 慎重に判断

同業への転職は一般的に行われていますが、確認すべき点があります。まず、前職で締結した契約に競業を制限する条項があるかを確認してください。次に、その企業と前職との間に取引関係があるかを調べてください。取引先へ転職する場合、前職との関係に影響する可能性があり、企業側が採用を控える場合があります。応募の際は、前職の顧客情報や資料を持ち出さないことを前提としてください。持ち出した情報を使用すると、法律上の問題になります。応募先の面接で前職の内部情報を聞かれた場合も、答えられない旨を伝えてください。その対応で不利になることはなく、むしろ信用に繋がります。

【100】秘密保持・競業避止の契約がある
△ 慎重に判断

退職時に競業避止義務の契約を締結している場合、その内容を確認してください。契約の有無だけでなく、制限される期間、地域、職種の範囲、代償の措置があるかを確認します。競業避止の条項は、締結していれば全て有効になるわけではなく、制限の範囲や代償の有無によって効力が判断されます。ただし、判断は個別の事情によりますので、契約書を確認した上で、弁護士へ相談することをおすすめします。転職そのものを断念する前に、応募しようとしている企業が制限の範囲に含まれるかを確認してください。範囲外であれば問題になりません。秘密保持の契約については、前職で知り得た情報を使用しないことで対応できます。

【著者プロフィールとサービス案内】

埼玉県在住。大学(経済学部)および大学院(法学研究科 修士課程)修了。人事・採用業務、求職者支援、採用コンサルティングに長年従事。現在はスキルシェアプラットフォーム「ココナラ」にて、履歴書・職務経歴書・志望動機・自己PRの作成や添削、面接対策サービスを展開。

人事実務経験を活かし、応募先が求めるポイントを的確に押さえた書類作成を行うことに定評があり、ココナラ内で1,900件以上の実績を有し、評価は星5つがほとんど。複雑なキャリアや職歴に自信がない方のサポート実績も多数あります。

転職や就職活動で結果を出したい方、選考通過に苦戦されている方はぜひお気軽にご相談ください。本物のプロが最後まで丁寧に対応し、あなたの期待以上の成果を約束します。
以上、ご覧いただきありがとうございました。


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