見出し画像

②【新人基礎】まずは病棟で「味方」を増やしましょう



【今回のテーマ】


新人理学療法士が現場(特に病棟)で円滑に業務を進め、患者さんに最大の利益を提供するための「人間関係の構築と立ち振る舞い」について解説します。技術以前に必須となる、多職種連携や環境適応の具体的な判断基準と心構えが学べます。

【免責事項】 ※本記事は、臨床10年超の理学療法士としての経験に基づく情報提供を目的としており、医療行為ではありません。金融商品、物品についての記載があってもそれらの使用を推奨するというのはあくまで個人の見解であることを明記します。それによって生じたいかなる問題も責任を取りかねます。 ※個別の事例は考慮しておりませんので、実際の診断や治療方針については、必ず主治医や所属施設の専門医の指示に従ってください。 ※本記事は執筆時点(2026年3月)の知見に基づいています。所属組織とは無関係な個人の見解です。

1. はじめに:技術があっても「居場所」がなければ発揮できない


「早く技術を習得して、患者さんを良くしたい」 その志は素晴らしいですが、新人が最初につまずくのは技術不足ではありません。「病棟での立ち振る舞い」です。 どれほど高度な促通ができても、病棟スタッフとの関係性が悪ければ、リハビリの時間は確保できず、情報共有も滞り、結果として患者さんに不利益が生じます。10年超の臨床を経て確信している、新人がまずやるべき生存戦略をお伝えします。

2. 最初の評価は「周囲の名前を覚えること」から


新人が一番にやるべきは、関節角度を測ることではありません。 「自分に関わるスタッフの名前を、一日でも早く覚えること」です。 リハ科の先輩、医師、看護師、そして看護助手さん。名前を覚えて呼ぶことは、相手への最大の敬意です。「あの看護師さん」ではなく「◯◯さん」と呼べるようになるだけで、情報の入り方や協力の得られやすさは劇的に変わります。名前を覚えて呼べることは、病棟で信頼関係を築くための大切な第一歩です。

3. 看護師・助手さんの忙しさは「リハの比ではない」という認識

ここを勘違いしている新人が非常に多いです。ナースステーションは常に戦場です。 点滴、採血、入院・退院対応、オペ出し、転倒予防、そして鳴り止まないナースコール。 理学療法士が「40分間、一人の患者さんに集中できる」環境は、病棟スタッフから見ればある種の「特権」です。看護助手さんも、オムツ交換から物品整理、患者さんの移送まで、分単位のタスクを必死にこなしています。 患者さんがリハ以外の23時間を過ごす場所は、常に「病棟」であることを忘れてはいけません。

4. 医師・MSW・先輩へは「すれ違いざま」に声をかける


多職種連携も、待っているだけでは進みません。 医師やソーシャルワーカー(MSW)、そして自分の先輩に対しても、廊下ですれ違った時や、業務が一段落していそうなタイミングを見計らって「今少しだけいいですか?」と話しかける習慣をつけましょう。 もちろん多忙で断られることもありますが、それは「今はタイミングが悪かった」だけのこと。タイミングを変えて、改めて声をかける粘り強さも必要です。

5. 【重要】理不尽な相手に心をすり減らさないための「回避術」

積極的に関わろうとしても、現場にはどうしても「理不尽な人」や「相性が最悪な人」が一定数存在します。 まずは一度関わってみること。そこで「この人は無理だ」と判断したら、真正面からぶつかって心をすり減らす必要はありません。
 苦手な医師に伝えたいなら、仲の良い看護師さんに相談して別の相談方法がないか探る。
 話しやすい先輩に相談して、どの様な言い方が良いか、タイミングはどうか等聞いてみる。
周囲のスタッフと仲良くなっておく最大のメリットは、一人で抱え込まず、適切な相手に相談できる経路を確保する。自分を守るために、味方を増やすのです。
ここでいう「味方」とは、自分の都合を通してくれる人ではありません。患者さんのために情報を共有し、困った時に相談し合える関係のことです。

6. 「ありがとうございますスタンス」があなたと患者さんを救う

病棟スタッフと関係を悪化させて、良いことなど一つもありません。 「リハの時間だから連れて行くのは当然」という態度は捨て、「忙しい中、お時間をいただく」というスタンスが大切だと感じています。
「清拭は何時頃の予定ですか?」
「今からリハに行っても大丈夫ですか?」
と、相手のスケジュールに配慮します。
逆に、こちらからも「ついで」で 移乗を手伝う、バイタルを測って共有するなども必要に応じて行っておくと日頃から関係性ができてきます。

【最後に】

最後までお読みいただき、ありがとうございました。病棟での立ち回りは、学校では教わらない実践的なスキルです。この記事が皆さんの明日からの臨床の助けになれば嬉しいです。

次回は、今回の続きとなる「【新人PT必読③】その言葉が信頼を削っている?プロとして選ぶべき『言葉遣い』の技術」をお届けします。心の壁を作らず、かつ相手のプライドを傷つけない「戦略的コミュニケーション」について書いていますので、ぜひ続けてご覧ください。

このシリーズの記事一覧はこちら

また、現場での関係構築の基礎ができたら、次は具体的な臨床知識を深めていきましょう。以下のシリーズも現場ですぐに活かせる内容になっています。

[▶ 【リスク管理シリーズ】急変を防ぐための実践的観察ポイント]

[▶ 【整形外科シリーズ】術後プロトコルを超えるための臨床思考]

note内の記事を体系的に順番に学びたい方は、[▶ サイトマップ(まずはこちら)]をご活用ください。 すべての記事を一覧でざっと確認したい場合は、[▶ 全記事一覧(全記事から探したい方はこちら)]をご用意しています。

この記事が少しでも「参考になった」「背中を押された」と感じていただけたら、ぜひ「スキ」と「フォロー」をお願いいたします!皆さんのリアクションが、次の記事を執筆する何よりの原動力になります。

いいなと思ったら応援しよう!