前から行くのに、なぜ苦しい? 江原FC戦で見えたガンバの守備の課題
勝ったのになぜかスッキリしない。
ガンバ大阪は、AFCチャンピオンズリーグEliteプレリミナリーステージで江原FCとアウェイで戦いました。
0−0のまま延長戦に入り、最後は名和田のゴールで勝利をつかんだガンバ。
結果だけを見れば、苦しみながらも勝ち切った試合でした。
しかし、試合を振り返ると、前半からガンバが主導権を握っていたわけではありません。
むしろ、江原FCのロングボールと、ガンバのハイプレスによって生まれたスペースに苦しめられました。
では、なぜガンバは江原FCに苦しんだのでしょうか。
そして、後半から延長戦にかけて、何が変わったのでしょうか。
今回は、その2つのポイントから試合を振り返ります。
1.前半、ガンバのハイプレスが空転した理由

試合開始から気になったのが、ガンバの守備でした。
4分 ガンバはハイプレスをかけます。
しかし、江原FCはガンバのダブルボランチとCBのライン間を使って前進。
安部柊斗がポジションを空けて、ハイプレスをかけます。
安部が出たならば、内に絞って相手の4番や7番のパスコースを消さなければいけませんでした。
むしろ、江原の33番には山下がプレスをかけるべきだったでしょう。

この試合の前半、ここが大きなポイントだったと思います。
ガンバは前の6人でハイプレスをかけていました。
一方で、相手を捕まえきれていないハイプレスがまずかった。
そのため、MFとDFの間にフリーの選手がうまれます。
江原FCはそこをうまく使って前進します。
ハイプレスそのものが悪いわけではありません。
問題は、相手を捕まえきれないプレスをしていたことです。
前から圧力をかけるほど、後ろのスペースが気になる。
この状況では、プレスを回避されるだけで前進を許してしまいます。
2.江原FCはロングボールでガンバの裏を狙う
前半、江原FCの攻撃はロングボールが中心でした。
江原FCのロングボールは後半に入ってからさらにガンバを苦しめます。
49分にはガンバDFラインの裏を取られ、左サイドからのクロスからシュート。
54分にも初瀬の背後へロングパスを通され、抜け出されてシュートまで持ち込まれました。
60分の時点では、江原FCのほうが優勢。
特にSBの裏へのロングパスからチャンスを作っています。
前半から気になっていた「DFラインの位置」と、後半に増えた「SBの裏へのロングボール」。
この2つは、つながっているように感じます。
ガンバが前からプレスをかけることで、後ろにはスペースが生まれる。
そこへ江原FCがロングボールを入れる。
ガンバは前からボールを奪いに行きながら、後ろでは相手のロングボールに対応しなければならない。
この構図が、ガンバを苦しめていました。
3.後半、ガンバは中央からの前進でチャンスを作り始めた
後半、ガンバは2人を交代。
イエローカードを前半にもらっていた岸本に代わって佐々木、中野に代わって名和田が入りました。

そして後半のガンバで印象的だったのが、中央からの前進です。
75分までにガンバはネガティブトランジションからいくつか決定機を作ります。
さらに84分には、この試合最大の決定機が生まれました。
相手の1st DFラインの背後で美藤がボールを受けます。
そこからジェバリへ縦パス。
ジェバリから植中へ縦パス。
植中がシュート。
GKに止められたこぼれ球を美藤が押し込みますが、これもGKに当たり、ゴールにはなりませんでした。

この場面で重要なのは、ガンバが中央で縦パスをつないでいることです。
前半は江原FCのロングボールに押される時間がありました。
しかし後半は、ガンバが中央でボールを前進させ、相手の守備ラインの背後まで入り込む場面が増えていきました。
佐々木翔悟がCBに入って、ビルドアップの安定が見られました。
ボールを保持できるようになったことで、相手に攻撃される時間も減りました。
守備の問題 → ビルドアップの安定 → 攻撃の改善 → 守備の安定。
このサイクルがうまく循環しました。

後半は、100年構想リーグのガンバで見られたような、中央で縦パスを連続させる攻撃から決定機を作ることができました。
4.延長戦で、ガンバが見せた「理想の前進」
90分を終えて0−0。
試合は延長戦に入りました。
そして103分、ガンバに待望のゴールが生まれます。
山下のクロスを、名和田が左足で合わせて先制。
ガンバが1−0とリードします。

このゴールは、単なる延長戦の先制点ではありません。
この試合で苦しんだガンバが、最後に見せた「理想的な前進」から生まれたゴールでした。
ガンバは、この攻撃で28本ものパスをつないでいます。
前後左右にボールを動かしながら、江原FCの守備を揺さぶっていく。
ミドルサードまでは大外の幅を使って前進し、ファイナルサードに入ると、内側と中央のレーンを使ってゴールへ向かう。
そして最後は、山下のクロスを名和田が左足で仕留めました。
振り返れば、前半のガンバは江原FCのロングボールに苦しみました。
ハイプレスをかけても相手を捕まえきれず、MFとDFの間やSBの背後を使われてしまう。
しかし、この場面では逆です。
ガンバがボールを保持し、相手を動かし、最後に空いたスペースを使ってゴールを奪いました。
前半に見えた課題と、延長戦で見せた攻撃。
その違いが、この103分のゴールには詰まっていたように思います。
苦しんだ試合だからこそ、このゴールは大きかった。
そして、後半から見え始めた「ボールを保持して相手を動かし、中央へ入っていく」というガンバの攻撃が、最後に結果として表れた瞬間でした。
その後、江原FCは延長後半に長身のFWを投入。
ロングボールを中心とした攻撃に出ます。
ガンバはその攻撃を受けながらも、最後までゴールを許しませんでした。
120分 CKから江原FCに決定機を作られますが、ヘディングシュートはわずかに枠外。
121分 ガンバもロングボールのカウンターから決定機を作り、植中朝日がシュート。
122分 PA内で池谷が相手を倒したように見えましたがノーホイッスル。
そして試合終了。
ガンバが1−0で江原FCを下しました。
5.この試合で見えた、ガンバの課題と可能性
江原FC戦は、苦しみながらも最後は勝ち切ることができました。
ただ、この試合で見えた課題は明確です。
ガンバがハイプレスをかける。
しかし、相手を捕まえきれない。
すると、MFとDFの間にスペースが生まれ、さらにSBの背後も使われる。
江原FCはそこへロングボールを入れ、前進してきました。
つまり、ガンバが苦しんだ原因は、江原FCがロングボールを多用したことだけではありません。
ガンバのハイプレスと、後ろの守備の連動がうまくいかなかったこと。
ここは、次の試合に向けて修正したいポイントです。
一方で、後半からはガンバの良さも見えてきました。
佐々木翔悟がCBに入ったことでビルドアップが安定し、ボールを保持できる時間が増えていきました。
すると、中央への縦パスからチャンスを作れるようになった。
そして103分には、28本のパスをつないだ攻撃から、山下のクロスを名和田が決めました。
前半は江原FCにスペースを使われました。
しかし最後は、ガンバがボールを動かしながら相手を動かし、空いたスペースを使ってゴールを奪った。
この違いは、今回の試合を振り返るうえで大きなポイントだったと思います。
6.次の水戸戦で注目したいこと
次の水戸戦では、今回の江原FC戦で見えた課題が、さらに試されることになります。
水戸は3CBと2MFでライン間をうまく使い、ボールを下から前進するのがうまいチームです。
だからこそ、今回のようにガンバが前からプレスをかけたとき、相手をしっかり捕まえきれるのかを注目したいです。
前から行くなら、後ろもついていく。
相手を自由にする選手を作らない。
そして、ボールを奪ったあとには、今回の後半から延長戦で見せたような、中央への縦パスとボール保持からの前進ができるのか。
江原FC戦は、課題と可能性の両方が見えた試合でした。
苦しみながらも勝ち切ったこの1勝を、次の試合につなげられるか。
「前から行くなら、後ろもついていく」
そして、
「ボールを持ったら、相手を動かして前進する」
この2つが、次の水戸戦で注目したいポイントです。
ガンバれ!ガンバ大阪!!
ではでは〜
