「我が社の愉快な仲間たち」インコを餌付けしたら、事務所がアートになった話
ある日、事務所前の植え込みに、一羽のカラフルなインコがとまっていた。
「あら、かわいい」
すべては、その一言から始まった。
植え込みに板を敷き、ささやかなエサ場を作った。試しにエサを置いてみると、翌日もインコはやってきた。
嬉しくなって、メニューを豪華にしてみる。リンゴやバナナなどの果物も添えてみた。
すると、インコネットワークで、心優しい私の噂が広まったらしい。
最初は二、三羽だったのが、十羽になり、二十羽になり……気づけば事務所前の植え込みは、枝がしなる程の、異様な「インコの木」が爆誕した。
朝、出勤するとカラフルな鳥たちが一斉に羽ばたく。それはもう、トロピカルで壮観な眺めである。
ただし、彼らは見た目に反して、鳴き声はちっとも可愛くない。
鳩より一回り小さい黄緑色の体から、「ギャッ!!」とパワフルに鳴くのだ。
そして、決定的な問題が発生した。
鳥という生き物は、飛び立つ瞬間に「バラスト(重り)」を捨てる習性がある。
そう、フンである。
数十羽のインコたちが、毎日、同じ場所で、一斉にそれをやるとどうなるか。
事務所の入り口は、あっという間に「終わった」状態になった。
白や緑の斑点で埋め尽くされたアスファルトは、もはやアートを通り越して惨状である。
当然、私はこっぴどく怒られた。
その後の数日間、私は業務の合間を縫って、高圧洗浄機でひたすら地面を剥ぎ取るように掃除する羽目になった。
インコたちは、その様子を近くの電線から「あーあ、掃除してるよ」と言わんばかりの冷めた目で見下ろしていたと思う。
結局、インコたちはいつの間にか姿を消した。
私はようやく理解した。
あれは「餌付け」なんて生易しいものではなかった。
私は、インコたちの「巨大集合住宅」を誘致し、勝手にスラム化させてしまったのだ。
……なお、最近、事務所から少し離れた緑地帯に、かわいいメジロが飛来しているのを見かけた。
「あそこなら、被害は出ないんじゃないか?」
そんな危険な妄想が、喉元を過ぎたあたりでムクムクと頭をもたげているのは、ここだけの秘密である。
