【116】 スバルと六連星
(*写真はプレアデス星団)
嗚呼 砕け散る
運命の 星たちよ
せめて 密やかに
この身を 照らせよ
『昴』(作詞:谷村新司)
清少納言によれば、星で最も綺麗なのが昴。
星は すばる 彦星 夕づつ
よばひ星 すこしをかし
尾だになからましかば まいて
『枕草子』(清少納言)
すばる:プレアデス星団
彦星:アルタイル
夕づつ:金星(宵の明星)
よばひ星:流れ星
「昴」の漢字の成り立ちは、道教の天文学「十二辰」で、「卯」の方角にあるから。チャイナ名は昴宿で、星は七つの設定。
大和言葉の「すばる」の語源は、玉を繋いだネックレスと解釈される「須麻流之珠」(古事記)だと思われる。
昴の正式名称はプレアデス星団。日本での別名は六連星。日本人はユーラシア人に比べて目が悪かったのだろうか。そして日本には、星に纏わる神話、民話がほとんどないのだ。興味ある天体は太陽と月だけ。織姫・彦星・天の川は、道教の神話である。
昔の日本人は、暗くなったら寝るか屋内で内職するかで、夜空を見上げて空想する習慣がなかったのだと思う。これは農耕定住民族と、野宿が普通な遊牧民との決定的な違いなのではなかろうか。
さて、SUBARU のロゴの六連星は六社統合のシンボル。星は十字の菱であり、ユーラシアで一般的な五芒星ではないのだが、日本では通常、星を丸で表現するので SUBARU ロゴの造形は珍しい。ギザギザ星の意匠は日本には存在しなかった、かと思いきや、一つ見つけた。
それは「三諦章」。九つ尖りの星三つが描かれた天台宗の宗紋。家紋は誰でも知っているが、仏教宗派にもそれぞれ「宗紋」あることはあまり知られていない。
「三諦」は、天台宗の教えの一つで、物事の真理を解き明かす三つの諦「空諦」「仮諦」「中諦」を表す。三諦星として、実在の天体との紐付けも諸説あるがここでは割愛する。これもまた日本人の「三好き」を象徴する例であることは、ぜひ覚えておいて欲しい。
