【093】 ヴァジュラパーニと少彦名命
(*写真は安芸の宮島 弥山大本山大聖院の山門。阿吽が左右逆だがこの理由は不明。)
私は仁王像(金剛力士像)のルーツを追って早数十年。未だに納得のいく解に辿り着けていないが、現時点での暫定の仮説を発表しようと思う。ざっくり二つのルーツが融合したものが仁王像だ。まずは一つ目から。
シャカが生まれる前から成仏するまでシャカのそばにいて、先導や護衛をしていた神のような妖精のようなキャラがいる。これがヴァジュラパーニ。小人サイズながら勇猛で、これが金剛力士の原型だとする説がある。右手に金剛杵を持つため、チャイナ名は金剛手菩薩。
日本神話での、『古事記』の少名毘古那神、『日本書紀』の少彦名命に相当するイメージだ。
スクナビコナは鷦鷯の皮の服を着て、ガガイモの鞘で出来た天乃羅摩船に乗って海から出雲にやってきた。そして大国主の国づくりを手伝うのである。スクナビコナは一寸法師の元ネタなのかも知れない。
仏教は当初、ヒマラヤ山脈を迂回するように西方に伝わった。ガンダーラ仏教芸術において、さらに西方のヘレニズム文化と習合し、ヴァジュラパーニは筋骨隆々で巨大な肉体へ変化していった。そしてこれがチャイナに入り、「阿吽」の二体像=仁王、となった。
上座部仏教におけるヴァジュラパーニは、「天部」と呼ばれる仏教守護神の一員に過ぎず、筋骨隆々な仏像もなく、特別扱いされる存在ではない。よって金剛力士の概念は大乗仏教の成立過程で生まれたものと推察する。
では、阿吽のルーツは何なのだろうか?
