カフェベローチェにて
平日の朝八時半過ぎ。
私はカフェベローチェでホットのロイヤルミルクティーを飲んでいた。
用事があり、約束の時間まで余裕があったのでどこか一息つける場所はないかと見つけたのがカフェベローチェ。
普段の生活エリア圏内にないので恐らく利用するのは三回目くらい。だけど店舗としては同じところなので店内に入ると同時に「そうそう、こんな感じだった」と思いながらホットのロイヤルミルクティーを注文したのだ。
ホットを頼んだのに、かなりぬるめでがっかりした。これはもはや常温ロイヤルミルクティーでは?と思いつつ、なんとなくお店のなかを見回してみる。
ゆったりとした空間で静かな時間が流れている…そしてそこにいる人々…。
真剣な表情でパソコンになにか打ち込んでいる人。ぼんやりと窓の外の景色を眺めている人。読書をしている人。声のトーンを落としてなにか話している人達。
みんな同じ場所でそれぞれの時間を過ごしているなあ…。そんなとき、ふと妄想する。
実はあの男の人はある犯罪組織の幹部で、いままさに重大なメールのやりとりをしているのでは…。
あの席に座っている女の人は実はこれから何十年かぶりに初恋のひとと会う約束をしてて、どんな話をしようか考えを巡らせている瞬間なのではないか…。
ああ、そういえば妄想といえば小学生のとき。学校の帰り道、路駐していた車のなかに大人の男二人が向かい合って、あまりに真剣な様子でなにか話しているのを見て子供心にこう思った。
「きっとこの大人二人は怪しいことを企んでいるに違いない」
慎重に車のそばを通ったとき、私は目撃した。
真剣な様子で車内で将棋を指している大人二人の姿を。
まったく紛らわしい。いや、大人二人はまったく悪くない。なぜあんな想像をしたのだろう。
自分でもおかしくなって、その日、家族にそのことを話した。そうだ、私は子供の頃から想像するのが好きだった(笑)
その癖は、きっともう直らないと思う。
外では忙しなく、それぞれの場所へ急ぐ人々の姿。きっとこのカフェベローチェにいる人々もあと少ししたら、あの流れに混ざる。
もちろん私もやることのために向かうべき場所に行く。やるべきこと、自分で入れた予定だけれどもそのことばかりについ頭の中が埋め尽くされそうになる日々。
そんなとき、案外この想像癖が頭をほぐす特効薬になったりするのだ。
そして今日は、そこにカフェベローチェがあったから。
さて、もうそろそろ約束の時間だ。
ぬるいロイヤルミルクティーを一気に飲み干し、私はカフェベローチェを出た。
カフェベローチェ、またいつか。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。
真夜中のカフェでした。
