3月の読書記録 〜ことばに寄り添い静かに深まる5冊〜
3月は、気持ちの浮き沈みが多い月でした。
出会いと別れの季節に向けて、何かを手放したり、新しい環境への準備の中で、心がざわざわする瞬間も。
そんな日々の中で読んだ本たちは、どれも静かに、でも確かに、私の心に灯りをともしてくれた。
どの本にも共通していたのは、“言葉の力”。
誰かの言葉に救われたり、自分の声に耳を澄ませたり。
それぞれの本から、いくつもの「ことば」をもらった、
そんな月でした。

📖 「違うこと」をしないこと/吉本ばなな【著】
吉本ばななさんらしい感性で、“本来の自分を生きる”ことの大切さを語る一冊でした。
「人は人の意見では変わらない」
「人生は生まれた時の状態に戻っていく旅」
どの言葉にも優しく深い視点があり、迷いがちな心にそっと寄り添ってくれるようでした。
特に印象に残ったのは、「居場所をつくるには時間も手間もかかるけれど、それをやり続けることが生きるということ」という一文。
日々の工夫こそが、自分らしい人生を築いていくのだと気づかされました。
スピリチュアルな雰囲気や対談形式には少しクセはあるけれど、「自分の快適を、自分で与えてあげる」というメッセージが今の私には深く響きました。
心がちょっと疲れたとき、読み返したくなるような一冊。
📖 砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない/桜庭一樹【著】
Amazonのおすすめでふと目に留まり、予備知識なしで読み始めた一冊。
タイトルの可愛らしさとは裏腹に、物語はやるせない現実を淡々と描いていて、静かに心を蝕まれていくような読後感がありました。
気持ち悪さと美しさ、違和感と納得感がぐしゃぐしゃに混ざって、言葉にできない余韻だけが残る。
読むのがつらい場面も多かったのに、なぜかこの本が「好きだ」と思ってしまった自分に、少し罪悪感があったり…この感情は、まだ整理しきれない。
でもきっと、そんなふうに“揺れる自分”を受け止めることも、読書の一部なのかもしれないと思えた本でした。

📖 声の在りか/寺地はるな【著】
主人公の希和は、静かに、でもずっと頑張っている人でした。それは誰かに見せるような頑張りではなく、ただ耐えて、受け入れて、飲み込んでしまうようなかたちのもの。
「そんなに我慢しなくていいよ」と、ページをめくるたびに声をかけたくなった。
コミュニケーションを諦める人には、私はどうしても距離を感じてしまう。だからこそ、希和の不器用さには少し苦しさを覚えて、途中でページを閉じたくなった場面もありました。
でも——
“声”とは、外に出すことだけじゃない。
まずは、自分の中の声に耳を澄ますこと。
そんな静かな気づきが、読み終えたあと、じんわりと心にしみてきました。
📖 あしたのことば/吉田篤弘【著】
子どもにも読める文章なのに、大人の心にもじんわりと染みわたる。そんな、やさしい短編集でした。
「帰り道」が教科書に載っていると知って手に取ったのですが、読み進めるほどに、これは“大人のための児童書”なのかもしれないと感じました。
日々のなかで飲み込んでしまった本音、言えなかったことば、発してしまった後悔——。
それらが丁寧に描かれていて、何度も静かに頷きながら読みました。
言葉に向き合いたい人、伝え方に悩んだことのある人に、そっと手渡したくなる一冊です。
📖 魔女たちは眠りを守る/村山早紀【著】
港町を舞台にした連作短編集。
優しい魔法と、切ない現実が混ざり合う世界に、すっかり魅了されました。
やわらかさと潔さがあり、見えないけれど確かにある“記憶”や“つながり”を大切に描いている作品。
読んでいる間、ずっと誰かの物語に寄り添うような気持ちになって、最後には、自分自身もそっと救われた気がしました。
絵本や童話が好きな方、日々の中で優しい余韻を求めている方におすすめしたい本です。
3月の読書を振り返って
言葉に救われる日があって、言葉に迷う日もある。
でもやっぱり、私は“ことば”というものを信じていたい。そんなふうに思わせてくれる本たちに出会えたことが、とてもありがたくて、うれしい。
あなたは最近、どんな“ことば”に出会いましたか?
また来月も、本の中の「静かな声」に耳を澄ませながら、日々を丁寧に歩んでいけたらと思います。
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