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スーツケース大破で絶句。空港で思い知った「人の温かさ」と「年齢の限界」🇹🇭🇯🇵


「お荷物のスーツケースですが、
一部破損してしまいまして。
日本に帰国された際に修理代を
ご請求ください」

日本を出発する2日前。
宅急便会社からの電話は、絵に描いたような
マニュアル通りの事務的なものでした。

「一部破損」という言葉から、
キャスターのゴムが欠けたとか、
表面にヒビが入った程度だろうと
高をくくっていたんです。


成田空港カウンター


修理の手続きは面倒だけど、運ぶ分には問題ないだろう、と。

■「一部破損」のはずが…絶句する現実

応急処置後のスーツケース


しかし翌日。
空港の受け渡しカウンターで目の前に出された「それ」
を見て、私は完全に言葉を失いました。

車輪は一つもぎ取られ、一つはぐらぐら。
本体は無残に破裂している。
「一部破損」なんて生易しい状態じゃありません。

これからバンコクへ飛ぼうというのに。
そもそも転がして運ぶことすらできない、
巨大なゴミと化した箱がそこにあったんです。

「さすがにこれほど酷いのは、
私も見たことがありません……」
窓口の担当者の方も絶句していました。

チェックインの時間が迫る中、
私は完全に立ち尽くしてしまいました。


以前、航空会社に預けたスーツケースが
壊れて出てきたことがありました。
その時は、クレジットカードの付帯保険の知識が
あったので、意外とシステマチックに乗り切れたんです。

しかも壊れたのは「到着後」の話。

「長く2拠点生活をしていれば、
この程度のトラブルは日常のスパイスだ」
そんな風に高をくくる余裕すらありました。

ところが今回の
「出発直前の完全破壊」は、
そんな私のちっぽけな経験をあざ笑うかのように、リアルなダメージを与えてきました。

迫るチェックイン時間。
目の前にあるのは、今すぐ自力で運ばなければ
ならない車輪のない巨大な箱。

過去にトラブルをスマートに乗り越えた経験なんて、この物理的な大ピンチの前では何の役にも立ちません。

■絶望の淵で救ってくれた「現場の手」


見かねた宅急便窓口の担当者の方が、
中身が飛び出さないようにと、
破裂したスーツケースをガムテープで
ぐるぐる巻きにして応急処置をしてくれました。

それでも重量のある荷物を
そのまま預けるのは危険です。
慌てて一部の荷物を取り出し、
手荷物用のバッグに移し替えます。

当然、機内持ち込みの重量制限は
大きくオーバーしてしまいました。

引きずることすらできない
ガムテープ巻きのスーツケースと、
重くなった手荷物用バッグ。
なんとかカートに乗せ、冷や汗をかきながら
チェックインカウンターへ向かいます。

事情を説明すると、スタッフの方が状況を
察してくれて、重量オーバーの手荷物を
特例として機内に持ち込めるよう
手配してくれました。

組織のマニュアル通りにしか動かない
前日の電話対応とは違い、
絶望する私を救ってくれたのは、
困っている人間を見かねて動いてくれた
現場の人たちの温かい「手助け」でした。

現場の連携プレーのおかげで、
なんとか「出国できない」という
最悪の危機は免れました。

飛行機の座席に深く沈み込みながら、
私はホッと安堵の息をつきました。

■バンコク到着。不意打ちへのもろさ

スワンナブーム空港


本当の絶望は、
バンコクに到着してからでした。

スワンナプーム空港に降り立ち、
ターンテーブルから流れてきた
「ガムテープ巻きの巨大な重り」を
受け取った瞬間。
現実が容赦なくのしかかってきたんです。

車輪がないので、
カートに乗せて移動するしかありません。
ただ、カートが使えない場所では、
この重い箱を自らの両腕で
抱え上げる必要があります。

バンコクのねっとりとした熱気の中、
息を切らしながら格闘していると。

その無惨な姿を見かねて、
タイの空港スタッフがサッと駆け寄り、
荷物を運ぶのを手伝ってくれました。

日本でもタイでも、
結局私を救ってくれたのは
現場の人たちの温かい手助けです。
本当に、感謝してもしきれません。

手助けのおかげで
なんとかタクシーに乗り込むことができました。
しかし……。


タクシー乗り場


やっとの思いでコンドミニアムの
自分の部屋にたどり着き、ドアを閉めた瞬間。
張り詰めていた糸が切れたように、
一気に現実がのしかかってきました。

部屋の床に無残な箱を置いた途端、
どっと重い疲労が押し寄せてきます。
同時に、日本へ帰国した際の
宅急便会社への補償交渉というタスクがよぎり、
深いため息がこぼれました。

最近の私は、すっかり日常になった
2拠点生活に対して
「刺激がなくなった」なんて
贅沢な不満を抱いていました。

経験を積んだ自分なら、
少々のトラブルはコントロールできる
「耐性」があると思い込んでいたんです。

ところが、
理不尽な「不意打ち」を食らった時。
驚くほどうろたえ、気力も体力も
ゴリゴリと削られていく自分がいました。

知識や経験で頭の中は処理できても、
年齢を重ねた心と身体は、
こうした不意の精神的・物理的ダメージを
真っ向からくらってしまいます。

若い頃なら怒りのエネルギーで
笑い飛ばせたかもしれないトラブルが、
今はただただ、
回復しがたい重い疲労として蓄積していく。

結局のところ、
私が築き上げてきたと思っていた
2拠点生活の日常なんて、
ちょっとしたイレギュラーで簡単に崩れてしまう、もろいものだったんです。

使い物にならなくなった
スーツケースを前に、立ち尽くす。
タクシーの中で休んだはずなのに、
まだ腕にはジンジンと重い痺れが残っています。

冷たいマニュアル対応に絶望し、
それでも現場の人たちの
温かい手助けに救われた長い一日。

どうしようもない疲労感と、
ほんの少しの感謝が入り混じる中。

静かな部屋の中で、無残な箱を見つめながら
ポツリと呟きました。

「刺激なんて、もう当分いらないな……」

でも、ジンジンと痺れる腕をさすりながら
思い出すのは、
あの絶望の中で迷わず差し伸べられた、
日本とタイの「温かい手」の感触です。

年齢を重ねて、イレギュラーに弱くなった
心と体。
それは確かに悔しいけれど、そのもろさの
おかげで、他人の優しさが
昔よりもずっと深く、心に沁みるように
なりました。

ボロボロになったスーツケースは、
私に「年齢の限界」と、
それ以上に「人の温かさ」を教えてくれました。

明日は筋肉痛に耐えながら、まずはこの大きな
相棒の供養(補償交渉)から始めようと思います。

参考 ヤマト運輸さんの約款から抜粋


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最後まで読んでいただきありがとうございます。

ワット・アルンの夕暮れとともに



昔なら乗り切れたトラブルが、今は心身に深くこたえる……。
そんな不意打ちへのもろさに共感していただけた方、ぜひスキ(♡)で拍手をいただけると、
私の腕の痺れも少し和らぎます(笑)。

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