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パジャマ姿で買い物をする人は、幸せそうだった。

私が暮らす街では、「パジャマで買い物をする人」をときどき見かけます。

夜のスーパーで、子どもがパジャマ姿で歩いているのは、なんとも可愛らしいものです。ところがよく見ると、大人たちもパジャマ。
お父さんもお母さんも、あきらかに「それ、パジャマですよね」という服で買い物をしています。

スウェットの上下のような「部屋着なのか外出着なのか微妙なライン」の服なら、まだギリギリセーフでしょう。ですが、やわらかそうな綿生地に細いストライプ、胸元には白い丸ボタンがずらり。上下そろったその姿は、どう見ても立派なパジャマです。

ある日、そんなパジャマ姿のお父さんが、お菓子売り場で子どもに言っていました。

「好きなもん買えよー」

子どもはピカチュウの着ぐるみ風パジャマ。隣では、パジャマにカーディガンを羽織ったお母さんが笑っています。カゴの中には缶ビールとおつまみ。家族みんな、かなりご機嫌です。

誰もその家族をジロジロ見たりしません。地元では、週末によくある光景なのです。

夕飯を食べて、お風呂に入り、そのままパジャマで車に乗ってスーパーへ。そしてまた、パジャマのまま家に帰る。地方都市だからこそできる、のんびりした夜の過ごし方なのかもしれません。

コロナ禍の頃は、さすがに見かけませんでした。でもここ数年、また少しずつ「パジャマファミリー」を目撃するようになりました。

若いカップルが、おそろいのパジャマで夜食を選んでいる日もあります。少しくたびれたパジャマ姿のおじいちゃんが、孫らしき子どもと一緒に食玩コーナーを眺めていることもあります。夏休みの夜には、涼しげな甚平を着た親子がアイスの棚をのぞき込んでいる姿も。

「さっきまでリビングでくつろいでいました」
そんな顔で、みんなゆるく笑っています。

ある休日の夜。夕飯のあと、夫が言いました。
「コーヒーのフィルターがない」

そしてパジャマのまま、帽子だけかぶって出かけようとします。
「それで行くの?」と聞くと、黙ってうなずく夫。

明るいグレーで毛足の長いモコモコの上下は、いつも着て寝ているパジャマです。肌寒いのでジャンパーも着て、歩いて行けるスーパーへ。

私は少し離れて歩き、コーヒーフィルターとお弁当のおかずを買ってレジへ向かいます。ふと遠くを見ると、菓子パン売り場の前に立つ夫が見えました。

遠目から見ても、やっぱりパジャマです。

けれど、夫の格好に目をとめる人は誰もいません。

それは、なんだかとても平和な、休日の夜の風景でした。


きのころ先生が、春夏仕立てのパジャマを描いてくださいました!
ロッテのチョコレートラミー&バッカス好きの方、パジャマが好きな方(?)も、ぜひご覧ください。

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