おなじデジタルカレンダーを3つ買った夫
デジタルカレンダーの日付が、昨日のままになっていました。
時刻も、夜中の0時13分を表示。
起きてきた夫は、すぐに気づきます。
「壊れたんかな」
「もう、紙のカレンダーでいいんじゃない?」
私がそう言うと、夫は間髪入れずに言うのです。
「いや、もう1台あるんよ」
「えっまだあるの?」
思わず聞き返しました。
今、リビングに置いてあるのは2台めです。
初代は何年か前に壊れました。そのとき夫は、ネットでまったく同じデザインのものを探し出して買いなおしています。
そもそもこのカレンダー、私が後輩からもらったプレゼントです。
なぜか夫が気に入って、テレビの横に飾るようになったのですが…。
まさか、もう1台買っていたとは。
いったい、どこにしまってあるのでしょう。
夫は気に入ったものが見つかると、「おなじものを確保しておきたい」というスイッチが急に入ることがあります。
お気に入りの掃除機、ルンバもそうです。
わが家には、なぜか3台あります。
夫婦ふたり暮らしの小さなマンションに、ルンバが3台。
しかも、夫は3台ともいっせいに動かします。
家の中が、一気にさわがしい。
そして、3台が廊下で鉢合わせして、よく渋滞しています。
その光景を動画に撮って妹に送ったら、爆笑スタンプが返ってきました。
車も同じです。
さすがに3台持つことはできませんが、私には「どこが違うん?」と思うほど、よく似た車種に次々と乗り換えてきました。
新しいものを買うなら「今まで持っていなかったもの」を私は選びたい。
ところが夫は、気に入ったものがあると、それをもう一度欲しくなるようです。
洗面所を見れば、ヘアスプレーのケープが3本。
しかも全部、大容量ボトルです。
お気に入りの芳香剤、整髪料、洗剤、愛車の部品……。
夫は、とにかく「お気に入りは切らさない」が基本姿勢なのです。
おなじものがいくつも並んでいると、安心するのでしょうか。
所有欲なのか、執着心なのか。
それとも「好きなものに囲まれていたい」という、コレクションなのか。
結婚して15年ですが、いまだによくわかりません。
ただ、思うことがあります。
夫は3人きょうだいの末っ子。
子どもの頃は、兄と姉のおさがりばかりだったそうです。
もしかすると、「お気に入りのものは確保しておきたい」という気持ちが、今もどこかに残っているのかもしれません。
もう、夫のものを取り上げる人なんていないのに。
そう考えると、3台のルンバや3本のケープに、なんだか子ども時代の夫が見え隠れしてきます。
まもなく、夫がどこからか「もう1台」のデジタルカレンダーを出してくるのでしょう。
わが家のリビングには、今日も同じものが並びます。
たぶん夫にとっては、それがいちばん落ち着く風景なのです。
だったら、まあ、いいか。
ただし、ルンバ3台の同時運転だけは、もうやめましょう。私が落ち着きませんから。
