「MS&AD中間決算:経常利益6533億円の底堅さと、株価3,293円が示す“高収益保険グループ”の現在地」
どうも、アンパンナンピンマンです。
仕事の傍らで趣味として企業の決算レビューを書いています。
今回は国内損保3メガの一角、MS&ADインシュアランスグループホールディングス(8725)の2026年3月期・第2四半期決算を取り上げます。
「自然災害」「自動車保険の採算」「市場運用環境」など、損害保険グループの業績は多くの外部要因に影響されますが、今回のMS&ADは経常収益で大幅な増収、利益面でも安定した底堅さを示す決算でした。とくに保険引受収益と資産運用収益が揃って伸びており、旧来の「自然災害だけがリスク」という構図から脱却しつつある印象です。
株価は本日 3,293円(2025年11月14日)。高配当・高安定の損保株としてどのように評価されているのか、数字を基に整理していきます。
決算振り返り
2026年3月期第2四半期(2025年4月〜9月)の業績は以下の通り。
経常収益:4兆1,115億円(+19.3%)
経常利益:6,533億円(+3.6%)
中間純利益:4,916億円(+7.1%)
大幅増収に対して、利益も着実に伸びる形となりました。保険引受収益が前年比+5,737億円と強く、生命保険料の増加も寄与しています。MS&ADは損保グループとして知られていますが、生命保険や海外保険会社を含めた“総合保険グループ”としての成長が見て取れます。
利益面においては、自然災害費用が一定水準に収まり、資産運用収益が株式・債券双方で良好に推移した点が大きい要因です。特に有価証券売却益や金銭の信託運用益の増加が利益押し上げに貢献しました。
純資産は 4兆3,906億円(+8.3%) と大きく増加し、自己資本比率も 15.9%(前期末15.2%) へ改善。保険グループにおいて資本の厚みは信用力に直結するため、この増加はポジティブな材料です。
本業の進捗
MS&ADの本業は「保険引受」と「資産運用」の二本柱です。今期はその両輪がそろって堅調に進みました。
■ 保険引受(本業中の本業)
保険引受収益が 3兆3,210億円(+20.9%) と大幅に増加しました。内訳としては、
正味収入保険料:2兆7,101億円(+6.7%)
生命保険料:5,573億円(+242%)
生命保険は前年同期に比べ桁違いの伸びで、MS&ADが総合保険グループとして進化していることを示す象徴的な数字です。損保に偏らない収益構造は業績の安定に寄与します。
一方で、支払備金繰入額や責任準備金などの負担は増加しており、費用面はやや重くなっています。ただ、これは保険金支払い増や責任準備金の積み増しによるもので、経営が慎重にリスク管理を行っている裏返しでもあります。
■ 資産運用(保険グループの収益源)
資産運用収益は 7,578億円(+13.1%) と増加。
利息・配当金収入
有価証券売却益
金銭の信託運用益
いずれも好調で、特に金銭の信託運用益が前年の380億円 → 今期472億円へと増加。株式市場の回復や海外金利環境の改善に適切に対応した運用ができている印象です。
保険グループにとって資産運用益は業績のボラティリティを低減する重要な要素であり、今回の増益は中期的な安定感を評価する材料になります。
今期順調な事業
今期のMS&ADで特に強さが目立ったのは次の3点です。
① 生命保険の急拡大
生命保険料収入が前年比で3倍以上に増加。損保に偏らないポートフォリオ構築が進み、全社的な収益安定化に寄与しました。
② 資産運用収益の底堅さ
金利上昇局面での債券運用、株式市場の上昇、為替の影響をうまく取り込み、運用益が着実に伸びています。保険業は運用次第で収益が大きくブレますが、今期は追い風をしっかり捕まえた形です。
③ 自己株式の大量消却
中間期の注目トピックとして、MS&ADは
自己株式115,846,976株の消却
発行済株式総数を1,492,551,732株へ圧縮
という大規模な株式消却を実施。
株主価値の向上につながる資本政策であり、PBR改善にもポジティブです。
株価の推移と今後の展望
本日の終値 3,293円(2025/11/14) を踏まえ、現在の株価が示す評価を整理します。
結論としては、
✔「業績の安定性を評価しつつ、株価は依然として割安圏」
といえます。
■ ポジティブ要因
PBRは1倍前後で依然として割安水準
自己株消却の実施で1株価値が向上
保険料収入の強い伸び
配当政策も安定(年間155円予想)
資産運用収益が底堅い
■ ネガティブ要因
自然災害リスクは予測不能
責任準備金繰入額の増加
海外保険市場の変動(特に米欧)
市場環境悪化時には資産運用益がブレる
■ 株価3,293円は割安か?
結論として、
「長期投資家にとっては十分に魅力的な位置」
と判断します。
PERは一桁台後半〜10倍前後の評価
高配当(155円予定)=配当利回り4.7%
自己株式消却でEPS上昇余地
総合保険グループとしての収益体制が強い
これらを踏まえると、株価の上値余地は中期的に期待できます。
総じて、MS&ADは「保険引受」と「資産運用」の両輪がそろって成長する好決算でした。大型自然災害がなければ、今後も安定成長を続けられる地合いにあります。

