記憶と愛の星① ― おでこゴッチンの約束 ― 2人の願い事ー
宇宙船に乗った小さな猫がユミの元にやってきて頼みごとをします。普通の中学生ユミに宇宙から来た猫を助けることは出来るのでしょうか?
喪失からの再生を円環構造で描いた物語です。
四話完結、連載作品です。
※次回 ⇒ 記憶と愛の星②
<星に願いを>
ユミは中学生の女の子。難しいお年頃。最近なんとなく、学校の友達と上手くいかない。
ユミが月のモノで体調不良の時、友達に話しかけられたけど、素っ気ない返事をした。
「ユミちゃん、冷たい……。」と言って友達が去っていった。
(違うの、そうじゃないの。)ユミは思ったけど、お腹も痛いし上手く説明できず仕舞いだ。
別の時、猫を飼ってる友達の飼い猫が亡くなった。ユミは慰めるつもりで言った。
「また、新しい猫さん迎えたらいいよ。」
でも友達は顔を引きつらせて、何も言わなかった。ユミは(今悲しんでる気持ちを置き去りにした)と気が付き、胸がザワザワした。
その後、ユミの友達の1人が放課後みんなに聞いた。
「ねえ、今日カラオケ行く人いる?」
「あ、私行くー!」「私も!」「あたしもー!」
「私も行ってもいいかな?」ユミが言うと。
「え?えーっと…今日塾あるんだった、ごめん、また今度ね。」
「私も今日はお母さんとスタバ行く約束してた。明日にしよっか。」
「うん、じゃあまたね。」
友達が帰ってしまった。
虐められてる訳じゃないんだけど、仲間に入ろうとすると、なんとなく、はぐらかされる。ユミはポツンと教室の真ん中に取り残された。何だか寂しいし、不安だ。
「私、悪い事しちゃったんだ……。」
後悔と悲しさで泣きそうだ。帰宅後、ママにも相談しないで部屋に閉じこもって泣いた。
夜になって自分の部屋からベランダに出て、両手を組んで一番明るいお星様に願い事をした。
「どうか、ユミの学校のお友達と以前のように仲良くできますように。お星様、願いを叶えてください!」
一番明るい星がキラリと光って落ちてきた。
「あ、流れ星!願い事しなきゃ!お友達と仲良くなる、友達と仲良くなる、友達と‥‥」
願い事の途中で大きなタライぐらいの大きさの物体が落ちてきて、ユミの頭を直撃した。とても軽い物体で衝撃は浅く「カイーーーン」と高い金属音がした。ユミはしりもちをついた。
「何?なんなの?お星さまが落ちたの?」
傍には大きなタライ?ではないけれど、円盤状の金属の塊が落ちていた。「ウイーン」とモーター音と共に小さな扉が開いた。
「こんにちは。ユミちゃん。頭にぶつかってごめんね。大丈夫だった?」
掌に乗るぐらいの小さな猫が、円盤状の金属から出てきた。宇宙船だったようだ。小さな白黒八割れ猫が後ろ足で2足歩行をしている。
ユミは、暫くキョトンとしたが、頭を強く打っておかしくなったのかと思いなおし、頭を振ったり、頬をつねったりしてみたが、やっぱり小さな猫は居た。
「ごめんね。いきなり来てビックリしちゃった?でも、急用だったんだ。」
「急用って……私に何か用があるの?」
ユミは恐る恐る尋ねてみた。ユミは小学校の頃に、触ろうとした猫に噛みつかれたことがある。小さい掌サイズとはいえ、猫が怖いのだ。あまりお近付きになりたくない。
「あのね、ユミちゃんに僕達の住む『にゃんにゃん星』を助けて貰いたいんだ。」
「助ける?ヤダ。私猫苦手だもん。怖いもん。やだ。」
「そんなこと言わないでよ。頼むよ。だって、ユミちゃん願い事してたでしょ?『お友達と仲良くなる』って。僕が友達になって仲良くするから、僕の願いも聞いて欲しいんだ。」
「でも、私猫苦手だもん。怖いんだもん。直ぐに噛みついたり引っかいたりするでしょ?」
「僕はそんなことしないよ。凄く平和的で紳士的なんだ。ユミちゃんが仲良くしたいのは、学校のお友達?」
「そうよ。あなたじゃないわ。」
「じゃあね、僕の願いを叶えてくれたら、学校の友達も仲良くなれるようにしてあげる。約束するから。」
ユミちゃんはちょっと考えた。自分から友達に謝るタイミングがなくて困っている。家に小さな猫が居るのと友達を呼んで、謝る場を作ろうと思った。目の前がパッと開けた気がして、ユミちゃんは言った。
「いいわよ。協力してあげる。私の願いも叶えてね。」
「ありがとう!ユミちゃん、やっぱり君は良い人だ!」
「私は何をしたらいいのかな?内容にもよるんだけど‥‥」
「にゃんにゃん星はね、ユミちゃんがいる星、地球とはちょっと次元が違って、仲間が増えるほど拡大して強くなれるんだ。
隣の昆虫星の虫たちは凄く速く増えて、にゃんにゃん星は昆虫星から攻撃されてる。昆虫星の彼らは『無視・無私・無死』を掲げてる『無視無私無死帝国』だ。つまり、個を持たず、感情もなく、ただ生き残るために食べ続ける存在なんだ。個が無く無限に増えるから死もない。負けた星は勝った星に吸収合併されて、餌になって消滅してしまう。
だから、僕たちは『記憶・情報』で拡大する方法を探してる。なら、人間がいる星に行って、人間に助けて貰うのが良いと考えた。それで、僕は僕らのにゃんにゃん星を助けてくれる人を探しに来たんだ。」
「何だか随分大きな話ね。残念だけど私は特別な力とか持ってないから、役に立てるとは思わないわ。」
「特別な力なんか必要ないよ。とりあえず携帯かパソコン持ってる?」
「持ってるけど‥‥こんなんでいいの?」
ユミは携帯電話をポケットから取り出して見せた。
「うん、事前情報通り。あとはねえ、キミの部屋までWi-Fi繋がってる?」
「うん、来てるけど?」
「ユミちゃんの部屋って此処なのかな?これ置いといていい?」
可愛らしい、掌サイズの猫の置物を円盤の中から取り出した。片手が上がってるから招き猫の置物そっくりだ。宇宙船から出てきた小さな猫と同じ、タキシード柄、白黒八割れ模様だった。
「うん、別に構わないけど、机の上で良いかな?」
「Wi-Fiの電波が来てたらどこでもいいよ。これはね、キミの部屋のWi-Fiを僕らの星に飛ばすための装置なんだ。これでユミちゃん、いつでも家族と連絡取れるから。」
「てことはよ?私どっかに連れていかれるの?」
「そう、僕らのにゃんにゃん星に来てもらうよ。」
「ええーーっ。学校とかあるんだけど…」
「大丈夫!時間と空間を曲げて移動するから、また今と同じ時間にここに戻ってこれるから、学校も行けるよ!」
「えーでも‥‥だって‥‥」
「じゃあ、ゆみちゃんに小さくなって貰います。あ、それ。」
小さな猫は光線銃をユミに向かって打った。ピンク色の光が当たるとユミは縮んで猫と同じ大きさになった。服も携帯も一緒に小さくなった。
「さあ、僕の船で出発します!乗って乗って!」
猫に引っ張られて、ユミはしぶしぶ円盤型宇宙船に乗せられた。乗ってみたら意外と中身は広かった。
「地球から離れたら、時空を曲げてる地点まで行って、そこに入ったら僕らの星までひとっ飛びです。すぐにつくから大丈夫!では行きます!」
円盤はみるみる上昇してあっという間に眼下にクリソコラ(半貴石)のような、緑と青と白い雲の美しい地球が見えた。乗り気じゃなかったユミも外の景色が綺麗で夢中になって見た。月の裏側まで来たら一か所だけ真っ黒い穴が空中に浮いてる。その中に入ると、星のきらめきが長い線のようになってどんどん後ろに流れてた。最終的にキラキラした光で満たされたトンネルになった。
「はぁぁー綺麗ねえ。」ユミはつぶやいた。
「あははは。楽しんでもらえたなら、良かったよ。もうにゃんにゃん星に着くよ。」
光のトンネルが途切れたら、目の前には地球みたいな緑と青の惑星が浮かんでいた。
「あれがにゃんにゃん星だよ。僕の仲間が待ってるよ。」
ーーーーーーー②につづくーーーーーーーー
続きはこちら ⇒ 記憶と愛の星②
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