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診察室からみえる社会 第7回

なぜ僕はデザイン思考を学ぶことになったのか


前回、僕は一つの問いについて考えてきました。なぜ、お母さんたちはこんなにも不安を感じるのか。

診察室での経験を振り返りながら、その不安は医療だけで説明できるものではなく、社会の中で生まれているのではないかということを書きました。しかし、その問いに向き合う中で、もう一つのことを感じるようになりました。それは、これまで自分が学んできた視点だけでは、この問いに十分に答えられないのではないか、ということでした。

医療は、病気に対して正しい診断と治療を行うための学問です。
行政は、制度として社会を支える仕組みをつくります。
経営は、人や組織を動かし、持続させるための方法を考えます。

それぞれ重要な視点です。

しかし、「不安」というものを考えたとき、それだけでは捉えきれない部分があるように感じました。

人はなぜ不安を感じるのか。
その不安はどのようにして生まれているのか。

それは、単に正しい情報を伝えれば解決するものではない。

むしろ、人の感じ方や関係性の中で形づくられているものなのではないか。

そう考えるようになりました。

そのとき僕は、自分に足りていない視点があることに気づきました。

それは、「どのように問いを立てるか」という視点です。これまで僕は、目の前の問題に対して、どうすれば正しく解決できるかを考えてきました。しかし本当に重要なのは、その問題をどのように捉えるか、どのように問いを立てるかではないか。

そう思うようになりました。

では、そのためには何を学べばよいのか。

僕はさんざん調べた末に、「デザイン思考」という考え方にたどり着きました。デザイン思考とは、一言で言えば「人を起点に課題を捉え直し、解決を生み出していくプロセス」です。

まず相手を深く理解し(共感)、
何が本当の課題なのかを捉え直し(問題定義)、
解決のアイデアを広げ(発想)、
試しながら形にしていく(プロトタイプ・検証)。

そうしたプロセスを通して、最初に見えていた問題そのものを問い直していく考え方です。

これは、これまで自分が学んできた医療や行政、経営とは少し違うアプローチでした。

医療や経営は、ある程度定義された問題に対して最適解を出していく側面があります。

一方でデザイン思考は、「そもそも何が問題なのか」を問い直すところから始まります。

しかし、不安というものに向き合い、人がどのように感じ、どのように意味づけをしているのかを理解するためには、この視点が必要なのではないかと考えました。

そうして僕は、もう一つの学びの旅へと進むことを決めました。

その中で何を学び、どのように考え方が変わっていったのか。

その話は、また次回に書いてみたいと思います。

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