自信ではなく、喜びにかえていく
苦手なことが得意にならなくてもいいから
好きになりたい...
あなたは思ったことがないだろうか。
子どもであれば、あなたがそれを委ねられているかもしれない。
子どもが絵を描かない
描いても楽しそうじゃない
すぐに描くのをやめてしまう
あなたも絵を描くことが苦手であれば、子どもの気持ちがわかるだろう。親が得意であっても、苦手なことや好きじゃないことはある。
それでも、できるはずのことができないと、不安になる。
3歳ならお顔が描けるようになるはず
2歳で一度はママの顔を描いてくれたのに
発達の目安は知っている。
個人差があることもわかっている。
でも、親だからこそ期待してしまう...。
絵を描く機会を増やせば、好きになるかもしれない
3歳の息子が絵を描かないことに気づいたとき、さりげなくクレヨンと紙をテーブルに置いてみた。「一緒に描こう」と誘うと、息子は描きはじめた。
でも、
顔を描かない。
丸も描かない。
ぐるぐるもしない。
いろいろな色を使って、ちょんちょんと短い線を描くだけ。色に興味があることはわかった。でも、12色すべて一回ずつ使うと、クレヨンを置いて、息子はイスを降りた。
もっと描かないかな
顔を描けるようになってほしいな
そんな気持ちが、ふっとよぎる。
久しぶりに顔を描いたときには、嬉しくてたくさん褒めた。
「すごいじゃん!誰のお顔?」
でも、息子は黒いクレヨンで塗り潰した。
その後も私は、息子と一緒に描いた。
描いては塗り潰し、描いては塗り潰す...。
息子の楽しくなさそうな姿を見て気づいた。
"私は、息子の楽しみを奪っている"
私は保育士をしていた。
保育の現場では、子どもたちのペースを大切にし、寄り添ってきた。でも、親になると、つい期待してしまう。
なんで描かないの?
なんで描けないの?
口には出さなくても、私の気持ちが伝わってしまっていたのだろう。
私は"描くこと"から離れてみることにした。
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ある日、息子と二人きりの時間に、新聞紙で釣竿を作った。
「回すところもいる!」
「入れるところもいる!」
息子に言われるがまま、私は作った。
魚の代わりに、折り紙やリンゴキャップを用意した。私が絵を描くと、息子も自然とクレヨンを手に取った。
丸が描けた!
「ドーナツみたいでおいしそう!」というと、息子は次々と丸を描いた。
「これは何味?」
「いちごとブルーベリーとケチャップ!」
「こっちは、みかんとパパの嫌いなネギ!」
いつものちょんちょんと色をつけるだけの絵が、"何か"になっていく。想像が膨らみ、2人で「この味はおいしくないかも〜」と笑い合った。
2日後、息子はまた絵を描いた。
今度は、私が誘ったわけではなく、自分から。
ハンバーグやクリスマスツリー。ママがメニュー表を作ると、お店屋さんごっこが始まる。少しずつ、息子は夢中になって絵を描くようになった。

あるときは、プレゼントの箱を描きながら、「リボンってどうやって描くの?」と聞いてきた。
「丸を二つつなげるとリボンになるよ」と伝えると、息子は描いてみる。箱の中には、またいちごやぶどう、みかんやネギ。

初めてパパも描いてくれた!
照れくさそうに、でもちょっと嬉しそうに、私たちに見せてくれた。

私は息子の絵を壁に飾ることにした。
壁に飾りきれない大きな絵は、刺繍をした。

大切な絵はキーホルダーにした。

誕生日、卒園、先生への感謝、大好きなお店のおじちゃんおばちゃんには、息子が描いた絵をプレゼントした。


あなたの絵が、ママは好き
あなたの絵で喜んでくれる人がいる
あなたの絵は、私にとって特別だよ
そう伝わるように。
息子は、飾られる絵をにっこり眺め、「ありがとう」といわれるたびに、嬉しそうにしていた。
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今は、6歳の息子。
お風呂に入るとき、子どもたちはいつも競い合う。最初に入ると、ふわりと曇った鏡に絵が描けるから。
先日、息子が初めて見る絵を描いた。
「ママ、見て見て!カービィ描いたよ!」
「これ、クリボー!」
鏡にうっすら描かれた絵を、私は少ししゃがんで斜め下から見た。
「すごいね!クリボーも描いたの?!」
初めて描いてくれたその絵が、なんだか特別に感じた。
息子の絵は、同年代の子と比べると決して上手ではない。
他の大人が見たら、「すごいね」の一言で終わるかもしれない。
友だちに笑われることもあるかもしれない。
小学生になったら、傷つくような言葉を言われることもあるかもしれない。
でも今、息子は楽しそうに描いている。

「ママ見て!」
そういわれるたびに、1枚の紙に増えていく息子の絵。3年前のことを思い出し、うれしさが溢れた。
子どもだって、苦手なことに向き合うのには勇気がいる。期待されすぎると、押しつぶされてしまうこともある。
自信に変えるのではなく、
喜びに変えていく。
喜びが楽しさへとつながり、
苦手なことでも可能性が広がる。
どうか、あなたも我が子の可能性を潰さないように。
私はこれからも、息子と一緒に楽しみながら、"喜び"を紡いでいきたい。
「ママは、あなたの絵が大好きだよ」
って伝えながら。
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ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
