家族になれてよかったと、心から思えた夜
家族になれてよかったと、
心から思えた夜がある。
結婚10年目の記念日。
それは、私たち夫婦だけのものではなかった。
その日、夫が帰宅したのは、21時40分。
リビングのテーブルの上には、
4つのお弁当と、小さな手書きのメッセージ。
眠たかったはずなのに、
お腹が空いていたはずなのに、
子どもたちは待ってくれていた。
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「ママ、もう考えなくていいよ」
結婚記念日の前日の夜のこと。
夫は仕事の飲み会で、家にいなかった。
5歳の娘と7歳の息子と、3人での夕食。
私より先に食べ終えた娘は、
私の隣に座り、絵を描きはじめた。
何を描いているのかな。
そう思い、覗こうとすると、
娘はノートを差し出して言った。
「はい、このレシピで作ってね♪
もう、ママ考えなくていいよ!」

私はいつも、お弁当を作る前に、
どんなお弁当にするかを絵に描いてから作る。
娘も同じように描いて、
まだ先のお弁当の日を楽しみにしてくれているようだった。
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「今度のお弁当の日の、レ・シ・ピ♪」
「これは、なーに?」
そう聞くと、娘はうれしそうに教えてくれた。
唐揚げ。卵焼き。
ぎゅうぎゅうに詰めた白ごはん。
星の形の卵に、ブロッコリー。
「これ、めっちゃおいしいよ。
だってハムで作るけん。
“おいしー♡”ってなるよ♪」
作るのも、食べるのも楽しい♪
そんな気持ちが、あふれていた。
最後には、
「今度のお弁当の日の、レ・シ・ピ♪
おいしそうな人ー!」
そう聞かれて、
私は思わず「はーい!」と手を上げた。
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「パパにも作るー♪」
娘は、隣のページにも、
「パパにも作るー♪」
そう言いながら、
またお弁当を描きはじめた。
丸いお弁当箱に、
ひとつひとつ詰めていくおかず。
娘は描きながら、
やさしく言った。
「疲れるもんね。
パパ、疲れとるやろ?
お疲れやけん。」

夫にも聞かせてあげたかったな。
パパを想う娘の気持ち。
本当にうれしかった。
その後も娘は、
どんなお弁当か教えてくれる。
「アスパラも入れるよ。
なかったら、いちごね。
それもなかったら、お菓子!」
「お菓子食べたら、ほっとするでしょ♪」
お腹だけでなく、
ちゃんと“気持ち”まで考えていた。
私も思わず、笑みがこぼれた。
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「ママのは、僕が作るね」
「お兄ちゃんは、何がいい?」
妹に聞かれた息子は言った。
「チキンライスのおにぎりにして!
でも、やっぱり自分で作る!
ママのは僕が作るね!」
息子も、
娘と同じように描きはじめる。
描き終えた息子のお弁当。
照れながら、私に見せてくれた。
「これママで、これボク♪」


右:息子
そこには、
大好きなキャラクターではない。
ママと息子、2人が並んでいた。
「うれしい〜♡」
私がそう言うと、息子はにっこり。
ママが喜ぶことを、
息子はちゃんと知っている。
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はじめての、お弁当作り
翌日。
「早くお弁当を作りたい」という子どもたち。
ちょうど私たちの結婚記念日でもあった。
子どもたちが帰ってきてから、
前日に書いておいたリストを見ながら買い物へ。

夫の帰宅予定は、19時半。
いつもより遅い夕食になる。
それでも子どもたちは、
パパが喜ぶ顔を思い浮かべながら、
4人分のお弁当作りをはじめた。
普段からお料理を手伝ってくれてはいるけれど、
お弁当作りは初めて。
「切りたい!」
「混ぜたい!」
「割りたい!」
「焼きたい!」
“やりたい”気持ちでいっぱいだった。
方法だけ伝えて、ほとんど自分たちで作ってくれた。
ピックやカップも自分で選び、
あっという間におかずを詰めていく。


海苔で作る顔のパーツも、
自分たちで切って、そっと乗せる。


ほっぺも、ケチャップをちょんちょんと付けた。

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21時40分まで
お弁当ができあがるころだった。
息子が言った。
「パパが帰ってきたら、電気消して、目隠ししよう!
僕が電気つけたら、〇〇(妹)が“結婚記念日”って言って、
そのあとママが“おめでとう”ね!」
ママも、こっち側。
一緒にパパを喜ばせる作戦だった。
でも……
夫はなかなか帰ってこない。
LINEが、何度か届く。
「ごめん、まだ帰れそうにない」
内緒にしたくて、
「早く帰ってきて」とも言えなかった。
相手側の都合もある。
けれど、
「先に食べようか」
そう言っても、子どもたちは首を振る。
眠かったはずなのに
お腹も空いていたはずなのに
子どもたちは、何も言わず、
パパの喜ぶ顔が見たくて
ずっと、待ってくれていた。
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「結婚記念日、おめでとう!!」
しばらくして……
ガチャ。
玄関の鍵が開く音がした。
時計を見ると、21時40分。
一気に飛び起きて、玄関に向かう2人。
「パパ!パパ!来て来て♪」
電気を消して、
パパの目を両手で目隠しをした息子。
娘もニコニコしながら、3人でリビングへ。
そして……
「結婚記念日、おめでとう!!」
電気をつけ、
目を開けたパパの目の前には、
息子が書いたメッセージと、4つのお弁当。
お菓子も、
娘が「パパとママに」と選んでくれた。

夫も子どもたちも、うれしそう。
私の顔も笑ってた。
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やっと、みんなで
やっと、みんなで食べるお弁当。
でも、「ごめんね」と言うパパを、
誰も責めることはなかった。
それよりも、うれしさの方が優っていた。
子どもたちは、
自分の作ったお弁当をパクパク食べる。
その横で夫は、何度も言っていた。
「かわいいなぁ」
「うれしいなぁ」
私の方が、うれしくなった。
私のお弁当は、
息子が作ってくれた、ママのためのお弁当。

髪には、ごま塩。
息子のアイデア。
「口がきゅっとなってるのが、かわいいね♡」
夫が言って、私は笑った。
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家族みんなの記念日
結婚10年目を迎えたとき、
私は「結婚記念日」とは、
夫婦ふたりのものだと思っていた。
でも、違った。
ここには大切な子どもたちがいる。
毎日、兄妹ゲンカしたり、
「ママー!」って何度も呼ばれたり、
ご飯も、まだまだ好き嫌いが多い。
でもね、
私たち夫婦の会話は、
いつも、この子たちの話なんだよ。
「かわいいよね」って。
「幸せだよね」って。
この子たちがいてくれるから、
私たち夫婦ふたりだけの時間も
特別に感じる。
パパを喜ばせる作戦は、大成功。
子どもたちからの、初めてのお弁当。
私たちは、一生忘れない。
結婚10年目の記念日は、
夫婦ふたりだけのものではなかった。
「家族になれてよかった」と心から思えた、
家族みんなの記念日だった。
先月、夫と2人で行ったランチの記事にも、
たくさんのスキやお祝いの言葉をいただきました。
本当に、ありがとうございます。
これからも、夫と2人で歳を重ねていくこと、
そして、子どもたちと一緒に歩んでいく時間を、大切にしたいと思います。
長い記事になってしまい、申し訳ございません。
私の力不足です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
