【episode2】 冬のブーツ上手な使い分け
見つけてくれてありがとうございます。
雪の気配です!
ここ数年、あまり雪に悩まされなかった地域でも、雪が積もったり凍ったりすることがありますね。
そこで増えているのが
「防水ブーツ」「防滑ブーツ」を
購入する人です。
これまで 比較的 必要のなかった、太平洋側にお住まいの方が、雪国で大活躍のブーツを選ぶようになってきました。
確かに高機能で良いブーツはありますよ。
「濡れない」「滑らない」
とても魅力的ですよね?
でも、そこまでの高機能、
本当にあなたに必要でしょうか?
売り文句を信じて、デメリットを知らないと、逆に危険なことも⋯
今回は、覚えておいて欲しい
『ブーツ選びの落とし穴』について
お話しようと思います。

⛄️機能の違いを知ろう⛄️
「いらっしゃいませ 積もりましたねー」
「ねー。昨年まで履いてたの、染みるようになってきたから、買いに来たの」
「そうなんですね、防水ブーツですね?」
「そう。完全防水がいいけど」
「なるほど⋯かしこまりました。こちらにどうぞ。
」
毎年、冬シーズンを迎えると増えてくる、お客様とのワンシーンです。
そろそろブーツを探し始める方も、増えてきます。
そこで、質問です。
皆さんは「防水ブーツ」と「撥水ブーツ」の違いはご存知でしょうか?
水を防ぐのか、はじくのか だけの違いではないんですよ。
その違い、紐解いてみましょう。
ブーツは、使い分けが大事
多くの方がブーツに求める機能は
・雨・雪の侵入を防ぐ防水性
・凍った路面も安心の防滑性
・冷たい冬の外気から守る防寒性
・オシャレに見えるファッション性
といったところでしょう。
結論から言えば、
これら全てを兼ね備えたブーツを見つけることはとても難しいことです。
「高価なものならあるんじゃない?」
と、思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
その理由は、
それぞれの機能を持つブーツの構造が違うので、全てを同時に満たすことが難しいからです。
まず、
それぞれの機能を持ったブーツの構造を、
説明しますね。

☆撥水ブーツ☆
ブーツの本体部分(靴底より上の部分)の表面に水を弾く加工をしていて、
日常の雨・雪、汚れから靴を守る機能です。
撥水処理とは⋯
靴の繊維や革に フッ素系やシリコン系のコーティングを施し、水滴を球状にして弾きます。
なので、弾かれた水滴は歩いているうちに、染みる前にブーツから落ちます。
ですが、
撥水ブーツは、あくまで”表面で弾く”だけなので、長時間 雨や雪の中を歩いたり、
水溜まりに入ったりしてると、染みてきます。
〇メリット
・通気性が良く、防水ブーツに比べて蒸れにくい
・通年用とほぼ同じ構造なので、履き心地に違和感がなく、履き心地が軽い
・防水ブーツよりもファッション性を損なわず日常使いしやすい
〇デメリット
・摩耗・経年でコーティングが剥がれ、
効果が薄れる。
・表面に水滴を付けたままだと浸水の可能性がある。
・表面加工だけなので、縫い目やファスナーから浸水の可能性がある。
・通年用の靴と同じソールを使っているものが多いので防滑性は低い
施しやすい加工なので、
ファッションブーツに撥水コーティングしているものが多く見られます。
本革や繊維系の素材のブーツに撥水加工している場合は水を防ぐというよりは
「汚れが染み込みにくくなる」程度の認識の方が無難です。
そして、定期的に防水・撥水スプレーを吹きかけることをオススメします。
☆防水ブーツ☆
一般的な構造は、
アッパーの素材(革や合成繊維など)とインナー(裏地)の間に、袋状にしたフィルムを挟むように作らています。
フィルムとは、
PVC(ビニール)から高機能フィルム(GORE-TEXなど)まで様々ですが、
袋状にする事でアッパーの縫い目や接着部分からの浸水を防ぎます。

ファスナーがついているタイプのもの、
編み上げブーツの様に靴紐がついている場合は、二通りにわかれます。
・袋状のフィルムがファスナーの部分”だけ” 分断された状態で内蔵されてる。
・袋状のフィルムがファスナーの部分”まで”
内蔵されている。
一つ目の方は、ファスナーの裏側に浸水を防ぐためにマチのように、防水ライナーをつけているものが多いです。
なので、ファスナーの無いブーツに比べ、少々防水性に不安はあるものの、日常使いでは問題なく履けるはずです。
一方、二つ目の方は、ファスナーの下の端までフィルムが入っているので、
おおよそ足首くらいまでです。
それより上の部分は防水加工がされていません。
こちらも、普段の雨・雪でも問題なく履けるかと思います。
が、
例えば、このブーツがロングブーツだとして、
「防水ブーツだから大丈夫!」
と、積もった雪の中ザクザク歩いたり、水溜まりの中を構わず歩いたりしていると、ファスナーから浸水してきたり、筒の素材から染みてきたりします。
編上げのブーツも同じことが言えます。
この手のブーツを購入する場合、
「どこまで防水か」を、確認した方がいいです。
〇メリット
・靴の中に浸水しにくい
・防水加工は構造上施されているので、経年劣化しにくく、耐久性が高い
・防滑の靴底を使用しているものが多い
・デザイン性の高い商品も増えているので、通勤・通学、普段使いと合わせやすい
〇デメリット
・通気性が悪く蒸れやすい
・コストがかかるため価格が高め
・撥水ブーツと比べると、重い・硬い
・構造上デザインの自由度が低い
・中が濡れてしまった場合、乾くまで時間がかかる
♡余談ですが⋯
先に説明した
「防水フィルムを挟んでいるので浸水しない」と説明した、防水ブーツの構造ですが、内部に染みないことを重視している反面、アッパーの素材が濡れることは、後回しにしている傾向があります。
つまり、
・白、ベージュ、キャメル、ライトグレーなどの明るい色
・起毛素材、柔らかい本革などの水に弱い素材
これらをアッパーに使用していると、内部に浸水はしませんが、水染みができて濡れてるように見えたり、変質・変色する可能性があります。
なので、防水・撥水スプレーを吹きかけることをオススメします。
防水ブーツだから安心!
と、過信しすぎない方がいいですよ。
以上が、
構造の説明です。
このあとは、それを踏まえての注意点をお話しますね。

ここからは、
多くの方が勘違いしやすい”冬のブーツ”の
注意ポイントについて
お話します。
ブーツの要注意ポイント!
☆防水ブーツ☆
防水ブーツは、防寒性も兼ね備えたものが多いです。
ライナーにボア・ファー・フェルトなど保温性の高い見た目からも暖かそうなもの。
インソールにも自分の体温で保温するものや、発熱するものなどがあります。
足から冷えていく極寒の季節にはありがたい存在ですね。
しかし、この温かさで汗をかき、逆に冷えてしまうこともあるんです。
例えば―――
防水ブーツを履いて外出する→
たくさん歩く、または、長時間履く→
ブーツの中で汗をかく→
帰宅後そのまま玄関に置いておく→
翌日、ライナー・インソールに染みた汗が乾いていない→
出かける→なんだか冷たいんだけど⋯
と、これがよく耳にするパターンでしょうか。
さらに、毎日この乾かない汗が蓄積されることで、ブーツが臭う原因になることもあります。
GORE-TEXなどの特殊なフィルムも例外ではありません。
「水を通さず蒸れを逃がす」
というキャッチコピーの正体は、
”水分の粒の大きさ” なんです。
”雨・雪” のような粒の大きいものは通さない一方で、”汗の蒸れ水蒸気” は通る。
そういう仕組みの素材です。
衣類に使われていると気にならないのですが、靴の中は状況が違います。
靴の中で「靴下が濡れるくらい、かいた汗」は水蒸気ではなく液体として残るので、インソールに染み込んで、なかなか乾かずに冷えの原因となってしまうんです。
簡単な対策としては、
・晴れている日は履かない
・連続して履かない
・インソールが取れるものは、取り外して
インソールだけ干す
これだけでも、違いますよ。
ぜひ、お手入れの一環として取り入れてください。
☆防寒ブーツ☆
意外にも雪国に住んでいる方でも誤解していることが多いのですが―――
防寒ブーツは、
必ずしも水に強いわけではありませんよ。
内部がモコモコしていて暖かくても、
防水加工が施されていないものは少なくありません。
ファッション系のスエードのブーツ、
ムートンブーツ、ウールのブーツ、
合成繊維のニット調のものなどは、
基本的には、防水性は備えていないのです。
特に羊革+羊毛のムートンブーツは、
非常に水に弱いので、注意が必要です。
防水加工しているブーツと見た目では区別がつきにくく、
誤って購入してしまう方もいます。
防水ブーツには「防水仕様」「〇時間防水」などの防水ブーツだとわかる、タグが付いているのですが、
防寒ブーツにはほとんど付いてません。
あっても「防水ではありません」と小さく記載されている程度です。
実店舗で購入するのなら、店員さんに確認するのが、一番安心です。
ネットでの購入は、商品説明をよく読んで、防水機能の有無について触れていなければ、防水加工はしていない、と考えた方が無難です。
防寒ブーツの魅力は、
防水加工していない分、軽く、柔らかく、
保温・透湿に優れていること。
さらに、防水ブーツのような分厚い構造ではないので、見た目もスッキリしています。
また、デザインも豊富です。
雨・雪の少ない地域や、
晴れた冬の日のファッションアイテムとしては、とてもオシャレでおすすめです。
★防寒ブーツ=軽快でオシャレ(ファッション性)
★防水ブーツ=機能性重視(実用性)
と言ったところでしょうか。

☆防滑底☆
近年、防滑底の性能は大きく向上しています。
氷上・圧接されて固くなった雪道、サラサラの雪上の道でも安心して歩ける防滑底が増えています。
この防滑底の素材は、ゴムをベースに
・ガラス繊維入り
・セラミック粒子入り
・特殊ラバー
など、ゴムに異なる繊維や粒子を配合したものを、靴底に配置させています。
仕組みは車のスタッドレスタイヤとほぼ同じ。
さらに、ピンスパイク付き・ゴムスパイク付きもあります。
どの靴底も”冬の悪路”に強い構造になっています。
この、防滑底もまた、反対から見ると注意すべきところが――
〇注意点
・”滑らない” ”冷たくない” を実現するために、少し厚底で、固い底が多い。
そのため『返し』が悪く、疲れやすい。
・氷上で滑りにくい防滑底は、ビシャビシャした雪の上・ショッピングセンターなど屋内のフロア材・工事などで使われてる鉄板の上などで滑ることがある。
・ピンスパイクや折りたたみ式のスパイクは、普通の路面だと滑ることがある。
床を削って傷つけてしまうことがある。
・防水+防滑ブーツは比較的に高価
以上のことから、
積雪の心配が シーズン中数日程度あるくらいの地域では、防滑ブーツは、よく比較して購入することをおすすめします。
♡余談ですが⋯2
たまに、靴底に”折りたたみ式のスパイク” の金具が着いているものがあります。
もしかすると、見たことがない方が 多いかもしれません。
でも、最近ネットショップで見かけるようになったので
「知らずに購入して失敗した!」
とならないために
「知っておいて損は無い」情報です。
実はこの折りたたみスパイク、翌シーズンは使えなくなっていることが多いので、気をつけてください。
何故かと言うと、錆びや、ゆがみで動かなくなることが多いんです。
ブーツはまだまだ履けるのに、こうなるとその金具で滑るようになるので危険です。
靴底に穴があくので取ることもできません。
ワンシーズンで終わらせるつもりならばいいのですが⋯
経験上あまりおすすめできないタイプのブーツです。
★まとめ★
色々ブーツについて説明してきましたが、
本当に必要な機能は何か?
ご自身のお住まいの地域
天候、路面の状態、生活環境、使用頻度などを踏まえて、検討してください。
「絶対に染みないブーツはない」
「絶対に滑らないブーツはない」
と、思っていてください。
🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹🔸🔹
ちなみに私が
個人的に好きなブランドは、
『Columbia』です。
モデルは、現『イエローテイル』シリーズ
防水性も 防寒性も 履き心地も バランスよく希望を満たしてくれます。
アウトドア色が強いので、
カジュアルファッション向きですが、
冬の強い味方です。

冬本番、楽しく、怪我なく
冬を過ごしてください。
このepisode2が、
あなたのお役に立ちますように ✩.*˚
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

次回
episode3は、
「靴で起こる足トラブルについて」
です。
なぜ靴擦れするのか?
タコができる原因は靴?
爪が黒くなるのは?
などなど⋯
病院に行く程じゃないけれど、悩まされることの多い足トラブルを、シューフィッターの視点からお話したいと思います。

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