「会社に飼われるな。でも、完全に野良にもなるな。」〜『 「組織のネコ」という働き方』の感想レポート〜
「これ、去年もこのやり方だったから。」
「一応そのまま進めちゃおう。」
「まぁ、決まりだしね。」
組織の中では、こうした言葉が自然に使われることが多い。周囲に合わせ、決められたことをきちんとこなせる人ほど、「しっかりした人」と評価されやすい。しかし、『「組織のネコ」という働き方』を読んで、その当たり前が少し揺らいだ。
本書では、人の働き方を「イヌ」「ネコ」「トラ」「ライオン」という4種類の動物で表現している。「組織のイヌ」は、ルールや指示を重視し、組織を安定して支えるタイプである。一方、「組織のネコ」は、自分が納得できないことに強い違和感を持つが、意味を感じたことには大きな熱量を発揮するタイプとして描かれていた。また、「組織のトラ」は、“社命”ではなく“使命”を軸に動く存在であり、「組織のライオン」は、人をまとめながら全体を動かすリーダータイプとして説明されていた。
面白かったのは、この本が「どのタイプが正しいか」を決めていないところである。むしろ、「全員が同じ働き方をする必要はない」という前提で話が進んでいく。そして、本書が本当に伝えたかったのは、「組織に従えない人を否定しないこと」なのではないかと感じた。
特に印象に残ったのは、「ネコ型」の人は、単にわがままなのではなく、「自分が納得できるか」を重視しているという点である。そのため、意味を感じられることには驚くほど集中できる一方で、納得感のない作業では急激にエネルギーが落ちる。
実際、自分の周りでも似た場面を見ることがある。グループ作業で、「去年もこれで通ってたし、このままでいいんじゃない?」「とりあえず前と同じにしておこうよ」という流れになることは多い。しかし、その時に「でも、それって何のためにやってるの?」と聞く人がいると、一瞬空気が止まる。本書は、そういう“立ち止まって考えてしまう人”を否定していなかった。
この前行われたカフェゼミでも、それに近い場面があった。そこで、「紙コップは必要なのか」という議題が出たのである。以前までは、「環境に良くないから」という理由で、マグカップ持参を当たり前としていた。しかし改めて考えてみると、「環境に良い=全員にとって最適」とは限らないことに気づいた。持ち帰りたい人や、荷物を増やしたくない人にとっては、紙コップの方が便利な場合もある。
つまり、自分たちは「環境への配慮」を大切にしていたはずなのに、いつの間にか“マグカップ持参”そのものが目的化していたのである。この経験を通して、「本当に大切にしたいことは何か」を考え直すことの重要性を感じた。
私はゼミ活動を通して、「ナレッジワーカー」という考え方にも触れている。ナレッジワーカーとは、単に指示を受けて動く人ではなく、自分で状況を判断しながら価値を作っていく人材のことである。そこでは、「与えられた答えを正確に出すこと」よりも、「そもそも何が必要なのか」を考える力が重視されている。
この考え方は、『組織のネコ』とかなり近いように感じた。本書の「トラ型」の人は、“社命”ではなく“使命”で動くと説明されていたが、それは「言われたからやる」のではなく、「自分が意味を感じるから動く」ということである。
『「組織のネコ」という働き方』は、単に自由な働き方を勧める本ではなく、「自分で考えることをやめないでほしい」というメッセージを持った本だったように感じる。これからの時代では、「なぜ?」を考え続けられる人の価値が、さらに大きくなっていくのではないかと思った。
