年金を「繰上げ受給」した方が良いケースとは? ― 60歳からとっとともらう、5つの理由
「損をするのでは?」という直感が覆るかもしれない。状況によっては繰上げが最善の選択肢になる
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■ はじめに ― こんな質問から始まります
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こんな状況を想像してみてください。
現在60歳。すでにサイドFIRE(半リタイア)していて、この先、年金をもらわなくても生活は成り立つ状況。この場合、年金はいつからもらうのが良いでしょうか?
▼ ① 60歳から繰上げ受給して、浪費枠を増やして楽しむ
▼ ② 普通に65歳から受給する
▼ ③ 66〜75歳に繰下げ受給して、より豊かな老後に備える
答えは状況次第ですが、このような裕福な状況であれば「①繰上げ受給」も大いにアリです。
今日は、その理由を5つ解説します。
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■ まず基本を確認:繰上げ・繰下げとは
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年金は原則65歳から受け取れますが、受給開始時期を前後にずらすことができます。
▼ 繰上げ受給:60〜64歳で受給開始 → 年金額が減額される
▼ 繰下げ受給:66〜75歳で受給開始 → 年金額が増額される

具体的な数字で見てみましょう。65歳時点の受給額を100%とすると、
▼ 60歳から受給開始(5年繰上げ):受給額 76%(最大24%減額)
▼ 65歳から受給開始:受給額 100%(基準)
▼ 70歳から受給開始(5年繰下げ):受給額 142%
▼ 75歳から受給開始(10年繰下げ):受給額 184%(最大84%増額)
減額・増額の仕組みを整理すると、
▼ 繰上げ:1か月早めるごとに 0.4% ずつ減額(最大24%減)
▼ 繰下げ:1か月遅らせるごとに 0.7% ずつ増額(最大84%増)
この数字を覚える必要はありません。「こういう表が存在する」ということだけ知っておいてください。自分が65歳に近づいたタイミングで調べれば十分です。
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■ 裕福な人が「繰上げ受給」を選ぶ5つの理由
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FIRE・サイドFIREができるほど資産形成できた人が、繰上げ受給を選ぶ理由は以下の5つです。
◆ 理由①:繰下げ受給が「必ずトク」というわけではない
75歳から受け取れば184%になる、と聞くと繰下げが絶対に得に見えます。
しかし、人間はいつ亡くなるか分かりません。
75歳から受け取るつもりで74歳で亡くなってしまったら、何も受け取れないまま終わります。繰上げ受給と繰下げ受給、どちらが得かは「長生きするかどうか」という運の問題でもあります。
繰下げ受給が「必ずトク」とは言えないのです。
◆ 理由②:長生きリスクに備える必要性が薄い
繰下げ受給の本来の意味は「長生きに対する保険」です。
▼ 思ったより長生きしてしまった
▼ そのせいで老後資金が足りなくなった
こういうケースに備えるために、年金の受け取りをできる限り遅らせて受給額を増やす、というのが繰下げの主な目的です。
しかし、すでに十分な資産がある方は、長生きリスクに備える必要性が低いと言えます。余計な保険をかけるより、今の生活を豊かにする方が合理的です。
◆ 理由③:お金の価値は、若いほど引き出しやすい
年を重ねるにつれて、できることは少しずつ変わっていきます。
▼ 若い頃と同じように食べられなくなる
▼ スポーツや旅行も体力的に制約が増える
「今だからこそできること」を楽しみたいなら、早く受け取って早く使う方が合理的です。80歳になってからお金が増えても、使い道が限られてしまうことは少なくありません。
◆ 理由④:年金制度の改悪リスクへのヘッジになる
年金制度は破綻しません。しかし、人口減少・少子高齢化が進む中で、制度が少しずつ改悪されていくことは避けられない現実です。
「とっとともらって、とっとと使う」ことは、将来の制度改悪の影響を小さくする一つの選択肢です。
◆ 理由⑤:運用次第では、繰下げより総資産が増える可能性もある
少し意外かもしれませんが、繰上げ受給した年金を全額S&P500などの株式インデックスに長期投資した場合(年利7%想定)、繰下げ受給した人よりも総資産が増えるパターンがあります。
「早く受け取ったけど、使い道がなくて結局投資に回った」という人にとっても、繰上げ受給がお得になるケースがあるということです。
(もちろん、もらったお金は積極的に使って人生を楽しむことが大前提ですが)
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■ 繰上げ受給の注意点
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繰上げ受給には、いくつか注意すべき点があります。
▼ 一度申請したら変更・撤回ができない
繰上げ受給は申請した時点で減額率が固定され、一生その額が続きます。後から「やっぱり65歳に変更したい」は認められません。
▼ 65歳より前は障害年金・遺族年金との併給ができない
繰上げ受給中(65歳前)に障害を負ったり、配偶者を失ったりした場合、障害年金・遺族年金との選択が必要になることがあります。
▼ 国民年金への任意加入ができなくなる
繰上げ請求後は、国民年金への任意加入と保険料の追納ができなくなります。
▼ 働いている場合は在職老齢年金に注意
60〜64歳で働きながら年金を受け取る場合、収入と年金の合計額が一定額を超えると年金が減額されることがあります(在職老齢年金制度)。
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■ 結局、どのパターンが正解か
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年金の受け取り方に、唯一無二の正解はありません。
▼ 資産が十分にあり、今を楽しみたい方 → 繰上げ受給も大いにアリ
▼ 老後の生活費が不安な方 → 繰下げ受給で月々の受取額を増やす
▼ 健康に不安がある方 → 早めに受け取る繰上げが安心な場合も
▼ 長生きに備えたい方・現役期に収入がある方 → 繰下げで年金を育てる
大切なのは、自分の資産状況・健康状態・価値観に合わせて判断することです。
「繰下げが得」「繰上げが損」という単純な話ではなく、その人の状況によって最善解は変わります。
年金の受け取り方を検討する際は、日本年金機構の「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分の受給見込み額を確認した上で、必要に応じてファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談することをおすすめします。
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■ まとめ
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▼ 繰上げ・繰下げの基本
・繰上げ(60歳〜):月0.4%減額、最大24%減(60歳開始で76%)
・繰下げ(66〜75歳):月0.7%増額、最大84%増(75歳開始で184%)
・一度申請したら変更不可
▼ 資産が十分にある人が繰上げを選ぶ5つの理由
① 繰下げが「必ずトク」というわけではない(結局は長生きするかどうか次第)
② 長生きリスクへの備えの必要性が低い
③ お金の価値は若いほど引き出しやすい
④ 年金制度の将来的な改悪リスクへのヘッジ
⑤ 運用に回した場合、繰下げより総資産が増えるパターンもある
▼ 繰上げの主な注意点
・一度決めたら変更できない
・65歳前は障害年金・遺族年金との選択が必要になる場合がある
・働いている場合は在職老齢年金制度の影響に注意
年金の受け取り方は、資産状況・健康状態・価値観によって最善解が変わります。
早めに自分の受給見込み額を把握して、ライフプランに合わせた判断をしていきましょう。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
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