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「その情報、本当にあなたが選びましたか?」映画『コメント部隊』が突きつける怖すぎる真実【ネタバレなし】

この映画の魅力を3文で

  • 「真実」と「嘘」の境界線が、あなたの画面の中で静かに溶けていく韓国犯罪スリラー。

  • 世論操作の実態に迫る記者の目を通して、私たちは「自分が信じているもの」を問い直さざるを得なくなる物語。

  • 観終えたあと、SNSのタイムラインをスクロールする手が、少し止まるかもしれません。


こんな方におすすめ

  • SNSやネットニュースの情報に、ときどき不安を感じる方

  • 「フェイクニュース」という言葉が他人事に思えない方

  • 韓国映画・犯罪スリラーが好きな方

  • アドラー心理学や人間の心理に興味がある方

  • 自分の「信じたいもの」について、正直に向き合ってみたい方


はじめに

 SNSでシェアされた記事を読んで、「やっぱりそうだったか」と思ったことはありますか?

 あるいは逆に、「こんなこと、あるわけない」と感じて、途中で読むのをやめたことは?

 どちらも、とても自然な反応です。

 人は、自分がすでに感じていることを「確認」するのが得意で、自分の感覚に反することを「疑う」のも得意です。

 問題は、それを利用しようとする人がいる、ということです。

 今回ご紹介する映画「コメント部隊」は、その「利用」が組織的・計画的に行われていたとしたら、という問いから始まる、ちょっと怖いお話です。

 さあ、感情の奥行を、この映画から…


スリル感極まる、韓国発の犯罪スリラー

 「コメント部隊」(原題:Troll Factory)は、韓国の国家情報院による世論操作事件を題材にしたチャン・ガンミョンの同名小説を映画化した犯罪スリラーです。

 2024年製作、109分。日本では2025年2月14日に劇場公開されました。

 監督・脚本は、「誠実な国のアリス」で韓国社会を鋭く風刺したアン・グクジン。

 9年ぶりの新作として、渾身の一作となっています。

 主演は、「犯罪都市 THE ROUNDUP」や「D.P.-脱走兵追跡官-」で知られる俳優ソン・ソック。

 「82年生まれ、キム・ジヨン」のキム・ソンチョル、「不思議の国の数学者」のキム・ドンフィ、ドラマ「悪鬼」のホン・ギョンが共演しています。


あらすじ&みどころ

 大手新聞社の社会部記者イム・サンジンは、実力はあるが見栄っ張りな一面も持つ男性。

 大企業「マンジョン」の不正に関する特ダネ記事をものにしたと思った矢先、それが誤報と判明し、停職処分を受けてしまいます。

 そんな彼のもとに、謎の情報提供者が現れます。

 その人物は自らを、ネット世論を操るコメント部隊「チームアレブ」のメンバーだと名乗り、こう言います。

「金さえ払えば、真実を嘘に、嘘を真実にすることができる」

 二転三転する展開の中で、サンジンは「世論操作」の実態へと迫っていきます。

 SNSやオンラインコミュニティを舞台に、何が本当で何が嘘なのかが揺れ続ける構成は、観ている私たち自身の「判断力」を試してくるような感覚があります。

 スクリーンの中で起きていることが、現実のSNSの画面と重なって見えてくる瞬間が、あなたにも起きるでしょう。


アドラーレンズの視点① ――信じたいものを信じる、という人間の性質

 アドラー心理学では、人は「目的」に向かって動くと考えます。感情も、思考も、行動も、すべて何らかの目的を持っています。

 では、「これを信じたい」という気持ちの背後には、どんな目的があるのでしょうか。

 多くの場合、それは「自分が正しいと感じたい」「安心したい」という欲求です。

 そして、もうひとつ――「誰かより優れていると感じたい」という欲求も、そこに混じっています。

 誰かを貶める情報が広まりやすいのは、それを信じることで、自分が相対的に「上」に立てるような錯覚が得られるからでしょう。

 劣等感を抱えているとき、人は誰かを下に見ることで、その感覚を和らげぐと感じがちです。

 心理学者アルフレッド・アドラーはこれを「生きるのに役に立たない道」と説明しています。

 「コメント部隊」が描く世論操作は、まさにこの性質のものです。

 事実でなくても、事実のように見せることができれば、それを「信じたい」人たちの中で、それは事実になる。

 巧妙なのは、その操作が、ターゲットの感情の動きを熟知した上で設計されているという点です。

 私たちは、自分が思っているほど、自分の判断を「自分でしている」わけではないのかもしれません。少し、怖い問いです。


アドラーレンズの視点② ――共同体感覚が発達すると、何が変わるのか

 アドラー心理学の核心にある概念、「共同体感覚」。

 これは、端的にいえば、自分の居場所がある感覚です。

 共同体感覚が発達していないとき、人は自分の優越を保つことに意識が向きがちです。つまり、誰かを下に見ることで安心しようとするのです。

 フェイクニュースや誹謗中傷を「信じたい」「拡散したい」という衝動は、この仕組みに似ています。

 一方、共同体感覚が適度に発達していると、状況は変わります。

 劣等感を抱えている誰かを見たとき、その人を踏み台にしようとするのではなく、共感を示したくなる。

 そして、その人の劣等感が少しでも和らぐよう、支援したくなる。

 自分の居場所がある感覚が育っているとき、人は自然とそういう方向に動きたくなるのです。なぜなら、それこそが共同体感覚をより発達させてくれると、感覚的にわかるからです。

 アドラーはこのような、他者貢献によって優越感を得ようとする行為を「生きるのに役立つ道」と説明しています。

 「コメント部隊」は、ある意味で、観ている人の共同体感覚を試すような映画といえるでしょう。

 スクリーンの中の「世論操作」に、あなたはどう反応するか。

 怒りを感じるか、無力感を感じるか、それとも何かを変えたくなるか。

 その反応の中に、今の真の自分が見えてくるかもしれません。


たとえば、こんな問いかけ

 あなたが最近「信じた」情報は、本当にあなた自身が検証したものでしたか?

 それとも、「信じたかったから」信じたのでしょうか?

 どちらが正直な答えかは、自分自身だけがわかるでしょう。

 そして、あなたの身の回りで劣等感を抱えているように見える誰かがいたとき、あなたはその人に何を思いますか?


おわりに

 嘘が真実になるのは、それを信じる人がいるからです。

 そして、誰もが「信じたいもの」を持っています。

 それは弱さではなく、人間であることの証ともいえることでしょう。

 大切なのは、その性質を知っておくことです。

 自分がどういうとき、どんな情報に引き寄せられるのかを、少しだけ観察してみる心の姿勢。

 この映画は、その観察を始めるための、ひとつの入り口になるでしょう。

 正解は、映画の中にはありませんが、問いはここに確かに残ります。


作品概要(クレジット)

  • タイトル:コメント部隊

  • 原題:Troll Factory

  • 制作年:2024年

  • 制作国:韓国

  • 上映時間:109分

  • ジャンル:犯罪スリラー

  • 監督・脚本:アン・グクジン

  • 配給:クロックワークス

  • 劇場公開日:2025年2月14日(日本)

  • 出演:ソン・ソック、キム・ソンチョル、キム・ドンフィ、ホン・ギョン


関連作品

  • 工作 黒金星と呼ばれた男(2018 韓国)

  • KCIA 南山の部長たち(2020 韓国)


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 そして、あなたの「嘘が事実に見えた瞬間」、あるいは「事実が嘘に見えた瞬間」について、ご無理のない範囲でコメントくださると、嬉しいです。

また次の記事でお会いしましょう。
ありがとうございます。

メンタルコーチ 中村常楽



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