子育ての終わりはいつも突然【子育てエッセイ】
第二子くんが「くましゃん」と言った。
その日は、突然やってきた。
旅行先に持っていったお気に入りの犬のぬいぐるみとくまのぬいぐるみ。おうちのベッドよりも格段にふわふわのお布団の上でぴょんぴょん跳ねながら、くまのぬいぐるみを抱え上げて、唐突に発した言葉だった。
「くましゃん!」
あまりにも突然のことだったので、両親ともに顔を見合わせた。
「えっ、今なんて言った??第二子くん、これなぁに?」と聞き返すと、またも同じように「くましゃん」と言う。
一瞬だけ静寂が訪れた後、心の中でじわじわと不思議な感覚が広がった。
これまでは、すべてのぬいぐるみが「わんわん」だった。
犬も猫も熊もうさぎも、ふわふわしていればすべて「わんわん」。
「わんわん」という言葉は、愛するすべてのぬいぐるみをまるっと呼ぶための特別な言葉だった。
そして、どれもこれも「わんわん」と呼びながら大事そうに抱きしめて、頬ずりして、ふわふわの感触を楽しんでいた。
その姿が私はたまらなく好きだった。
かわいくてかわいくて、彼の世界の中に「わんわん」たちがどれだけ重要な存在であるかが伝わってきて、見ているだけで胸がほころんでしまうような瞬間だった。
だからこそ、初めて「くましゃん」と言ったときの衝撃は、喜びだけではなかった。
そこには、ほんの少しだけ寂しさが混ざっていた。
彼が「くましゃん」と言うようになったのは、確かに成長の証。
これまでは1つの言葉でまとめていたものが、それぞれの違いを認識して言葉にできるようになった。そんな彼の成長は、母親として喜ばしいし、誇らしいことでもある。
でも、それと同時に、もうあの「わんわん」だけで世界を満たしていた日々が終わってしまうのだと思うと、切なくなった。
子どもの成長にはいつも喜びと寂しさが表裏一体なのだと改めて感じる。
まだ「くましゃん」という響きには聞きなじみがなくて、少し不思議な感じがする。
今は、「わんわん」と「くましゃん」が混在している彼の世界。ぬいぐるみを見つけては「わんわん」と叫びつつ、特定のものには「くましゃん」と識別して呼ぶ。そんな彼の様子を見ていると、きっとこれから彼の言葉の世界はどんどん広がっていくのだろう。
いずれ「わんわん」と呼ぶ姿も見られなくなるのだと思うと、あっという間に成長してしまう子どもの時間の速さに驚かされる。
それが少し切なく、でも愛おしい。
子育てとはこういうものだ。
気づかないうちに終わりがやってきて、次のステージへと進んでいく。
私はそんな彼の変化を少し寂しく思いながらも、これから彼が見つけていく新しい世界を楽しみにしている。
次はどんな言葉で、どんな世界を教えてくれるのだろう。
その日を心待ちにしながら、今日も彼の「くましゃん」という言葉に耳を傾けた。
明日もいい1日になりますように。
いいなと思ったら応援しよう!
いただいたサポートは、1000円をこえたら家族でおやつパーティーを開かせていただきます。その様子をまたnoteにupしますね^^いつも読んでくださり、どうもありがとうございます!