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すり抜けていく子育ての日々を書いて捕まえてきた【子育てエッセイ】

私は、いわゆる「育児日記帳」を出産前から用意していたタイプではなかった。



子どもが生まれたら、成長を細かく記録して、あとで見返せるようにしておこう。

そんなふうに張り切っていたわけでは、全然なくて。

たまたま、第一子ちゃんを出産した産院からお祝いのプレゼントとして、半年分書ける育児日記帳のようなものをもらった。

バーチカルタイプの手帳みたいなつくりで、赤ちゃんが寝た時間、起きた時間、授乳した分数、ミルクの量、排泄の回数、気づいたことなんかを書けるようになっていた。

せっかくもらったし、書いてみるか。

たぶん最初は、そのくらいの気持ちだったと思う。でも、書き始めたら、気づけば、するりと半年続いていた。

生後1週目の記録
生後5ヶ月くらい
文章の量が増えてる(笑)。

この日記帳は半年で使い切り、後期用のノートも取り扱っているみたいだったので、また受け取って書いた。


そうしているうちに、時が経ち、育児日記はまるっと1年以上続いた。


既存の育児日記を使い切ったあとは、無印良品のウィークリーノートで記録を取り続けた。


「記録を取りたい」
「書くことが好き!楽しい!」

と、特別に思っていたわけじゃなくて。育児を記録することは、不思議と私の日常にすぅっと入り込んで馴染んだ。

そこに特別なイメージはちっともなかった。




1人目を産んだ頃、同い年の子どもを育てている友達や親戚と話す中で「育児記録つけてる?」「日記とか書いてる?」という話題になったことがある。

私はそのとき、わりと自然に「書いてるよ〜」と答えた。

すると、周りの反応が少し意外だった。


え、毎日書いてるの?アプリじゃなくて?

私も同じ冊子を産院でもらったけど、入院中しか書かなかったよ!

そんなに書くことなくない?書くこと見つけられるのがすごいんだけど!


そんなふうに言われて、私は逆に腰が抜けるほど驚いた。みんな、やってなかったんだ。これは、みんなが当たり前にしていることじゃないんだ。


毎日、決まったことを、決まった場所に、淡々と書いていくこと。


私はそれを、なんの疑いもなく続けていたけれど、それは私にとって「普通」や「日常」になっていただけ。他の人からしたら、ちょっとめんどくさくて億劫なことだったらしい。


書くこと。
記録すること。
それを毎日、地道に続けること。


すごーーーーく地味だし、目立たない。誰かに褒められることでもない。やろうと思えば、きっとできることなんだと思う。だって、ただ書くだけだから。


でも私は、そこに不思議なくらい愛着がある。


今日は何時に寝た。
ミルクはどのくらい飲んだ。
こんなことができるようになった。
今日はなんとなく機嫌が悪かった。


そんな細かなことを、ただ事実として残していく。小さな積み重ねが、私は好きだ。


別に、それらが役に立とうと立たなかろうと、私は書いてきた。たぶん今ここにある子育てを取りこぼしたくない、そんな気持ちで書いていたんだと思う。


子どもは毎日変わる。小さな変化は、まるで水のように手のひらからすり抜けて流れていってしまう。だから当時の私は、書いて残したかったのかもしれない。


子育て記録を書くことへの偏愛。


そんな言い方をすると少し大げさかもしれないけれど、私の中にはたしかにある。

子どもを育てることと同じくらい、いや、もしかしたらそれとは別のベクトルで、子どもとの日々を記録することそのものを、私は愛しているんだろうな。



明日もいい1日になりますように。




下記のコンテスト応募作品です。


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