怖がり|酒と車は物理的に切り離していた
お酒。大好きでした。
飲み会や宴会ではエンターティナーでした。
酔って理性を失うギリギリのところ、自身でも口下手が饒舌になっていると感じる変わり目が好きでした。
ただ、一定量を超えると人は誰でも本人ではなくなるということも、嫌というほどよく分かっていました。
なぜなら、祖父が最悪の酒乱で、飲んで暴れる結末を幾度も目の当たりにしてきたからです。
心の中で誓っていました。絶対に酒にのまれない。酒に支配される人にはならないと。
車、運転も大好きでした。
できるだけ、どんな場面でもマイカーを絡めたくて仕方がありませんでした。
深夜残業と分かっている日は、敢えて早朝に出掛けて車を準備し、同僚や上司を自宅まで送り届けたいというタイプでした。
ただ、酒が絡む日は最初っから鍵を持つことはありませんでした。
常に頭の中に描いていた帰宅方法は、電車の終電を乗り逃さないこと、最寄りの駅まで着きさえすれば千鳥足でも歩いて40分で帰宅できる。
どうしてもダメならカプセルホテルでも、高額料金覚悟でタクシーでも構わない。と決めていました。
あんなに自分自身も、人も可笑しくさせる酒を飲んで、普段と同じに運転ができるはずがない。そう思っていました。いやそう怖れていました。
私は昔から怖がりでした。
酒の怖さも、人の弱さも見て育った怖がりです。
運悪く、車か酒の付きあいかという選択肢に遭遇した際には、車を選んだ時は真っすぐ帰宅。酒を選んだ時は24時間有料駐車場覚悟でした。
何があっても絶対に車と酒を絡めない。物理的に切り離す。
どんな年代でも、如何なる職種でも一貫して徹底していました。
だから、酒好きで車好きでも、一度も過ちを犯さなかったのだと思います。意志が強かったからではありません。
むしろ、自分を信用していなかったからです。
酒を飲んだ人間は、たとえ自分自身であっても信用しない。
だから最初から車と酒を物理的に切り離していました。
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