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怖がり|事故の場面が目に浮かぶ

過去に接触や衝突の事故は一切ない。
と自信満々に書き始めようとすると、2件の接触事故を思い出した。
いずれも、いわゆる物損で軽傷、かつ即座に報告先や謝罪先へ素直に連絡をし、警察沙汰にもならなかったことで大事には至らなかった。だけである。

全くの無事故という表現は問題があるなと反省。

いずれも引っ越し屋の仕事をしている時である。

一件は、ガードレールのある道路で、路側帯を踏んでギリギリにトラックを停止させて電話連絡を行い、後方から近づく車両がないことを確認した上で大きく右へハンドルを切った時だった。

後方からの「ギッ」という金属音と共に違和感を感じた。
即、ブレーキを踏み込みハザードランプを付け直してトラックを降りてみると、トラック後部のアルミ製のバンパーがガードレールの支柱に当たっている。

「えっ?」の直後に理解した。

後輪を軸として荷台の後部が振り出すオーバーハングだ。
普通車では殆ど気にする必要はないが、後輪部分から長く突き出た荷台のトラックの場合は注意が必要なのだ。
幸いなことにガードレールの支柱には変形がなく、塗料が僅かに剥げているだけだった(厳密にいえば警察への報告義務はあった。)。しかし、トラックのバンパーは変形していた。
もちろん、即時会社へ連絡して状況を報告したが、「人身でなければ帰ってよし!」という寛大?な返答だった。


もう一件は、荷台天井部分への注意不足が原因で発生した事故だ。
車両一台半分ほどしかない狭い道路での引っ越し作業中に、ご近所の住人が車庫から車を出したいとのことで、慌ててトラックを前進させ左側へビタビタに寄せて停めようとした時である。

本来、トラックを移動させる際には、必ず監視(誘導)役がいなければならない。しかし、作業員全員が荷物の搬出で出払っていたため単独での車両移動となった(私は、この頃、積み士と呼ばれ、トラックへの荷物の積み込みをメインで担当していた)。
案の定、運転席からは見えない家の軒先が微妙に道路側にはみ出しているのと、道路に設けられた雨水排水用の道路勾配で微妙にトラックが軒先側に傾いていることが重なり、瓦が1枚落ちてもう1枚がずれた。

「あちゃっ~、やってしまった!」

と同時に、トラックを降りて接触したお宅へお詫びに行った。
インターフォン越しの話しだけで「引っ越し屋さんでしょ?」「急がんから元通りにしてくれたらええ。」という何と神的なお言葉だった。

焦った私は、店長宛てに電話をし状況を説明したが、「道路上に散乱物があるなら脇に寄せて、直ぐに作業に戻ればいい。」との快答だった。
当日の夕方、店長が瓦に接触したお宅へお詫びに伺っていただけたらしい(その後、どのような対処となったのか詳細は聞かされていない)。
随分後になってから聞かされたのだった。
毎日、2便、3便と仕事が忙しい時だったので気遣っていただけたのだろう。感謝しかない。

と、後にも先にも、この2件だけ(2件も? 笑)。

このことがあってからだろうか、運転動作の変わり目には必ず指差呼称をするようになった(今でも、指までは出さない時でも、声に出して確認している)。

加えて、(もちろん未経験だが)激しい衝突の場面が時々脳裏をかすめる。
激しい衝撃と音、オイルの焦げる臭いを想像できてしまう。

元々怖がりな私はより一層、この光景が目に浮かぶ度に「速度大丈夫か?」「視えているか?」「当たらないか?」と自問自答するのである。


あとがき

若い頃は、「事故なんて起こさない」と思っていた。
しかし、今は少し違う。

事故は、起こそうと思って起こす人はいない。

ほんの少しの確認不足。
ほんの少しの焦り。
ほんの少しの思い込み。

その積み重ねが事故になる。
だから私は運転中、ときどき最悪の場面を想像する。

もしも、交差点で歩行者が飛び出したら。
もしも、対向車がセンターラインを越えてきたら。
もしも、今この瞬間、眠気が襲ってきたら。

決して楽しい想像ではない。
むしろ嫌な想像だ。

それでも、その嫌な想像が私のブレーキになってくれている。
怖がりな性格も、案外悪くないのかもしれない。


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