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学生時代のラグビー合宿で学んだこと|男泣きと超人力

今から40年も前になります。
島根県の山中にある高原へラグビー合宿に行った時の記憶です。
確か、自分は「俺」って名乗ってました。

(標高が高いため、とても涼しい最高の環境)
(狙いは、低酸素下で肺活量と筋力を鍛えることだったらしい)

朝練は、名物とされる『地獄ダッシュ』で始まった。
グランドの端から端まで余すことなく全力ダッシュ。
総勢20名が走るので異様な光景だ。
(何本走ったのか記憶がない)

俺 :「先っ輩っ~ぃっ」
俺 :「もうっ ダっメっ でっすっ 吐きっそっでっすっ」

先輩:「吐けっ~!」

俺 :「止っまってっ いっいっでっ (すっ)かっ?」

先輩:「止まるな~!」

先輩:「走りながら 吐け~!」

嗚咽、呼吸困難、咽びを感じながらも、走りながら吐いた。
朝食前なので糸を引く胃液しか出て来ない。
顎、首、胸、脚、靴下、シューズの汚れは気にする余裕が全くなかった。

(人生初の「ながら吐き」だ)
(今、思えば貴重な経験)


フッカー候補でした。
雨の日に、部員全員が躊躇せず、目と歯だけが白く輝く泥んこ男児になった。
スクラムの練習では、シャツの襟に付着した濡れた砂利が首や耳に擦り付き血が滲んでいた。
擦り傷位では痛みのうちに入らない。

何度も、体制を整えなおし、ぶつかった。

「せい!の~!」
「ガスっ!」(ドスっ)

「せい!の~!」
「ガスっ!」(ドスっ)

と全身に途轍もない横重力と衝撃を感じながらぶつかり合った。

両サイドの先輩から、歯を食い縛りながらの激励の声が聞こえてくる。

「頑張れっ~!」
「あとっ、十本っ!」

一人で耐えているんじゃない。俺が苦しいだけじゃない。
と思った瞬間に涙がボロボロ零れ落ちた。
雨も降る中、誰も涙なんかに気が付かない。
だけど、涙で体が痙攣するのを感じた。

先輩からは激励が続く。

「頑張れっ~!」
「気をっ、締めろっ!」
「歯っ、喰いしばれっ!」
「首っ、折れるぞ!」

遠目に立ってる主将から甲高い叫び声(号令)!

「よっ~しゃっ、ラストぉ~~!」
(山間に、こだまする程デカイ声で)

「せい!の~~!」
「ガスっ!」(ドスっ)

練習相手も自分たちのスクラムも全て崩れ落ち、
ドロドロの地面に両膝、両手を着いて安堵した。

左の先輩は、いつも言葉が汚くてはっきり言えば嫌いなタイプ。
その左の先輩から、大きく肩を抱かれて、

「よっ~し、頑張った!」
「お疲れっ!」
「ナイスっ!」

息も切れぎれで、かろうじて俺も声に出せた。

「ありがどう ざぃまず」

左の先輩の顔には、泥を押し流した二本の川の筋が観てとれた。
(鼻水も涎も、恐らく自分より酷いかも)

(先輩も、苦しくて、悔しくて、辛くて、泣いたんだ)
(それでも、俺を激励し続け、今も気遣ってくれている)

そう理解をまとめた瞬間。

声を伴って大粒涙が流れ出た。
(男泣きってヤツだった)

先輩は、黙って俺の背中を揺らし、その場を立った。


たった一週間の合宿だったが、
最終日には、初日の自分とは全く異なる自分を感じた。

・走りたいだけ走れ、
・加速も、減速も思いのまま、
・練習グランドが狭くなった気さえする。

エイトマンか何かの超人の力でも手に入れた感覚だった。
自由に自分の体を操れるなんて、素晴らしい!


追伸
半強制的に連れられた合宿だったかも知れないが、
自分の足で歩き、参加して、自身の限界を知れた貴重な時間だった。
心身のバランスが上向けば、人は果てしない力を得ることができるのだと、刻まれた記憶を思い出しました。
先輩方々と仲間に改めて感謝の意を表します。
「ありがとうございました。」

そして、いつか将来に、私も感謝される人でありたいなと感じました。
そのための、鋳薔薇か、険しい峠は覚悟の上で。


* * * * *
※今日の悩みどころ(表現として判断に迷った事をメモし始めました)
・苦しかった場面、感動した場面をリアルに表現したかった。

・イメージ写真:makieniさん
 https://www.photo-ac.com


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