雲上を歩く銀のペン、水面をなぞる金のペン
ある日、この2本を日常使いにしようと決めました
このまましまいこんでいては、あまりにもったいないと思ったからです
いらい週2回のペースで持ち出しています
百年前の古い万年筆なので、普段使いはためらっていたのですが、つかえるつかえる!
不便な点はありますが、それにまさる快楽と多幸感をもたらします
1本目は
オノト・シルバー(1919)です
太めのセミフレックスで、雲の上をいく感じ

書きはじめの反発が弱めで、ふんわりと沈み込みます
みかけよりも軽く、人さし指の先端で書いているような感覚です

ときどきセーム革でかるく磨きます
放っておくと灰色に変わってしまうからです

キャップは篏合式
銀は柔らかいからねじ式を避けたのでしょうか

キャップをあけるときに力が入りすぎると、インクが飛びちります
先日も白Tシャツの右袖から左胸にかけて、青灰色の飛沫が飛びました
見とれること、しばし ”うつくしい”
そののち我に返り漂白作業
2本目はウォーターマン 0552(1926)

ペン先は太くみえますが、中字です

しずかな水面を、指先で素早くなでる感覚
紙面上をしゅるるるるーと線がのびていく

ニブは頑丈にできています
ちからを抜いて、寝かせて書くといいのだけど、
つい筆圧を強めて、ペン先の変化に溺れてしまいます

2本のペンが誕生したころは、タイプライターが普及し、オフィスでは手書きの筆記体が不要になりはじめていたそうです
柔らかく表現の豊かな軟ペンの需要が衰退していく時代でした
そんな黄金期がおわるころの体験を、メンテさえすれば、いまも愉しむことができるのです

丁寧につかってますが、自然と傷はついていきます
それはそれで、しかたない 気をつけましょう
次の世代につないでいかなくては
