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「視覚の質」が家を変える。私が積水ハウスで「塗り壁」を選んだ理由

家づくりにおいて、内装の満足度を左右する要素の1、2位を争うのは何だと思いますか?

私は「床」と「壁」だと思っています。 床は毎日の「足触り」を決め、壁は毎日の「視界」を支配するからです。家の中にいるとき、私たちの視線は常にどこかの壁に及んでいます。だからこそ、ここをどう設えるかは、住み心地に直結する死活問題なのです。

今回は、私が悩み抜いた末に辿り着いた「塗り壁のススメ」についてお話しします。



「祠(ほこら)」への執着と、プロの沈黙


当初、私はある素材に固執していました。それは「中霧島壁」です。 あの土っぽい、ザラついた質感。そこにあるだけで空間が静まり返るような「洞窟感」や、自分を律するための「祠」のような静謐さを求めていたのです。

しかし、私の担当である積水ハウスのチーフアーキテクトは、私の熱意をよそに、淡々と「珪藻土」を推薦してきました。

私が何度か中霧島壁の話を持ち出しても、彼は聞こえていないかのように(笑)、やんわりと珪藻土のプランで押し通そうとします。これまでの打ち合わせで、彼のフラットかつ的確な提案にことごとく魅了されてきた私は、「彼がここまで譲らないなら、今回もその審美眼を信じてみよう」と、最終的に提案を受け入れました。



理想は「趣」へと昇華された


結果は、言葉にできないほどの正解でした。 完成した壁は、当初求めていた「祠」のような閉鎖的な強さではなく、光を柔らかく受け止める洗練された和の表情を持っていました。

それを確信したのは、先日、妻が桜の枝を買ってきて飾った時です。 珪藻土の繊細なテクスチャが、桜の繊細なラインと見事に調和し、空間全体に深い「趣」が宿ったのです。自分のこだわりを押し通すことだけが正解ではない。プロの提案によって、私の理想は一段上のステージへ引き上げられたのだと実感しました。

ヘッダー用画像にも採用されていますが、下の一枚は玄関からみえる壁です。一部塗り壁を残し、さらに立体感を際立たせる演出がされています。

「選択と集中」の戦略:コストと強度の解決策

もちろん、家全体を塗り壁にするのはコスト面でも、メンテナンス面でも現実的ではありません。そこで私は「一点豪華主義」の戦略を取りました。

  • リビングの一面(テレビ背面): 視線が最も集まり、かつ人が通り抜ける際に体が触れるリスクが低いこの場所に、塗り壁を集中させました。

  • 廊下などの動線: 物理的な強度(擦れや汚れ)が求められる場所はあえて避け、機能性を優先しました。

  • その他の壁: オガファーザーなどの自然な風合いの壁紙や、和テイストに合う高品質な壁紙を使い分けることで、全体のトーンを統一しました。

下の画像はリビングの壁ですが、一面珪藻土塗り壁になります。ムラ感が自然の風合いを際立たせます。これは夏の撮影なので、日差しがあまり入ってこないので、やや暗めに見えるかもしれませんが、日が差し込む冬はだいぶ明るく映ります。

統一性を出すために実は天井も塗り壁で、なんとか洞窟感を演出しようとしました。。。

医師として、父として。数字に出ない恩恵


機能面では、よく言われる「調湿効果」を期待していましたが、正直に言えばリビングが広すぎるため、湿度計の数字が劇的に変わるほどではありません。

しかし、最大の収穫は「安心感」でした。 壁紙の接着剤等に含まれるホルムアルデヒドの心配がなく、自然素材に囲まれているという事実は、まだ体の小さな娘を持つ親として、また医師として、非常に満足度の高い選択となりました。幸い、今のところひび割れもなく、最初の乾燥時期も無事に乗り越えられそうです。

失敗しないための「面積効果」の罠


最後に、これから検討する方に一つだけ実務的なアドバイスを。 「面積効果」には細心の注意を払ってください。小さなサンプルで見ている色は、壁一面という大きな面積に塗られると、光を反射して驚くほど薄く、明るく見えます。

私はあえて、サンプル帳の中で「理想よりも少し濃い、渋すぎるかな?」と思う色を選びました。これがまた正解でした。仕上がった壁は、太陽光の下で思い描いていた通りの「ちょうどいい深み」になったのです。


塗り壁は、決して贅沢品ではありません。 それは、家の中に「静かな光と影」を呼び込み、住む人の心を整えるための実用品です。

もしあなたが壁紙のカタログを眺めながら、何か物足りなさを感じているなら。リビングの一面だけでも、職人の手が作る「塗り壁」を検討してみてはいかがでしょうか。そこには、既製品では決して出せない、豊かな時間が流れています。


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脳みそ医/現役脳外科医 この記事が「役に立った」「面白かった」と感じたら、コーヒーを一杯ごちそうする感覚で応援していただけると嬉しいです。あなたのそのお気持ちが、次の創作活動の大きな励みになります!