蓄電池がガス火力を下回った日 ― 電力チョークポイントの構造変化と、火力・SMR期待の再点検
はじめに
少し気になる記事が出ましたので、共有しながら考えてみたいと思います。
世界の電源別の建設コストにおいて、蓄電所(系統用蓄電池)が初めてガス火力発電を下回ったという内容です。中国での過剰生産とEV向け需要からの用途転換によって、2025年の電池価格は前年比で約4割下落しました。一方で、AI向けデータセンターの建設ラッシュを受けてガスタービンの需給が逼迫し、ガス火力の新設コストは上昇しています。
もちろんこれは発電単位あたりのコスト(LCOE)の話であって、出力の安定性や稼働の柔軟性まで含めて両者が完全に等価になったわけではありません。それでも、私はこのニュースを単なる「再エネ普及の追い風」という文脈だけで読むのは少しもったいないと考えています。
私がここで触れたいのは、再エネのクリーンさそのものではありません。対米投資の文脈で長期目線の物色対象となっている火力発電、そして技術革新の本命として期待されてきたSMR(小型モジュール炉)について、この電池の価格破壊がどのような意味を持つのか、という点です。
以下、記事のファクトを確認しながら、投資テーマとしての含意を整理していきます。なお本稿の後半は私自身の推測を多分に含みます。あらかじめご承知おきください。
ここから先は
4,147字
この記事が「役に立った」「面白かった」と感じたら、コーヒーを一杯ごちそうする感覚で応援していただけると嬉しいです。あなたのそのお気持ちが、次の創作活動の大きな励みになります!

