『マシュー、空気を読む。』⑧
第8章|「頑張って」と言われた朝
月曜の朝。
オフィスの前で、アキラが笑顔で言った。
「マシュー、今日も頑張って!」
マシューは一瞬、固まった。
“Wait… why do I have to work hard?
Did I look lazy or something?”
(え……なんで急に“もっと働け”って?僕、怠けてるように見えた?)
その日一日、マシューは少し不安な気持ちで過ごした。
翻訳できないエール
昼休み。
勇気を出してアキラに尋ねた。
「ねえ、“Ganbatte”ってさ……言われるとプレッシャーに聞こえるんだけど?」
アキラは笑いながら首を振った。
「違うんだ。“頑張って”は“Do your best”に近いけど、それより柔らかい。
勝ち負けとか成功失敗じゃなくて、“君を応援してるよ”っていう合図なんだ」
マシューは目を丸くした。
“So it’s not an order… it’s more like a wish?”
(つまり命令じゃなくて……願いに近いの?)
「Exactly.(その通り)」
駅のホームで
数日後、試験を受けに行く学生たちが駅で友達同士に声をかけ合っていた。
「頑張って!」
「うん、頑張る!」
マシューは立ち止まった。
“They are not demanding. They are just cheering.”
(彼らは要求してるんじゃない。ただ応援してるんだ。)
“頑張って”という言葉は、未来に小さな光を灯すみたいだった。
マシューの挑戦
週末、マシューは初めての日本語スピーチ大会に出場した。
緊張で手が震えていたとき、客席からアキラが声をかけてくれた。
「マシュー、頑張れ!」
その瞬間、胸に熱いものが走った。
“He doesn’t mean I must win.
He just means: I’m with you.”
(アキラは僕に勝てと言ってるんじゃない。
ただ、“僕は君の味方だよ”って言ってるんだ。)
マシューは深呼吸して、笑顔でマイクを握った。
帰り道
スピーチが終わったあと、結果は3位だった。
でもアキラが肩を叩いて言った。
「よく頑張ったな」
マシューは笑顔で答えた。
「……ありがとう。Ganbatta!」
二人の笑い声が、夜風に混じって広がっていった。
【第8章 完】
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