連載小説『創作大賞2026』⑤
第5章:沈黙から生まれた恋
連載恋愛小説『沈黙から生まれた恋』が、先日完結した。
創作大賞2026の応募候補のひとつとして、
この物語がどのように生まれ、何を描こうとしたのか、
少しだけ裏側を記しておきたいと思う。
沈黙には、言葉よりも確かな何かが潜んでいる。
音もなく、形もなく、
でも確かに“そこにあった”と感じる気配。
僕はその“気配”を小説にできないかと考えた。
きっかけは、量子物理学とスピリチュアルの境界に興味を持ったこと。
この二つを物語に落とし込めたら、
きっとまだ誰も描いていない何かが生まれると思った。
でもすぐに気づいた。
論理を積み上げていく物理学と、
感受性を頼りにするスピリチュアルの会話は、
紙面で交差させるにはあまりにも難解すぎる。
だから僕は、
ふたりの大学生に語らせることにした。
一人は、物理学専攻の青年。
もう一人は、哲学を学ぶ女性で、スピリチュアルにも心を寄せている。
場所は、かつて僕が過ごした大学のキャンパス。
会話の合間に、遠い記憶と沈黙の残像が、何度もよみがえってきた。
物語の中で、ふたりは“恋人”になるわけではない。
でも、互いと過ごした沈黙の深さを、
いつまでも“確かに在ったもの”として持ち帰っていく。
この小説は、量子物理学×哲学×恋愛という、
文芸としてはほとんど未踏のテーマにチャレンジした作品だ。
それを、
できるだけ軽やかに、静かに、
“読める沈黙”として描いてみたかった。
恋が終わっても、沈黙が残る。
言葉が尽きたあとも、
感情の余白が“観測されないまま残る”ことを、信じたかった。
この物語は、恋の物語ではなく、
“言葉にならなかった感情”が、静かに生き残る現象の記録です。
あなたの沈黙の中にも、
誰かの輪郭が、そっと眠っていますように。
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