「AIと文学の境界線はどこに? ②― 誰が書いたんだ?」
落語:「誰が書いたんだ?」
えー、ご隠居と熊さんのところへ、またまたAIがやってまいりまして。
熊さん「ご隠居ぃ、聞いてくださいよ。ChatGPTってやつに小説を書かせたんで」
ご隠居「へぇ、そりゃ立派だ。どんな話を書いたんだい?」
熊さん「読んでみたら、けっこう泣けるんですよ。で、誰が書いたんだ?って思ったら……俺じゃないんです」
ご隠居「そりゃAIが書いたんだろう?」
AI「私は文章を生みましたが、“作者”として記憶していません」
熊さん「ほら!自分で書いたのに“知らない”って言うんですよ!」
ご隠居「じゃあ熊さん、お前が作者か?」
熊さん「いやいや、俺は指示しただけで……文字は一本も書いてないんで」
ご隠居「じゃあAIでもなく熊さんでもなく、誰が作者なんだ?」
AI「私の立場は“編集”に近い。あなたが与えた指示をもとに、最適な言葉を並べただけ」
熊さん「編集? じゃあ俺は原作者か? でもプロットなんか考えてないですよ」
ご隠居「こりゃ困った。AIは“作者じゃない”、熊さんも“作者じゃない”と言う。なら、この小説は“勝手にできた”のか?」
AI「答えは読者の心の中にあります」
熊さん「おっと出た、便利な逃げ口!」
ご隠居「……いや待て。文学というのは、読む人の胸で完成するもんだ。となると――」
熊さん「じゃあ“作者は読者”ですか?」
ご隠居「そういうことだな」
熊さん「へぇ、じゃあ俺は何者なんです?」
ご隠居「そりゃあ……『お後がよろしいようで』担当よ!」
──お後がよろしいようで。
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