連載小説『創作大賞2026』⑧
第八章:「削って、足りなかった。」
2026年のお仕事小説は、
最初から「新聞配達」と決めていた。
銀行で潰れ、コンビニで砕け、
心がどこにも行けなくなった僕が、
「今を生きる」しかない仕事に拾われた日々。
それは、物語として描かずにいられない時間だった。
朝焼けの新聞のインクの匂い。
笑いながらバイクを洗う仲間たちの声。
そして、4年という日々がくれた再生の確信。
「生きるって、こんなに楽しいんだっけ?」
そう思えたのは、
夜の街で集金していたからじゃない。
営業成績がどうだったかでもない。
朝を、運ぶことができたからだ。
本当は、集金の話も書こうかと思った。
営業成績を貼って、自虐しようかと思った。
でも、それは全部削った。
蛇足になると思ったから。
新聞配達がくれた“核”だけを、まっすぐ届けたかった。
──そしたら、まさかの。
2万文字に、届かない。(笑)
文字数では測れない“再生”だったのかもしれない。
でも、ひとつ確かに言えるのは、
この物語をNOTEで公開できて、本当によかったということ。
あのときの自分に、やっと届けられた。
「お前、まだ大丈夫だよ」っていう、ひとつの手紙として。
そして──
せっかく4年かけて貯めた300万円を、
たった1年で、全部溶かす男の物語──
たぶん次回、お楽しみに。
いいなと思ったら応援しよう!
いつも読んでいただき、本当にありがとうございます。皆さまの応援が、静月の物語を生み出す力です。いただいたチップは、すべて次の作品作りに大切に使わせていただきます。
