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《エモナイツ:銀河感情戦記》④

🌌第4章「ルミナリアの記憶」

 

戦いの翌朝。
塔の瓦礫に光が差し込み、鳥のような光の粒子が舞っていた。

ユウたちは、瓦礫の片隅で目を覚ましたリリを囲む。

「……どうして、泣いてるの?」

ユウが問いかけると、リリは頬に触れて、小さく驚いた。

「涙……? わたし……泣いてる……?」

セナが静かに言った。

「感情が、戻ってきたんだよ」

 

リリは、少しずつ言葉を取り戻していく。
そして、記憶も――

 

「この星には、“感情の図書館”があったの」
「ルミナリア中の人たちが、自分の想いを“詩”として記録する場所だった」

 

しかし、ある日。
ゼログラムの幹部が降り立ち、“感情遮断ユニット”が設置された。

その幹部の名は――

コードネーム【ヴァニッシュ】
「哀しみ」を完全否定する者。冷徹な感情ハッカー。

 

「私の“詩”も、消されたの……」
「泣いてはいけない。悲しんではいけない。って、心の中で誰かが言ってた」

 

ナオがぽつりとつぶやく。

「僕……怖いよ……」
「もし、また感情が消されたら……また、誰も笑わなくなったら……」

ユウがそっと隣に座る。

「怖くていいんだよ。俺だって、今も怖いよ」
「でも、怖いままでも戦える。それが……“恐れ”って感情なんだろ?」

 

その言葉に、ナオの瞳が揺れる。

そして、彼のEMOコアが静かに発光する。

 

感情属性“恐れ”の共鳴強化。
ナオ:Lvアップ。

新技《幻影縛鎖(ファントム・バイン)》習得
→ 敵の“心の影”を捕縛し、動きを封じる恐怖系拘束技。

 

セナもまた、リリの話に心を重ねていた。

「わたしも……詩を書いてたの。悲しいときにだけ、言葉が出てきた」
「でも、この世界では、誰もそれを読もうとしなかった」

 

レンがにやりと笑って、ぽんと彼女の肩を叩く。

「なら俺たちで読み合おうぜ。詩でも、想いでも、涙でも――全部、武器になるんだろ?」

セナが笑った。

「……うん」

 

リリが立ち上がる。
「ううん……なんだか、“図書館”が呼んでる気がするの。いってみたいな」

 

そのとき、空が震えた。

 

《ゼログラム幹部:ヴァニッシュ降下》
《対象:ルミナリア中央》
《全感情波、即時遮断開始》

 

漆黒の飛行機械とともに、空間が凍りつく。

「来たか……!」
ユウが拳を握る。

だが――今回は、違った。

 

空間ごと“静寂”に包まれ、音が消える。

風も止まり、光も揺らがず、息すら聞こえない。

《ヴァニッシュの特殊能力:無音領域(サイレント・ドメイン)》
→ 範囲内の音・感情・共鳴を一時的に遮断。

「この空気……感情が、閉じ込められてる!?」
レンが叫ぶ――が、声が、出ない。

 

その瞬間、リリが前へ出る。

「お願い、もう一度……感情を、返して!」

彼女の胸から、古びた小冊子が落ちた。

《ルミナリア詩集・最終巻》

その1ページが、風もないはずの空間に舞う。

 

そこには、こんな詩が記されていた――

 

『泣けない子どもに、そっと手を』
『笑えぬ夜に、やさしい音を』
『そして願う。わたしのこの“想い”が、風となり――』

 

《共鳴波動、異常上昇》
《感情の復元、確認》
《“ルミナリアの記憶”が、感情として顕在化》

 

その瞬間、封じられていた“悲しみ”が星に広がり、
ヴァニッシュの静寂領域が音を立てて砕けた。

「っ……!? これは……」

 

リリの瞳が輝く。

「想いは、消えない。感情は、奪えない!」

 

ルミナリアが、再び“詩”で満たされるとき――
ヴァニッシュとの戦いが始まろうとしていた。

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