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『感情じてん』

📒まえがき

この『感情じてん』は、子どもたちが授業の中で、自分の感情と向き合い、言葉にする力を育てるために作られました。
「うれしい」「かなしい」「くやしい」「こわい」――
私たちは日々、たくさんの気持ちと出会っています。けれど、うまく言葉にできないこともあります。

この辞典には、身近な気持ちをテーマにした言葉や表現が、やさしい文章と絵で書かれています。
気持ちには正解も不正解もありません。でも、「この気持ち、なんて言えばいいのかな?」と考えることが、心の成長につながっていきます。

授業の時間だけでなく、困ったとき、うれしいとき、誰かに気持ちを伝えたいとき、いつでも開いてください。
『感情じてん』は、あなたの心の“ことば”を見つける手助けをしてくれるはずです。



🗂️ もくじ

  1. うれしい

  2. かなしい

  3. おこる

  4. こわい

  5. たのしい

  6. くやしい

  7. さびしい

  8. ほこらしい


うれしい

うれしい気もちになると、胸がふわっとして、顔がにこにこします。
ほめてもらったとき、がんばったことができたとき、大すきな人に会えたとき。
うれしさは、こころの中でポカポカとひかりをともします。

うれしいときは、「ありがとう」「たのしいね」「うれしいよ」って言葉が自然に出てくることがあります。
その気もちを、まわりの人と分け合うと、もっとあたたかい気持ちになります。

うれしいって、こころのなかに「おひさま」がのぼること。
そのひかりは、きっと、だれかのこころもてらしているよ。


かなしい

かなしい気もちになると、胸がぎゅっとして、目からなみだがこぼれることもあります。
たいせつな人とわかれたとき、うまくいかなかったとき、ひとりぼっちだと感じたとき。
こころのなかがしずかにくもって、声が出にくくなることもあります。

かなしいときは、「つらいな」「さみしいよ」「どうして?」って思うかもしれません。
でも、かなしい気もちをがまんしないで、言葉にすることはとても大切です。

かなしいって、こころの雨ふり。
でも、雨のあとは、あたたかい芽が出てくることもあるんだよ。


おこる

おこる気もちになると、体がカーッとして、ことばが強くなることがあります。
だれかにイヤなことをされたとき、思いが伝わらなかったとき、自分のことを大切にしてもらえなかったとき――
こころの中に「ちがう!」という声がわいてきます。

おこることは、わるいことではありません。
それは、自分の大切な気もちを守ろうとする、こころのしんごうです。

おこるって、「だいじなことを、ちゃんとつたえたい」って思うこと。
でも、ことばにして話せると、気もちが少しずつおだやかになります。


こわい

こわい気もちになると、体がぎゅっとちぢんで、動けなくなることがあります。
大きな音、くらい場所、知らないものや、何が起こるかわからないとき――
こころの中に「にげたい」「かくれたい」って気もちが広がります。

こわいのは、弱いからじゃありません。
こころが「じぶんをまもろう」としているサインです。

こわいって、心のなかの「けいほう」。
それをちゃんと感じて、大丈夫な場所や人をさがせることも、たいせつな力です。


たのしい

たのしい気もちになると、心がはずんで、笑い声があふれてきます。
あそんでいるとき、大好きな人とすごしているとき、新しいことを見つけたとき――
時間があっという間にすぎて、心の中がカラフルになります。

たのしいって、こころが「いまを生きてる」って感じること。
その気もちが広がると、まわりの人たちも自然と笑顔になります。

たのしいことは、自分で見つけることもできるよ。
目の前の「ちいさなきらきら」に気づけたら、それがもう、たのしさのはじまり!


くやしい

くやしい気もちになると、胸がつまって、目の奥がじんとしてきます。
がんばったのにできなかったとき、まけたとき、うまく伝えられなかったとき――
「なんでうまくいかなかったんだろう」って、自分を責めたくなることもあります。

でもね、くやしいって、ほんとは“あきらめたくない”って気持ちなんだ。
うまくいかなかったことより、「できるようになりたい」って思ってる証拠なんだよ。

くやしさは、こころの中のエンジン。
その気もちを大切にすると、つぎの一歩がうまれるよ。


さびしい

さびしい気もちになると、心がぽっかりあいてしまったような感じがします。
ひとりでいるとき、だれにも気づいてもらえなかったとき、たいせつな人に会えないとき――
こころのなかに「そばにいてほしい」という声がうまれます。

さびしいって、ほんとうは「つながりたい」って気持ち。
だれかといっしょに笑いたい、話したい、ただそこにいてほしい。そんな願いがかくれてるんだよ。

さびしい気もちを大事にすると、やさしさがふえていく。
同じようにさびしい人に、そっと手を差しのべられるから。


ほこらしい

それは、じぶんのことを「すごいな」って思えたときの きもち。

おともだちをたすけられたとき。
がんばってべんきょうしたとき。
さいごまで あきらめずに やりとげたとき。

こころのなかが あったかくて、
まるで おひさまみたいに ピカピカしてくる。
「よくやったね」って、だれかに言われなくても、
じぶんで じぶんに「えらい!」って言えるきもち。

それが、「ほこらしい」っていうことなんだ。

あとがき

「感情」は、見えないけれど、
たしかに“ここ”にある――。

うれしい、かなしい、おこる、くやしい、たのしい、こわい、さびしい、そして、ほこらしい。
この“じてん”は、そんな心の動きを、一つひとつ、ていねいに見つめて書きとめたものです。

今はまだ、「国語」や「算数」のように、「感情」という授業はありません。
けれど、私は信じています。
いつか未来の教室で、「感情」の授業が当たり前になりますように。
そのとき、この“感情じてん”が、子どもたちの手元にあって、
心の声を言葉にする助けになりますように。

この本を開いたあなたの心が、
少しでもあたたかくなっていたら――それが、いちばんの願いです。

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