『十戒は守れませんでした ― ゼウスとレオ10世の場合』第7話:恋か浮気か祝福か ― 姦淫の言い換え会議。
「第七戒――汝、姦淫するなかれ!」
モーセの声が裁判所に響いた瞬間、ゼウスがそっと席を立とうとした。
「ちょっと風通しのいい場所に……」
「逃がすか!」
モーセが雷のような声で止めると、ゼウスは仕方なく言い訳を始める。
「いや、全部“神聖な結びつき”だったんだ。
雷に導かれて、愛が芽生え、子が……まあ増えたけど、愛です、愛。」
ヘルメスが横から口笛を吹く。
「何人目の愛だっけ?」
アフロディーテが微笑みながら花びらを撒いて言う。
「それって全部、恋よね?恋は自由よ、モーセ様?」
モーセの石板がビリ……と音を立てる。
「姦淫は姦淫だ!言い換えても、浮気は浮気!」
そこへ、ローマ教皇レオ10世が優雅に登場。
「ご安心を。我が教皇庁においては、美と愛と芸術の追求は“祝福の形式”です。
絵画も彫刻も詩も、人間愛の結晶――つまり、**“精神的接触”です。」
「それ、何の免罪ワードですか?」
裁判所全体がざわつく中、ディオニュソスがぶどう酒を振りまいて叫んだ。
「浮気か恋かなんて、ぶどうで割ればみんな祝祭だー!」
モーセの石板がついに深く割れた。
「……この戒めだけ、みんな明るすぎる。」
次回予告
第八戒は――「汝、盗んではならぬ」。
だがギリシャにはヘルメス、教皇庁には“寄進”と“贈与”のグレーゾーン。
「持ち帰っただけ」「借りただけ」「預かっただけ」
裁判所に集う言い換え魔人たちが、盗みの定義を粉砕していく!
次回、『盗む?借りる?献上する? ― 所有の境界会議』
正義の石板が財布ごと持ち去られる――第8戒へ続く!
