狐か狸の騙る話
私のまつ毛は、くるんとしている。なんとかわいいまつ毛であるか。まぶたのなんかそうゆう関係でくるんとしているかもしれないし、たくさん寝ているからかもしれないし、太陽が東から登るからかもしれない。謎である。
まつ毛の文化的側面としては、古くから美の象徴とされているらしい。現代でもマスカラやつけまつ毛、まつ毛エクステなど、まつ毛を美しく見せるための様々な方法が人気である。
長くて濃いまつ毛は多くの文化で魅力的とされているようだ。長くて濃い眉毛はそんなに人気がないのに。同じ目の上の毛なのに不公平ではないか。眉毛はまつ毛に対して少なからず思うところがあるに違いない。
しかし、眉毛だって悪い毛ではない。まつ毛のことを嫌いなわけではないのだ。そろそろ「毛」という字がゲシュタルト崩壊してきた。なんなのだ悪い毛って。
毛のゲシュタルト崩壊。毛がその意味を失い、ただの線の集合となり、空は堕ち、大地は割れ、人類は絶望する。嘘である。海はどうしたのか。海は今日も静かなのだ。海はしずかちゃん。
これはまつ毛の話ではない。では何か。もっと大きな、あるいは小さな何かか。”なにか”ではあるのは確かだが、何の話でもないのも確かだ。”ある”のに”ない”。化かされている気分だ。きっと狐か狸の語る話である。
