【足もとの幸せを、一粒ずつ拾い集めて】第3回:役に立たないことに時間を忘れる、贅沢な午後
noteを愛する皆さん、こんにちは。
今日も「フォロワー数」や「売れる文章術」といった刺激的な言葉が、画面のあちこちで踊っていますね。
でも、今日だけはそんな数字の競争から一回降りて、私の「最高に無駄で贅沢な午後」のお話をさせてください。
■ 夫婦で挑む「10円玉ピラミッド」
それは、日曜日の昼下がりのことでした。
特に予定もなく、テレビをつけるのもなんだか気が乗らない。
そんな時、妻がふと「ねえ、貯金箱の小銭、全部積み上げてみない?」と言い出したのです。
「え、そんなことして何になるの?」
そう聞き返した私は、まだ「効率」という病に侵されていたのかもしれません。
でも、妻は楽しそうに「何にもならないのがいいんじゃない」と笑いました。
そこから、夫婦による、全力の「10円玉ピラミッド建設」が始まったのです。
■ 震える指先と、謎の団結力
フローリングの上に座り込み、ひたすら10円玉を積み上げていきます。
一円の利益も生まないどころか、ただ自分の貯金を床に並べているだけ。
それなのに、私たちは次第に無言になり、プロの職人のような目つきになっていきました。
「あ、ちょっと左に傾いてるよ」
「静かに! 今、一番神経使うところなんだから」
時折、遠くで救急車のサイレンが鳴り、その微かな振動に「うわああ!」と二人で身を寄せ合ってピラミッドを守る。
側から見れば、いい大人が床に這いつくばって何をやっているんだという光景ですが、その時の私たちは、エジプトのクフ王にも負けない情熱を抱いていました。
■ 崩壊の音は、笑いの合図
あと少しで完成というその時、私が鼻をムズムズさせてしまいました。
「……クシュン!」
盛大なくしゃみ一発。
次の瞬間、「チャリンチャリンチャリーン!」と、30分かけて築き上げた黄金の山が、ただの銅の塊に戻っていきました。
一瞬の静寂の後、私たちは顔を見合わせて爆笑しました。
「もう! あなたの鼻の風圧、強すぎでしょ!」と怒る妻。
「いや、これは不可抗力だって!」と言い訳する私。
崩れた10円玉を片付けながら気づいたのは、ピラミッドが完成したかどうかはどうでもよくて、ただ笑い転げたこの時間そのものが、何よりの収穫だったということです。
■ 効率を脱いで、余白を楽しむ
今の社会では、何をするにも「それは何のためになるの?」という目的を求められがちです。
noteを書くのだって、ついつい「誰かのため」や「評価のため」を優先してしまいます。
でも、たまには「ただ楽しいから」「面白いと思ったから」という理由だけで、時間を贅沢に溶かしてみる。
そんな「役に立たない時間」にこそ、私たちの本当の心が宿っているような気がします。
■ おわりに
皆さんも、もし「何か価値のあることを書かなきゃ」と行き詰まったら、一度スマホを置いて、全力で無駄なことをしてみてください。
トランプタワーを作るでも、雲の形をひたすら眺めるでも構いません。
その時間が生み出す心の余白が、また新しい言葉を運んできてくれるはずです。
さて、散らばった10円玉で妻にアイスを買ってきて、機嫌を直してもらおうかな。
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