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子どもが裸足で走り回れるぶどう園を目指して。私たちが農薬を減らす理由

はじめまして。山形で「TAKUMI ORCHARD 99%」という果樹園を営んでいる、佐藤匠です。

私たちは、ぶどう栽培における農薬使用量を、一般的な露地栽培の「10〜20%」にまで抑える努力を続けています。

「なぜそんな大変なことを?」

今日は、私たちがこの挑戦を続けることに決めることになった出来事について、お話しさせてください。



1.農薬まみれのぶどう園に、我が子がやってきた日

1年半前、私は農業の道に進みました。右も左もわからず、言われるがままに農薬を撒く日々。

分厚いマスクと合羽で身を固め、蒸し暑いハウスの中で農薬を撒くたびに、「これ、本当に体に良くないな…」と身をもって感じていました。

言われるがままに作業する一方で、心の中にはずっと違和感が残っていました。

そんなある日、長期休暇で、山形に私の子どもが遊びに来たのです。

ぶどう園に着くなり、子どもは広い園内を無邪気に走り回り、虫を追いかけ、土の上を泥だらけになって走り回りました。

その、あまりに無邪気な姿を見た時、私はハッとしました。

「この園は、農薬まみれだ」

純粋に楽しそうにしている我が子を見て、私の心は後ろめたい感情でいっぱいになりました。この子に、体に悪影響のあるかもしれない農薬が撒かれた土の上を歩かせてしまったと。その事実に気づいた瞬間、私は「やっぱり、園で農薬を使用してはいけない」と強く確信したのです。

食の安全は、果樹園の安全から。

子どもが無邪気に走り回る姿を見て、後ろ向きな感情を抱いてしまうこと自体が、お客様への裏切りだと気づきました。

効率を優先して見た目の良いぶどうを作るだけなら、たくさんの農薬を撒く方がはるかに簡単です。しかし、私たちは、「安心・安全」という食の大前提を守るため、あえて手間のかかる減農薬という道を選びました。

そして、子どもが安心して走り回れるぶどう園を目指し、農薬使用量を露地栽培比の10〜20%にまで抑えるという目標を掲げたのです。



2.減農薬は、農家にとって「リスク」である

農薬は、病害虫からぶどうを守り、安定した収穫を確保するために必要なものです。散布を怠れば、木が枯れてしまったり、ぶどうが虫に食べられたりして、農家にとって死活問題となります。

防除暦(農薬の使用基準やタイミングをまとめた資料)に従って農薬を撒くことは、品質を保つ上で非常に効率的です。

あえてその基準から農薬を減らすということは、裏を返せば、「収入が減ってしまうかもしれない」という大きなリスクを抱えることになります。

それでも私たちは、そのリスクを受け入れ、安心・安全を追求することに価値があると考えました。



3.農薬を減らすために。私たちの3つの挑戦

それでは、具体的にどのような工夫で農薬を減らしているのか、当園の3つの取り組みをご紹介します。

(1) 無加温ハウスの設置

雨が本格的に降り出す前に設置されたハウスにビニールをかけます。これにより、病害虫の原因となる雨からぶどうを守り、農薬散布の回数を大幅に減らすことができます。

(2) 木の状態を見極めた農薬散布

木も人間と同じ生き物。調子の良い木もあれば、そうでない木もあります。私たちは長年の経験で培った「木の知恵」を頼りに、一本一本の状態をじっくり見極め、本当に必要な時だけ、最低限の農薬を使用します。完全無農薬が理想ですが、人間が風邪を引いたときに薬を飲むように、木も病気になった時には少しの助けが必要なのです。

(3) 除草剤を使わない土づくり

土は、木の根を育む大切な場所です。そのため、当園では除草剤を極力使わず、乗用草刈り機を導入し、丁寧に雑草を管理しています。時間と手間はかかりますが、ぶどうの木が安心して根を張れる健康な土壌を育むために、この作業は欠かせません。



4.「安心・安全」を、もう一度当たり前に

減農薬への挑戦は、設備維持コストや、木が枯れてしまうかもしれないというリスクと常に隣り合わせです。しかし、私たちがこの挑戦を続けるのは、「食の安全」を何よりも大切にしたいから。

子どもが泥まみれになって安心して走り回れるぶどう園。そんな当たり前を守るために、私たちはこれからも努力を続けていきます。

この想いが、皆さんに伝われば幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


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