ぬりかべのナゾ造形【水木しげる・狩野由信・柳田國男】
●事件は2007年 アメリカで起こる。。。

ぬりかべというと「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくる四角い壁のデザインを思い浮かべる人が多いことでしょう。
私もそうです。
しかしある時期に、ネット上で↑の画像の様な三つ目の大きい動物の様なデザインの「ぬりかべ」が現れました。
「さすが水木しげる!この妖怪を極限にまでシンプルにするとは!」
「これがぬりかべっていうソースは?」
こんな声が上がっていたことを思い出しますが、今回は「ぬりかべの変容」を私なりに解説したいと思います。
●ブリガムヤング大学にて「ぬりかべ」発見
アメリカのブリガムヤング大学が所蔵する妖怪絵巻(化物之繪)
に三つ目の大きい動物の様なデザインの名前のフリガナに「ぬりかべ」と書かれていたことが2007年に発見された事に端を発します。
白い獣のような姿
象のようにも犬のようにも見える
三つ目

同時期に日本側にも同じ妖怪図が存在することが確認されました。
妖怪研究家 湯本豪一 が所蔵している
狩野派の狩野由信の絵巻
・狩野由信(1802年)『化物づくし絵巻』
にも、同じ姿の妖怪が描かれていたのです。
この妖怪ははたして「ぬりかべ」なのでしょうか??
●「ぬりかべ」は元々“姿がない怪異”として記録されている
九州(福岡・大分)の伝承では、ぬりかべは 見えない壁のように人の進路をふさぐ怪異として語られています。
夜道を歩いていると突然前に進めなくなる
目には見えないが壁のようなものに阻まれる
このような現象として伝承されています。
中には、タヌキやイタチが化けて道を塞ぐといった民話もあり、
通れるけど、通れないという山の怪異が元の「ぬりかべ」なのです。

●「ぬりかべの絵」は存在しないと考えられていた
1930年代に柳田國男が九州の「見えない壁の怪異」を記録。
この当時は明確なビジュアルは存在しませんでした。
その後、水木しげるが「ぬりかべ」を四角い壁として造形をデザインし、メインメンバーになったことで知名度が上がります。
水木しげるも明確なビジュアルがない妖怪を描いているので、漫画の初期は一つ目であったり、妖怪図鑑では顔の造形が幾何学的だったりと細かい違いが多々あります。
ブリガムヤング大学が所蔵する妖怪絵巻は2007年の発見ですので、
この当時、水木しげる氏は独自の創造力で「ぬりかべ」を描いていたのだと思います。

●研究者は「伝承のぬりかべとは別物の可能性」を指摘している
2007年の「絵巻のぬりかべ」の発見の後、妖怪研究者の間で議論が起きました。
京極夏彦・多田克己・村上健司らは
「絵巻のぬりかべ」と「九州伝承のぬりかべ」が
同じ妖怪かどうかは不明と述べています。
・九州伝承の地味な妖怪が、江戸まで伝わるのか
・他にも同音で別の妖怪がいる
等いろいろな議論の末、同一視できる証拠がない
という立場が現状です。
現象系の妖怪は姿かたちは当時の絵師の想像
ぬりかべ然り、現象系の妖怪(ラップ音やポルターガイスト等)は妖怪の形は無いので、図で説明する事の難しさがあります。
見えない妖怪を独自に形にする業は、賛否が分かれるかと思いますが
相当な苦労があるのだと思います。
そして、現在「ぬりかべ」というと水木しげるの壁の、あのデザインを多くの人が思い出すというのは、一つの功績なのでしょう。

基本、わからないままが好きな私ですが
「ぬりかべ」のデザインは
どの造形も
すきです
という
個人的感想で
おわります。
ではでは、、、
