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心理士の「物差し」と、お節介な私―今、少しだけ手放したいもの―|ハッピーライティングマラソン #40

心理士は、人のこころを理解しようとしながら、
自分のこころにも揺さぶられているのだと思います。

そして、その揺さぶられたこころさえも、
そっと観察しながら、
ひとつの物差しとして使っているのかもしれません。


心理臨床の世界では、
自分のこころの反応を手がかりの一つとして、相手を理解しようとする姿勢が大切にされています。

専門家として「私情」を挟む、という意味ではありません。

自分のこころにふっと浮かぶ違和感や、
胸の奥に残るざらつき。

ときには理由のわからない緊張さえも、
それをそっと観察しながら、
「今、この人との間に何が起きているのか」を理解していく。

心理士という仕事は、
ある意味で自分のこころを測定器として使う仕事なのだと思います。


相談室で私は、ただ話を聞いているわけではありません。

小さな違和感。
言葉の裏にある沈黙。
胸の奥に残る微かなざわめき。

そうしたものを、
「今、この人との関係の中で何が起きているのか」を測る
ひとつの物差しとして使っています。


けれど、ふと思うのです。

仕事が終わっても、
この物差しを私は片付けられているのだろうか、と。


noteという場所では、
私は一人の書き手でいたい。

専門家という重たい着ぐるみを脱いで、
もっと自由に言葉を書いてみたい。

そう思っているのに、
気づけば私は、読み手のこころの温度を測っています。

この言葉は、安心を届けられるだろうか。
この表現は、誰かを傷つけないだろうか。

心理士としての「物差し」が、
いつの間にか自分自身を縛る重荷のように感じることがあります。


本当は。

その物差しを、
少し横に置いてみたいときがあります。

私の中には、ときどき
「お節介な私」が顔を出すからです。

画面越しに届く言葉の端々に、
人が自分の辛さを隠しながら生きているのが見えてしまうから。


そんなとき、私は
喉元まで出かかった言葉を、そっと飲み込みます。

「そんなに一人で抱えんといて」

「辛いときは辛いって言ってええやん」


けれど、その瞬間。

心理士としての「物差し」が、
私の肩にそっと手を置きます。

それは相手の自律性を奪うかもしれない。
依存させてしまうかもしれない。

相手を尊重するための、正確な物差し。
それはプロとしての誠実さです。

けれど時々、
私が一番届けたい体温をせき止める
ダムのようにも感じるのです。


この「みぞ」の中で、
私はいつも揺れています。

正しい距離でいたい。
でも、あなたの孤独を放っておけない。


先日、私のnoteに届いた「スキ」が、
通算で15,000回を超えたというお知らせをいただきました。

その数字を眺めながら、
私はふっと思うのです。

この一つひとつの「スキ」の奥に、
言葉にされなかった痛みがあるのかもしれない、と。


そう思うと、
私の物差しがどれだけ「ほどほどに」と囁いても、

私はやっぱり、
あなたのその痛みに手を伸ばしたくなるのです。


もし、あなたが今、
一人で歯を食いしばっているのなら。

今日だけは、
心理士の物差しを横に置かせてください。

専門家としての正解ではなく、
お節介な私として言わせてください。

「もっと、誰かに頼ってもいいよ」

もしよかったら。
心理士としてじゃなくて、
ただの一人の人として、話を聞かせてくれてもいいよって。


これからも私は、

この「物差し」と「お節介」のあいだで揺れながら、
ゆっくりと、でも真っ直ぐに、
言葉を紡いでいくのだと思います。


さて。

今日はもう、
この物差しをそっと仕舞って。

お気に入りの茶葉で、
ゆっくりお茶を淹れることにします。

私自身もまた、
ただの一人の人に戻るために。


もしこの記事が心に残ったら、
こちらの記事もそっと置いておきます。

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