母を救ったはずの鶏そぼろ⑤
坐骨神経痛のため、
神経を和らげる薬を飲んでいるが、
痛みは100が0になるわけではなく、70くらいまで下がる程度だ。
前屈みがNGなので、日常生活のほとんどに支障が出る。
座って炒め物はできるが、
シンクで野菜を洗う、あの姿勢ができない。
そんな中、こどもが言った。
「鶏そぼろ、作ろうか」
……救世主、現る。
火加減はどうするの?
何でぐるぐるすればいいの?
質問が飛び交い、すったもんだしながらも、
鶏そぼろは無事完成した。
「美味しそう!すごいね!」
私は全力で、ベタ褒めした。
すると次の瞬間。
「あーお腹すいたあ」
という声とともに、
ものすごいスピードで自分の丼に盛りつけ、席につく。
母を労っていたのか、
生命の危機を感じて作っていたのか。
理由はなんであれ、
それだけで、今日はもう十分。
作ってくれたことに、最大限のリスペクトを送りたい。
なお、鶏そぼろはとても美味しかった。
母の分がちゃんと残っていた、という奇跡込みで。
ご覧くださりありがとうございました。
