ニュージーランドの会社が社員に求めるもの〜大学に行かない人が60%超え!?学歴より大切にされるもの〜
ニュージーランドの会社が求めるものは? ― 学歴社会との違いから見えたこと
日本にいた頃、私は「学歴が大事」という価値観をずっと信じていました。いい大学に入ることがいい会社に入る近道で、そこから先の人生も大きく変わる。だから受験勉強に全力を注ぐのは当然で、その先に「自分の将来」がつながっているんだと。
でもニュージーランドに来て半年以上が経ち、ホストファザーとよく話すようになってから、その考え方は大きく揺さぶられました。
「ニュージーランドの会社は、学歴なんてほとんど見ないよ」
そうホストファザーが紅茶を飲みながら、そう言って笑ったとき、私は耳を疑いました。
ホストファザーが教えてくれた採用基準
私が驚いて「え、本当に?」と聞き返すと、ホストファザーは紅茶を飲みながらこう続けました。
「もちろん、医者や弁護士みたいに専門資格が必要な仕事は別だよ。でも、ほとんどの会社は大学名なんて気にしない。見るのは“どんな経験をしてきたか”“どういう人間か”なんだ」
つまりニュージーランドでは、履歴書に“University of ○○”と書いてあっても、それ自体が大きな武器になるわけじゃない。むしろ、アルバイトやボランティア、インターンでどんなことを学んできたか、チームでどう動けるか、そういう具体的な経験が評価されるのだそうです。
「日本は学歴社会でしょ?アジアはどこもそういう傾向がある。でも、ニュージーランドじゃ学歴にこだわるのは少し古い考え方なんだ」
ホストファザーの言葉に、私は「世界はこんなにも違うのか」と改めて感じました。
大学入試のシステムも全然違う
会社が学歴を重視しない背景には、大学入試の仕組みの違いもあります。
日本では「共通テスト+二次試験」という大きな壁を突破しなければなりません。一発勝負で結果が決まってしまう世界。一点を競い合います。だからこそ、受験に失敗すると「その先の未来」まで閉ざされたような気持ちになる。
一方で、ニュージーランドはとてもシンプルです。
高校で学ぶ NCEA(National Certificate of Educational Achievement) という資格をベースに、大学入学資格が決まります。
NCEAの評価は点数ではなく、4段階。
Not achieved(不合格)
Achieved(合格)
Merit(良い)
Excellence(優秀)
テストや課題ごとにこれらの評価がつき(4種類しかないってこと!だから、点数とかでない!)、一定数の「単位」を積み上げれば大学入学に必要な条件を満たせる仕組みです。
だから、日本のように「偏差値○○以上の大学」みたいな競争はほとんど存在しません。必要な科目を所定レベルでパスすれば、希望する大学に入ることができます。
“誰が上か”がわからないシステム
このシステムの面白いところは、数字が出ないことです。
日本なら「90点と80点なら、90点の人が上」と一目でわかりますよね。でもNCEAでは「Excellenceを取った人が2人いても、どちらのほうが上かはわからない」。
つまり、「相対的に誰が優秀か」ではなく、「その人が基準を満たしたかどうか」に焦点がある。
ホストファザーはこう言いました。
「ニュージーランドでは“競争”よりも、“到達度”を大事にするんだ。だから、会社も学歴で人を比べたりしない」
私はその考え方に衝撃を受けました。日本では常に「誰が上か下か」が数字で示されてきたからです。順位や偏差値に慣れきった私には、“比べられない評価”が不思議で仕方ありませんでした。
ニュージーランドの会社が求めるもの
じゃあ、学歴を見ないニュージーランドの会社は、何を求めているのでしょうか。
ホストファザーによれば、大きく3つあるそうです。
実際の経験
アルバイトでの接客、プロジェクトのリーダー経験、ボランティア活動など。机上の知識より「やってきたこと」が大事。
人柄とコミュニケーション
面接では「どんな人か」をじっくり見る。協調性があるか、素直に学べるか、相手の話を聞けるか。
行動力・主体性
「指示待ち」ではなく、自分から動けるかどうか。ニュージーランドの職場文化はフラットだから、上下関係よりも「どうチームに貢献できるか」が評価される。
学歴はほとんど触れられない。逆に「大学は出てないけど、こんな経験を積んできた」という人が採用されることも珍しくないのだとか。
ニュージーランドの進学・就職のリアル
ニュージーランドは「大学に行く=当たり前」という国ではありません。
ニュージーランド統計局(Stats NZ)や教育省(Education Counts)のデータを見ると、
高校卒業後すぐに大学へ進学するのは 約40%前後
残りの人は専門学校(Polytechnic, Institute of Technology)や職業訓練(apprenticeship)へ進む、あるいはすぐ就職するという流れが一般的です。
つまり、半分以上の高校生は「大学に行かない」進路を選んでいるんです。
💡 これが日本と大きな違い。
日本だと「大学進学率は60%超え」だし、親も「とりあえず大学へ」と考えることが多いけど、NZでは「大学に行くのは一部の選択肢」という感覚。
日本と比べて感じたこと
私はこの話を聞いて、「日本とニュージーランド、どちらが良い悪い」ということではないと思いました。
日本の学歴主義は確かに息苦しい面もあるけれど、努力を数値で証明できる仕組みでもあります。一方ニュージーランドは、数字で測れない部分を大事にしてくれる。その分「自分をどう表現するか」が問われるように感じました。
正直、日本の受験勉強に慣れてきた私にとっては、ニュージーランド式は“自由すぎて不安”にも思えます。でも、自由だからこそ「自分の強みや経験を語れる人」が強いのだろうな、とも思います。
留学を通しての気づき
留学前の私は、「いい大学に行けなかったら人生終わり」くらいに思っていました。けれどニュージーランドで学んだのは、学歴がすべてではないということ。
「あなたが何を学んできたか」「どう行動してきたか」
それを語れる人こそが、社会で求められる。
ホストファザーが最後に言った言葉が、心に残っています。
「会社が欲しいのは、頭の良い人じゃない。一緒に働いてて楽しくて、問題を一緒に解決できる人なんだよ」
まとめ
ニュージーランドの会社が社員を採用するとき、学歴はほとんど見られません。代わりに見られるのは、その人が積んできた経験や人柄、そして行動力。
大学受験の仕組みも、日本のような一発勝負ではなく、NCEAの到達度評価で進路が決まります。数字や偏差値で比べられないからこそ、学歴に対する社会の見方も根本から違うのです。
日本で「点数や学歴がすべて」と思っていた私にとって、この価値観の違いは大きな衝撃でした。でも同時に、「自分をどう表現するか」にもっと挑戦していきたいと強く思えるようになりました。
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