見出し画像

話すことで、心の渦から抜け出せた日

── 息子の不登校と、わたしの向き合い方

息子の不登校という経験を通して、わたしは自分の心の揺れや不安と向き合うことになりました。
「どうにかしなきゃ」と思い詰めていたわたしが、誰かに話すことで少しずつ心を整えていった過程を綴ります。
この記事を読んで、自分の感情に寄り添い、弱さを受け入れることの大切さに気づいてもらえたらうれしいです。



感情があふれて、何をしても落ち着かなくて──
そんなふうに、自分が自分じゃないみたいに感じたこと、ありませんか?

わたしはあのとき、ただ優しい言葉がほしくて、
誰かに「だいじょうぶだよ」と言ってもらいたくて、
電話をかけました。

恥ずかしさも、ためらいも超えて、
とにかく話したかった。
そんなわたしが、どうやって少しずつ自分を取り戻していったのか──
今日は、そのことを綴ってみようと思います。



息子が学校へ行けなくなったとき、
「母親としてこうあるべき」という像が、音を立てて崩れていきました。

「どうにかして行かせないと」
「私がしっかりしなくちゃ」
そんな思いばかりが先立って、
息子の気持ちに目を向ける余裕なんて、どこにもなかった。



朝がくるのが、こわかった。

「また今日も行けないのかな」
そんな不安がよぎるたびに、心は張りつめていく。
夜になると、スマホを握ったまま、眠れない。
息子の寝顔を見ながら、
「どこで間違えたの?」「どうしたらいいの?」と問い続ける日々。



ある日、胸の中が不安でいっぱいになって、
もう、どうにもならなくなったわたしは──

市役所のホームページを開いて、
目に留まった「さわやかライン」に電話をかけました。

「○○の相談なんですが、聞いてもらえますか?」

そのときのわたしには、ためらいも、恥ずかしさもなかった。
どうにかしたくて、手当たり次第に番号を探していた。
その思いで、すがるようにかけた一本の電話。



先生はしばらく黙って、わたしの話を聞いていました。
その沈黙が、責めるでも慰めるでもなく、
ただ「受け止める」という姿勢に感じられて、
少しだけ肩の力が抜けた気がしました。

そして、静かにこう問いかけてくれたのです。

「お子さんは今、どんな気持ちでいると思いますか?」

その一言に、言葉を失いました。

わたしはずっと、「どうにかしなくちゃ」と思い詰めていました。
なんとか登校させなきゃ、普通に戻さなきゃ、母親としてきちんとしなきゃ──
そんな“ねばならない”にとらわれて、自分のことでいっぱいいっぱいだった。

息子のことを心配しているつもりで、
本当は、わたし自身の不安ばかりを見ていたのだと、そのとき気づかされたのです。

その瞬間、胸の奥で何かが崩れて、ほどけていくような気がしました。



そのあとに、夫と話し合いを重ねて、
家で見守るという選択をし、息子の心の休養を第一に関わっていくことにしました。

けれどやはり不安は消えません。
日々本当に気持ちが重かったのは今でも確かに覚えています。



それでも、支えてくれる人がいるというだけで、少し救われるような思いがありました。

その後も、何度か先生とやりとりをさせていただきました。
通信制高校への進学が決まったとき、
「そろそろ関わりは一区切りかもしれませんね」と、
今後の相談先の連絡先も教えてくださいました。

支えはここだけじゃないよと、
やわらかくバトンを渡すように、そっと背中を押してくれた。



そして高校卒業後、息子が専門学校への進学を決めたとき、
もう一度、わたしはその先生に電話をかけました。

「覚えておられないかもしれませんが……」と話し始めると、
先生はメモを見ながら、すぐに思い出してくださいました。

「それは本当によかったですね」と、
まるで一緒に歩いてきてくれたかのように喜んでくれて、
わたしは胸がいっぱいになりました。



電話を通して、何かが劇的に解決したわけではありません。
感情はすぐに戻ってきて、不安もまた渦を巻いた。

だけど、“誰かに話す”ことで、
心の奥でくすぶっていた感情を、少しだけ外に出すことができた。
それは、自分に呑み込まれないための、大切な小さな一歩でした。


話すことで気持ちが少しほぐれたわたしは、その後、“書く”という方法でも感情を整えていくようになりました。

感情や思考がぐるぐるしてきたら、スマホやノートにそのまま殴り書き。

「今どんな気持ち?」「それは事実?想像?」と問いかけながら、
感情に巻き込まれていた言葉を、少しずつ分けていくように。



話すことも、書くことも、
自分に戻ってくるための、手段だった。

繰り返すうちに、
「わたしはいま、怖かったんだね」
「よくここまで頑張ってきたね」と、
自分にかける言葉が少しずつ変わっていった。



支えを求めることは、弱さではない。
声を出すこと、感情を差し出すこと、
それは、自分との関係を結び直す強さの始まりなんだと、今は思えます。



もし今、あなたの心にも渦のような感情があるなら──
その声を、誰よりもまず、あなた自身が聞いてあげられますように🕊️



🌿あわせて読みたい記事
「それは事実?それとも想像?」
自分に問いかけながら、少しずつ心を整えていく方法について書きました。




#話すことで整える  
#感情のセルフケア  
#不登校の親として  
#助けを求めるという強さ  
#心の声に耳を澄ませる  
#自己肯定感を育てる
#エッセイ
#実体験エッセイ

いいなと思ったら応援しよう!