野球哲学論⑦ 〜リスクとリターンとトレード・オフ〜
こんにちは!シュウです!
今日はリスクとリターン、トレード・オフの考え方についてお話します!
野球指導の全てに通じる大事なお話です!
是非ご覧ください!
テーマ トレード・オフ
高校野球には、プレー、練習、指導、育成、戦術選択など、あらゆる場面でリスクとリターンのバランスを考えることが求められます。
※人生においても同じかもしれません。
これらはトレード・オフの関係であると言い換えることもでき、どちらかを追うことでどちらかを失う関係になっています。
そこで今回は、野球におけるリスクとリターンを比較し、
リターンを得るために負うべきリスク
と、
得られるリターンよりも伴うリスクが大きいと感じるもの
を私見で語りたいと思います。
①試合での采配
まずは、試合での采配におけるリスクとリターンを、例を挙げて考えます。
例:ノーアウト1塁
送りバント リスク小 リターン小
盗塁 リスク中 リターン大
ヒッティング リスク中 リターン大
エンドラン リスク中 リターン大
この場面でのリスクとリターンは、
最高 ホームラン
優 走者の力でノーアウト2塁にする
良 打者走者も塁上走者も残る
可 アウト1つと引き換えに進塁する
悪 ランナーを進められず
最悪 併殺又は走塁死でランナーがいなくなる
だと思います。
送りバントを選択した時点で、得られるリターンは可(小)であることが相手のミスがなければ確定します。
だからリターンは小で間違いないと思います。
それに対して、当然バントには失敗のリスクもあるわけで、リスクの全くない作戦では決してありません。(小)
エンドラン系であれば、ヒットで繋がる良(中)
はもちろんのこと、ライナーゲッツーやフライでなければ最低限ランナーを進めるという可(小)も見込めます。
盗塁系であれば、アウトを相手に与えずに進塁出来る優(大)が得られる一方、アウトとなればランナーがいなくなる最悪の状況になる可能性も孕みます。(大)
これらを総合的に鑑みて、打者や相手のバッテリー、守備力などを鑑みて
得られるリターンがリスクを上回ったと判断した時に作戦実行に出ます。
リスクとリターンが同じくらいなら、
相手が格上なら仕掛ける
相手が同等、格下なら待つ
のがいいと思います。
何故なら、
格上にはリスクを負わないと普通にやれば負けるだけ
であり、
同等や格下相手にはリスクを負わずとも他でリスクの少ないシーンが訪れる
ことが想像出来るからです。
ノーアウト1塁だけでなく、あらゆる采配でリスクとリターンを天秤にかけることが求められます。
試合の中で瞬時に判断するためには、試合前から予めある程度選手の能力を見て「こいつなら相手次第ではこれが狙えるな」とイメージしておくことが大事です。
自分の中でこうなったら仕掛けるという基準を作れたら采配が楽になりますね。
②練習メニューの作成
練習メニューの作成においてもリスクとリターンは存在します。
ここではトレード・オフと言い換えた方がイメージしやすいと思うので、トレード・オフと表記します。
限られた時間の中で、どの練習に重きを置いて取り組むかはチームの方針によって分かれる所です。
毎日3時間の練習の中で、2時間を守備練習に回せば、守備に多くの時間を割ける反面、攻撃と走塁に時間を割けず、能力が伸びづらいかもしれません。
一方、時間を無限に使える学校も存在します。
そうした学校はじゃあ気の済むまで毎日どちらも徹底的に長時間やり続ければいいかというと、選手の肉体的、精神的な疲労から練習効率そのものを著しく下げる恐れがあります。
オーバーワークとなり、故障するリスクも当然高まります。
要するに、
練習メニューの選択はトレード・オフの関係
にあるわけです。
この関係を理解した上で、チームにとってその時優先すべき練習はなんなのかを選択してメニューを作らなければいけないのです。
③戦術選択のリスクとリターン
戦術選択においても、トレード・オフの関係は成立します。
例えば、
100回に一度あるかないかのプレーに備えてありとあらゆるプレーを想定した練習をすると、その分練習時間を多く取られるため、他の練習に時間を割くことが出来なくなります。
であるならば、100回に1度のための戦術に時間を割くのではなく、少なくとも10回に1度(一大会に一度程度)は使用することが想定できるものを選択して練習することで、チームの隙をなくしていく戦略的な技術を装備しながら、チームの根本的な野球スキルを伸ばしていく時間を確保するという考え方もあります。
これについてはまた別記事で詳しく書きますが、戦術の取捨選択をせずにSNSで聞いたような戦術や練習試合の中で一年に一回起こるような特殊な状況の全てを追っていては、練習効率を下げるばかりか、使用頻度が低すぎるがために選手がその戦術を使いこなせない可能性も高まります。
それでも、準備していなくてやられた時に後悔するから100回に1度だとしてもちゃんと準備させたい!
というのであれば、それは指導者の方針なので止めることはしません。
ただ、私は時間がもったいない、と個人的に考えているのに過ぎないので。
いずれにしても、自分の頭のストックとして知っておくのはいいと思いますが、そのまま聞いたものや思いついたものを選手に垂れ流しているようではいけません。
私なら、新しいアイデアが浮かんだら少なくとも2ヶ月は寝かせます。
本当に実践的かつ効果的で、時間をかける価値があるのかを熟考
し、それでも必要と判断してから導入します。
選手たちは自分の思いつきの実験台ではありません。
今いる選手たちを大事にするためには、見切り発車の戦術選択ではいけません。
よく注意してください。
④選手の育成
育成においても、トレード・オフの関係は成立します。
例えば、練習試合の中で1人の選手にバントを指示したら、バッティング能力の向上はその打席では望めなくなります。
逆に打たせれば、バント能力の向上は望めません。
他にも、低い打球を打つ指示を出せば、ホームランを打つスイングの練習にはなりません。
一方でホームランを打つスイングだけをやらせていては、ハマりやすいチームになり、試合の勝利には繋がりません。
このように、何かをやらせようとすると、他の練習機会を奪ったり、もっと言えば弊害が発生する可能性もあります。
※低い打球のスイングばかり練習して、長打を狙うスイングができなくなった など
だから指導者は、
目先の利益に捉われずに大局的な視点で選手の育成を考えなければいけません。
今はまだ打てないからバントをやらせる、というような短絡的な采配や育成をしていると、いつまで経っても打てるようにはなりません。
今出来ないは、1年後も出来ないではありません。
1年後、2年後を見据えて指導者は選手を育成する必要があります。
バントや盗塁、ヒッティングなど、どれも勝つために必要なスキルですが、攻撃ではバッティングが一番育成に時間がかかるし、相手がいないと成長出来ない分野だと思います。
だから、バントの練習ももちろん大事ですが、打つための練習は年間を通して行い、練習試合などで相手投手を打つ機会を極端に潰すようなことはしてほしくないです。
特別なテーマで今週はバントをやるぞ!と決まっていればいいのですが、そうでなければ練習試合では1試合に3度以上のバントのサインを1人の選手に出して欲しくないです。
それだけサインが出る選手であれば、多分バントが上手なんだと思います。
既にバントが出来るのであれば、
出来ないこと(打撃)を出来るように練習させた方がよいとは思いませんか?
出来ることをただやらせているだけでは、選手の成長は望めません。
バントのサインを出すつもりがない選手をバント練習に混ぜるのももったいないと私は思いますね。
常にトレード・オフの関係を意識して、極端な振れ幅にならないように意識してみてください。
本日は以上になります!
この他にもまだまだリスクとリターン、トレード・オフの関係は沢山あります!
今日書いたのはあくまで一例です!
指導の際に是非注意してみてください!
今日もご覧頂きありがとうございました!
