CPAが分かっても、まだ危ない LTVを知らない経営は「出口のないギャンブル」だ
※本記事は、個人事業・小規模事業を始めたばかりの方に向けて、「経営で最初に見るべき数字」を実体験ベースで解説する連載の第2回です。
前回の記事では、売上よりも先に見るべき「CPA(顧客獲得単価)」の重要性について書きました。まだ読まれていない方は、まずこちらからチェックしてみてください。
▼第1回: [個人事業で一番最初に見るべき数字は「売上」じゃない|ジュン]
今回は、そのCPAが分かってもなお、僕が「赤字の恐怖」から抜け出せなかった理由――「LTV」という数字の罠についてお話しします。
1. CPAが分かって「一度は安心した」過去の自分
前回の記事で、
「売上より先に見るべき数字はCPA(顧客獲得単価)だ」
という話を書きました。
1人のお客さんを獲得するのに、いくらかかっているのか。
この数字が見えるようになると、経営は一気に“整理された感覚”になります。
実際、僕もそうでした。
広告を回してもいいのか。
今の集客方法は続けていいのか。
感覚ではなく、数字で判断できるようになった。
正直、そのときはこう思っていました。
「これで、ようやく経営が分かってきたな」と。
でも――
CPAを把握しても、事業はまだ楽になりませんでした。
売上は伸びている。
集客もできている。
CPAも把握している。
それなのに、なぜか苦しい。
この違和感こそが、次の落とし穴でした。
2. 「獲得コストが安い=正解」という危険な思い込み
CPAを意識し始めると、次に出てくる発想があります。
「うちは比較的、安くお客さんを獲得できている。
だったら、このまま進めばいいはずだ」
一見、正しそうですよね。
でも、ここには恐ろしい罠があります。
「安く獲得できている = 儲かる」ではない
という事実です。
たとえば、ジム業界でよくある
「入会金無料・初月0円」といった強烈なキャンペーン。
CPAは一気に下がります。
人は増え、現場は活気づき、
数字だけ見ると成功しているように見えます。
しかし――
もし、そのお客さんたちが
無料期間が終わった瞬間に辞めてしまう人たちだったら?
・入会手続きに時間をかけ
・マシンの使い方を説明し
・清掃や対応の手間は増える
現場(あるいはワンオペの自分)は消耗しているのに、
通帳にはお金がほとんど残らない。
CPAという「入り口」だけを見ていると、
この「出口」で起きている悲劇に気づけません。
3. LTVとは何か(難しく考えなくていい)
※ここまでの話は、僕が運営しているフィットネスジムを例に書いていますが、これは決してジム業界だけの話ではありません。
飲食店でも、整体院でも、士業でも、サブスク型のサービスでも、
「お客さんを獲得する → 継続してもらう → 利益が残る」
という構造はすべて同じです。
業種が違っても、
CPA(入り口のコスト)とLTV(出口までの売上)を見なければ、
経営判断を誤るという点は変わりません。
フィットネスジムは分かりやすい例なだけで、
これは小規模事業全般に共通する話だと思って読んでもらえたら嬉しいです。
ここで登場するのが、
LTV(顧客生涯価値)という考え方です。
難しそうな言葉ですが、意味はとてもシンプル。
「1人のお客さんが、辞めるまでに合計いくら払ってくれたか」
これだけです。
計算式も単純。
月単価(月会費) × 継続期間(月数) = LTV
たとえば、
月会費:8,000円
平均継続:10ヶ月
この場合、LTVは 80,000円 です。
この数字が出て、初めて
CPA(獲得コスト)が
「高いのか」「安いのか」を判断できるようになります。
4. CPA × LTVのセットでしか、正しい判断はできない
もしCPAが10,000円でも、
LTVが80,000円あるなら、その集客は大成功です。
1万円を投資して、
8万円の売上が返ってくる投資と同じだからです。
逆に、
CPAは低い
でもLTVが12,000円しかない
この状態だと、
どれだけ効率よく集客しても、
人件費
家賃
光熱費
を払った瞬間に、利益は消えます。
僕が感じていた
「人は増えているのに、なぜか苦しい」
という違和感の正体は、まさにこれでした。
安く集客できているのに、苦しい。
売上はあるのに、未来が見えない。
それは、
LTVを見ずに「入り口」だけを追いかけていたからです。
値下げをするべきか。
広告を増やすべきか。
人を雇うべきか。
これらの経営判断はすべて、
CPAとLTVをセットで見なければ、絶対に判断してはいけません。
5. まとめ:数字は「単体」で見ると狂い始める
売上だけを見るのは、盲目です。
CPAだけを見るのは、片目しか開いていない状態です。
売上
CPA(入り口のコスト)
LTV(出口までの売上)
この3つが揃って、
ようやく事業の「現在地」が見えてきます。
もし今、
「頑張っているのに、なぜか余裕がない」
そう感じているなら、
一度、エクセルやノートを開いて
過去1年で辞めていったお客さんが、平均何ヶ月続いたか
を計算してみてください。
そこに、
今まで言葉にできなかった不安の正体が、
はっきり数字で表れるはずです。
「じゃあ、LTVはいくらあれば正解なのか?」
「広告費は、LTVの何割まで使っていいのか?」
次回は、
『CPAとLTVから考える、絶対に損をしないラインの引き方』
について、僕の実感を交えて書いていきます。
本日も、最後まで読んでいただきありがとうございました。
