節分の半分は優しさでできています|毎週ショートショートnote
4歳の坊から通話が入った。
「きょう、だっだ、つれてきた」
佐知の翻訳によると、保育園で鬼のお面を作って、園の節分行事が終わったので、園から渡されたと。
「いい出来よー」
動画通話だったが、青野は運転中で、お面は見られなかった。
買い忘れたので投げる豆買ってきてほしい、と佐知が言うので勤務後スーパーへ行き、豆を手に取ったとき、それはきた。
パン、パン。
猟銃。
必死で逃げた。
山を去った後、彷徨った。
すっかり人が怖くなった。
夜。
坊のお面をかぶろうとして、青野は泣いた。
佐知と坊が心配げに青野を見る。
「ちょっと目にゴミが」
魔女はいった。
「ここまで生きたことは忘れな。
人変化が解けないためさ。
「なりそこない、優しいあんた。
人として生きんだ」
半分は、追われぬため、身をやつし。
半分は、彼の溢れる優しさで。
節分の夜も、いつも。
シングルマザー佐知と息子と一緒に、青野は街で生きている。
「いつか、親友に会えたなら」と夢想する。
(本文410文字)
坊くんには「見えている」、そんな可能性もありますね🤔
今回の裏お題も書きました。こちらもどぞ。
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