見出し画像

卒業式の天然|毎週ショートショートno+e|入学式の養殖

 胸を張り口を結び居並ぶは、全員、大谷。
 漫画『パーマン』に出てくるコピーロボットみたく完全に同一ではない。
 けど、遠目には、揃ってあの顔に、体躯。


 私立上流学園の入学式。
 体育館に集うスポーツクラスの新入生、例外なく大谷。


 ここは、30年後の日本。
 遺伝子操作とAI双方の技術が受容され発展し、今や文化風土になった。
 親たちは、ランキングが大好きで、1位を盲目的に信奉した。
 それで、世界でも最高ランクに格付けされる遺伝子に課金が集中。
 着床した未来の子に注入された結果、

「スポーツのトップトップ目指す奴……、
全員、大谷。」

の未来が訪れた。


 上流学園の各コースでは、教師の役目はもはや「教える」ではない。


 例えば大谷たちは、揃いも揃って同じように思考する。
 素晴らしすぎる将来プラン、自ら描く。
 教師が指導や助言するまでもなく、将来スポーツで破格の成功を収める最適解ありきで逆算し動く。

 グレる。
 不純異性交遊に動く。
 彼ら大谷の内部プログラム●●●●●には一切あり得ない。
 ゆえ、起こり得ない。万事クリーン。


ちなみに将棋クラスでは皆が皆、藤井。


 遺伝子が己を純粋培養……、言い換えれば、日々自らを「養殖」している新入生しかいない、入学式。


 「『違い』や『異文化』を作ってあげる」、
それが教師たちの役目。
 「天然要素」に、開眼してもらうという教育目標。

 「ただ一つの解や方法」では世界は成り立っていなく、遺伝子やAIが断固
「ノイズだ、そんなもの」
と断ずるものの中に、人生の意味や素晴らしさってあるのだ。
 それを説く。なんとか導く。


 入学式に並ぶ、遺伝子が「養殖」した新入生たちの、同じ顔と表情。


 ⸻3年後の卒業式では。
君ら大谷の一人でも多くに「違う顔」でいてもらうぞ。
「天然」な人たちに近いてもらうからなッ⸻


しげしげ眺めつつ、教師らは「天然」注入への決意を新たにする。

(本文789文字)



〔ひとこと〕
 ●410字収め諦めた途端、長くなる奴っていますね(それお前だよ)

●あと「君ら大谷の一人でも多くに」みたいなサイレント自己満韻踏みを、忍ばせるの好きです(明かしたら忍ばせてねーんだよ!←爆問田中風で)


#毎週ショートショートnote
#入学式の養殖  
#ショートショート   #SS   #掌編小説
#なんのはなしですか

いいなと思ったら応援しよう!

山本蛇内 yamamotojanai スキとフォローくだされば(気に入ってくださるなら、でね)十分なのであります! いつか有料記事に挑戦しますので、その時までチップ取っといてください笑