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静かに灯る再生の色─『神楽坂、スカートは紅し』 感想

迷いながらも前を向こうとする、心の再生の物語。

オガワヒカリさん作、『神楽坂、スカートは紅し[2-3]』までを読んだ感想になります。

冒頭から、胸の奥を掴まれるような物語です。張り詰めた空気の中に始まる一言に、息を呑みました。感情をむき出しにするわけでも、派手な演出があるわけでもないのに、主人公の沈黙の中にある“何か”が、読者を強く引き込んできます。

主人公・茉侑は、とても弱くて、そしてとても真面目な女性です。過去の傷を引きずりながら、それでも人としての尊厳を手放さずに、なんとか生きている。「とにもかくにも、死ねない間は生きるしかない。生きているのならば、清潔でありたい。」──この言葉に、彼女のすべてが詰まっている気がしました。絶望の中にわずかに残る希望。彼女は本当に、まだ諦めていないんだと思わされます。

神楽坂という街で出会った喫茶店。その空気感がとても心地よく、物語にやさしいリズムを与えています。店主の存在、そして「おかき」という名のトイプードル。どちらも、茉侑の心にそっと触れる存在として、読むこちらまで救われるような気持ちになります。

そして、“紅”という言葉。作中で何度か現れる赤い色は、最初は痛みや傷の象徴として描かれているように感じられます。しかし、タイトルにある「スカートは紅し」という表現には、それを身にまとって歩く覚悟が込められているように思います。過去を否定するのではなく、抱えたまま、それでもなお前に進もうとする。その姿勢が、静かに力強く、心に残りました。

これから主人公がどのように自分自身と向き合い、そして歩き出していくのか──静かに見守りたくなる一作です。

自分の輪郭が曖昧になってしまうとき、こういう物語に出会えると少しだけ呼吸がしやすくなる気がします。

#創作大賞感想


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